From now on(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

二人は近くの居酒屋で食事を採った。



「・・ケータイ潰したって・・・、」


有吏はばくばくと食べながらさっきの話を思い出して言った。



「ああ。 2コ持ってたから。 1コは解約した、」


灰皿にタバコを押し付けて言った。



きっと

適当な女の子に教えてた方の携帯をツブしたんだろう・・・




有吏は想像した。




それでも。


2コも持てるほどなんか。


おれには絶対に絶対になれそうもないし・・・




少しだけ羨ましかった・・・。




「結城さんなら。 もう女の子の方がメアド教えてくれまくりなんでしょうねえ・・・」


思わず本音を言った。


結城は笑って



「そーだなあ・・・。 教えるよりも教えられる方が多いかな。 いきなり飲み屋の出口でメモ握らされたり、」



ビールグラスに口をつけた。



「でも。 なんかもう。 いろいろめんどくさくなっちゃって、」


「え?」


「女に対して適当になるのも面倒。  マジ、今仕事やっと慣れてきておもしろくなってきたし。 女は当分いいかなって、」

と苦笑いをした。



余裕だなァ・・・



有吏はもう心から羨ましかった。



不思議なもので。


義母への重苦しかった気持ちを割り切ると

彼女が『恋しい人』から『家族』になった気がして。



そうなると悶々とした気持ちを手当たり次第に晴らしたくなった女たちも必要なくなり。



向こうから来られても、行く気がなければ

もう行かない。



「・・どうして・・・。 さっき、ウソだってわかったんですか、」


有吏は思い切ってギモンをぶつけてみた。


「え?」


「だから・・さっきの彼女が。 ・・妊娠してるって言ってたこと・・」


少し恥ずかしそうにうつむいた。


結城はふっと笑って


「そーゆーヘマはしないってこと。 ・・・それだけは。 絶対にダメだって思ってるから。」


少し複雑そうな顔をした。





・・・・・・・



有吏にはその返答があまりに大人で。


もう


何だか何を言ってもこの人にはかなわない


そう思えた。




「おまえはさ。 まだまだ若いし。 夢も希望もいっぱいあるんだから。 もっと元気出してガンガンいけよ、」


結城は笑って有吏のグラスにビールを注いだ。



「ガンガンって・・・。 てゆーか。 なんかビールもあんま美味いって思えないんですけど・・・。」


「は?」


「やっぱ子供なのかなァ・・おれって。 タバコとかも別に吸いたくないし、」




そんな彼にふっと笑って、


「今時の若い男ってそうだって言うよ。 あんま酒も呑まないらしいし。」


「結城さんみたいにカッコイイ男になりたいけどなあ・・・」

有吏はため息をついた。





「おれみたいなんかになるなって。 それに。 早く一人前になって・・おまえがねーちゃんを守ってやんなきゃ、」


姉のことを出されてちょっとドキっとした。


「おまえのことばっかで。 自分のことは二の次って感じで。 ・・・こーゆー娘が今時いるんだって、ちょっと驚いた。」



「・・姉ちゃんがどんだけの苦労をしてきたか。 それは自分もわかっています。 生活のために水商売することになって。 おれ、まだなんもしてやれないし、」


有吏はちょっといじけるように言った。


「だから。 姉ちゃんが幸せになれるように。 仕事頑張って、正社員になって。 金稼いで。」


結城は彼の頭を大きな手で撫でて、笑った。




結城から姉のことを引き出されて、ちょっとフクザツな有吏ですが・・・


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