Penny Lane(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・聞いたの?」

 

設楽は静かに奏に言った。

 

「話してるうちに。 何となくそうかなって思って。 小野塚先生、無防備にどんどん話すから・・」

 

奏は少し笑った。

 

「そう。」

 

「設楽さんのことを。 とても慕っているんだなあって、感じました。」

 

「・・慕われるほど。 おれは人間ができてない。 ナルのことも・・傷つけた、」

 

「『ジョルジュ』の話も、」

 

それにはやや苦笑いをして

 

「ほんと。 おしゃべりだな。 あいつは、」

 

またひと口ミネラルウォーターを飲んだ。

 

「ぼくと設楽さんの関係も。 知ってます。 ぼくの知らない設楽さんの話をしてくれようとしたんだと思います、」

 

奏はバスタオルをそこにおいて座った。

 

「・・もう2年以上会ってもないし連絡をとってもないって・・」

 

気になることを聞いてみた。

 

あの時さくらが帰って来なかったら

 

ひょっとしてその先も話してくれてたような気がした。

 

それには設楽も押し黙ってしまった。

 

「・・すみません、」

 

やはり聞いてはいけないことだった、と奏はその話を引っ込めようとした。

 

「ナルは悪くない。 おれが、悪い。 ナルがおれに愛想をつかした、」

 

「え、」

 

「ナルはもうニ度とおれに会いたくないだろうし、おれからも会うことはないと思う。 ナルがさくらのところで仕事をすることになるかもしれないって彼女から連絡をもらったけど。 もうおれには何も言えないから。 おれのスタッフだった人間を自分の会社に呼んでくるなんて、さくらも相当悩んだと思う。 でも、ナルは仕事もできるし彼女の助けになってくれると思う。 おれに遠慮をするなと伝えた。 ・・ナルはピアノの先生としても優秀だし、経理にも明るい。 人懐っこくて人づきあいもいい。 申し分ないと思うよ。 きみの相談にも乗ってくれるだろう。 さくらに言えないことも。 ナルに相談するといい。」

 

二人の間に何があったのか

 

それはわからなかったけれど、お互いにすごく信頼しあっているのに。

 

奏はやはり腑に落ちなかった。

 

 

 

 

さくらはずっと自己嫌悪に陥っていた。

 

あれから葦切から普通に連絡はあるものの。

 

やはりあの『なにかプレゼントらしきもの』が気になった。

 

 

ひとりで盛り上がって

 

ひとりで落ち込む

 

全然前と変わってない。

 

軽くため息をついた。

 

 

奏の腱鞘炎の経過は良く、コンクールの3日前には普通に弾けるようになった。

 

「痛くない?」

 

レッスンの後さくらは言った。

 

「大丈夫です。 本当に早めに病院に行けてよかったです。」

 

「また何かあったら。 小さなことでもちゃんと言ってね、」

 

「はい。 なんか先生に言うほどでもないかなって思っちゃって。 葦切さんに強く言ってもらって良かったです、」

 

葦切の名前を出されて、さくらはまた色々と思い出してしまいやや表情を曇らせた。

 

 

設楽も小野塚を信頼しているようなのに、やはり二人が疎遠になっていることを奏は疑問に思います。そしてさくらは相変わらず葦切のことでモヤっています…

 

 

 

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