Love for the future(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

あまりに父の背中が寂しそうで


ゆうこは何も声がかけられなかった。




再び居間に戻ると、いつの間にかにひなたと涼太郎も来てゴハンを食べていた。



「さっき呼んだんだよ。 今日、幸太郎ちゃん出張でいないんだろ? 泊まっちゃいなよ。 みんなで。」


母は笑顔で配膳をしていた。



「拓馬も、」



まったく夕飯に手をつけずぼうっとしていた拓馬にも言った。



「え・・・おれは・・」


今はとても父と顔を合わせられない、と思った。



「焦ってもしょうがない。 なんとかわかってもらうように頑張るしかないし。 落ち込んでたって何も変るわけじゃないよ、」



母はいつもの笑顔だった。



この母の明るさに


今までだってどれだけ救われたか。



ゆうこも少し安心したようにふっと微笑んだ。



ななみは拓馬と一緒に寝ると言ってきかなかった。



「ななみは一年生なのに、甘えん坊だなァ、」


布団を敷いてやりながら拓馬はからかった。



「え、いいんだもん。 おともだちだってパパやママといっしょにねてるってゆったもん・・・」


恥ずかしくなって口を尖らせて抗議した。



「・・・じじ、なんであんなにおこったの・・? たーくんはあのおねえちゃんとけっこんするの?」


ななみは自分で枕カバーを掛けながら拓馬に聞いた。



「結婚したいなァって思うんだけどね。 あのおねえちゃんのお家は子供があの子しかいないんだよ。 もし、おれと結婚してお嫁に来てもらったら、あの子のお家は家を継いでくれる人がいなくなっちゃうんだ。 普通のおうちじゃなくて、お花の先生をずうっとしてきているおうちだから、それはできないんだ。」


拓馬はななみにもわかるように丁寧に説明した。



「だから。 おれがそのおねえちゃんのおうちに『お婿』に行くかもしれないってこと、」


「おむこって・・・なに?」


「ななみのママは・・・この家で生まれて育って。 ななみのパパと結婚する前は『白川ゆうこ』って名前だったんだ。 でもパパのところにお嫁に行ったから『志藤ゆうこ』になったんだよ。 そうやって名前がかわってしまうってことなんだ。 その家の家族になるってこと。」



「え、じゃあ・・・たーくんはおねえちゃんちのひとになるの?」


まだ1年生だが利発なななみはすぐに理解したようだった。



「そうなるかもしれないってこと。 でも女の子がお嫁に出て行くのが普通で、男が女の人の家に入ることはあんまりないんだ。 おじいちゃんも、まさかおれがそんなことになると思ってなかったから・・・あんなに怒ったんだよ。 男は嫁さんを貰ってその家の名前を継いでいくのが当たり前だって思ってるんだよ。 おじいちゃんは、ななみのママがパパと結婚したいってウチに来た時も、もう怒っちゃって暴れちゃって・・・大変だったんだ。」



拓馬は思い出して笑ってしまった。



「え、ほんと?」


ななみは拓馬にかぶりつくように近づいた。



「まだまだお嫁になんかやりたくなかったから、」



「おじいちゃん・・・さびしがりやさんなんだね・・・」


ななみは祖父の気持ちになって、しょんぼりとした。



拓馬はその言葉をかみしめるように



「そうだな。 じじは・・・どーしようもない寂しがりやだな、」



仕事ではどうしようもないほど頑固で、子供たちの躾にも厳しい父だったが


子供のころは休みになるとみんなで遊びに出かけて。


母の作った弁当を持って、その辺の公園だったり、みんなで広場で野球をしたりって・・・お金のかかるような外出じゃなかったけど


ホントに楽しかった。


怒られたことよりも、今はそんな楽しい思い出しか思い出されなかった。



拓馬も本当は父の気持ちが痛いほどわかっていますが・・・



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