Love for the future(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「それでは。 今日で工事は終了です。 ありがとうございました、」


拓馬の父は詩織の母に深く頭を下げた。


「こちらこそ。 立派に仕上げて下さってありがとうございました。 白川さんにお願いすることができて本当に良かったと思っています。」


母・喜和子は出来上がった仏間と居間の部分を見上げた。



しかし


拓馬の父は顔を上げられなかった。



「・・おれが。 この仕事を受けなかったら。」



小さな声が聴こえて、喜和子も後ろに控えていた詩織もハッとした。



あの二人が


こんなことになることもなかった。




父の胸の内は


やりきれない思いでいっぱいだった。




「白川さん・・・」


彼の後悔の念が


伝わってきて、何も声をかけることができなかった。



「・・失礼します、」


二人の顔も見ずにそのまま帰ってしまった。






「そう。 今日で終わったの。 ああ、サンケンさんからね・・・次の仕事の依頼がきてて、」


拓馬の母は仕事のスケジュールを書いたノートを持ってきた。



父はそれをチラっと見て



「・・腰が治るまで、仕事は休みだ。 どっかに回しておけ、」



ぶっきらぼうにそう言って、ちゃぶ台に手をついて


「いててて・・・」


痛みをこらえながら立ちあがった。




どっかにって。




長い間夫婦をやっていると


だいたい夫の気持ちは言われなくてもわかるもの。




「ちゃんと医者に診てもらった方がいいんじゃないの? そんなに痛そうにして。」



言いたいことはたくさんあったけど


あえて何も言わなかった。



この人は


あれやこれや先回りして言われることを嫌う。






「え、おれが?」


拓馬は母から仕事の依頼を電話で受けた。



「お父ちゃん腰が痛いって言うから。」



「でも、いいのかよ・・・おれが。」


「いいよ。 だって『どっかに回しておけ』って言うから。 どこでもいいんでしょ、」




拓馬もその意味を考えた。



「腰、そんなに悪いのか? ちゃんと診てもらえよ・・・」


「ああ、加藤さんとこの整体行って来いって言ってんだけどね。 言うこと訊かないから。 でも今日も現場に行ったし・・・普通に歩いたりはしてるけど。」



腰が痛いくらいで


仕事を断ったりする父ではない。



拓馬は自分の予測が当たっていることを確信した。


それはきっと母にもわかっているんだろう。


やはり腰が痛いからなのではないようです・・・あうんの呼吸で母も拓馬も父の気持ちを汲みます。 



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