新郎の指輪がはめられないという
なんとも気の抜けることにはなったが
二人は無事式を終えた。
そして披露宴にと移る。
「ひなたもかわいーなあ。 よしよし、」
南はひなたを抱っこしてご機嫌だった。
「ほんと。 志藤さんにソックリ~~。 かわいー、」
香織もひなたの頭を撫でた。
「娘ってのが。 なんか因果応報って感じだよね。 ロクでもない男がやってきて『娘さんを下さい!』とか言われたりして、」
泉川の冗談にみんな笑った。
披露宴でもゆうこはドレスではなく、真っ赤な振袖に長くなった髪を下ろしたヘアスタイルに洋風の真っ赤な花の髪飾りをつけた装いだった。
タキシードの志藤と並んでもすごくお似合いだった。
「もう。 幸せを絵に描いたようだよね~、」
泉川は遠くを見るような目で言った。
「羨ましい? あんたも年貢を納めたら?」
香織がからかった。
「おれは。 カンペキな女性を手に入れる。 妥協は絶対にしたくないから。 ま、おれが結婚する時はみなさんをご招待しますよ。 待っててください、」
「いつになるんだか、」
南は呆れて笑った。
二次会へと移動したが
「なんっかもう・・・会社のメンツばっか・・・。 これじゃいつもと変わんないし!」
非常に出会いを期待していた泉川は心から落胆した。
「あんたね~~~。 人の結婚式で何考えてるの? 社内結婚なんだから当たり前じゃん!」
香織は彼の背中を叩いた。
「え~~~、も~~~。」
ガッカリと座っていると
「おまえ、ほんっま考えてることあからさまやな。 少しは祝わんかい!」
主役の志藤がやって来て頭をペシっと叩かれた。
「・・祝ってますよ。 おれもこんなキレイなヨメさんをもらえるように。 頑張りますよ、」
「全然力入ってないし、」
南はぶっと笑った。
そこに。
「あ・・・志藤さん。」
怜子が来てくれた。
「あ、レイコ先生! 来てくれたんですか。 や~、ありがとうございます!」
「せっかくご招待いただいたので。 あ・・本日はおめでとうございます。 奥さまも・・・」
怜子は微笑んで二人にお辞儀をした。
「いえ・・ 先日は大変、シツレイを・・・。 わざわざありがとうございました、」
ゆうこも頭を下げる。
「え、どちらさま? きれーな・・」
南が言うと
「あ、あのな・・・」
志藤は彼女をみんなに紹介しようとした。
しかし
なんだか異様な視線を感じた。
その
視線の主は・・・
そして、運命が音を立てて動き始めて・・・
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