Love for the future(11) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ゆうこ、まだ起きてたの? あんまり具合がよくないんだからもう寝たら?」


母は居間でまだ涼太郎の幼稚園のタオルに名前を縫い付けていたゆうこに言った。


「・・もう少しで終わるから・・・」



みんな寝静まってシンとした空間。


ゆうこは丁寧に針を刺しながら


「・・お母ちゃんは。 本当に平気なの?」


そっと母を見やった。


「え、なにが?」


「拓馬が白川家を出て行くことになっても。」



テーブルを拭いていた母は手を止めた。



「どのみち。 あの子は次男なんだから。 家を出て行くのは当たり前。」


そしてまた手を動かし始めた。



「家を出て行くだけじゃないのよ。 戸籍を抜いて白川の名前じゃなくなっちゃうのよ、」



言われなくたって


母だってじゅうぶんにわかっていると思いつつ


ゆうこは苛立って少し大きな声を出した。



「まあ。 しょうがないよね。」


母は小さなため息をついた。


「しょうがないって・・・・」


「子供の人生じゃない。 いくら親がどうこうしたいって思ったって、あの子の好きなようにすることがいいと思うから。 親のモンじゃないよ。」



母は


子供たちが決めたことを反対したことは


たぶん一度もなかったと思う。



基本的には本人の意思に任せてくれた。




母はゆうこにくるっと向き直り



「って。 お父ちゃんが言ってたじゃない。 あんたが結婚する時。」



その言葉でゆうこは『あの時』を一瞬にして思い出した。




『子供は親のモンじゃねえ。 きちんと育てることは親の責任だけど。 いつまでも手元に置いておくことはできねえ。 それは息子も娘も同じだ。 ウチはなんも財産なんかねえから。 きちんとした人間にして世間に送り出すことだけが子供たちにやれる財産だと思ってっから。』



『かわいいと思うなら。 ・・・出て行くときが来たら、思いっきり背中をおしてやるのも親の務めだ。 おめえと一緒になってゆうこが幸せになれるかなんてわからねえ。 でも、25にもなったら自分で自分の責任を取れるはずだし。 その責任はゆうこにあるし、ゆうこを育てたおれたちにもある。』





「お父ちゃんもそう思ってる。 心の中ではね。 ゆうこは女の子だからこういう時が来るのは覚悟してたと思うけど、拓馬がこんなことになるとは思ってなかったから・・・戸惑っているんだよ。」




ゆうこは思い出して、ぐすんと泣いてしまった。



あの言葉を聞いた時



ああ


この二人の子供に生まれてよかったって


心から思った。




「あんたが泣いてどうするのよ。 拓馬だってこれから大変なことたくさんあるし、泣きたくなることだってあるかもしれない。 そんなに平和に過ごせないかもしれない、」



そして


心配と不安も一緒に押し寄せて


ゆうこは手で涙をぬぐった。


ゆうこは自分を嫁に出してくれた時の父の言葉を思い出し涙します・・



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