「あ~、・・無残な姿に、」
家に帰り、持ち帰った結婚指輪を見たゆうこはため息をついた。
「・・ひょっとして切るくらいなら直せるかもって思ったけど。 もうムリやと思う・・・」
志藤もすまなそうに言った。
「結婚式の指輪の交換も・・・無理ですね、」
「・・ごめん、」
もうそう言うしかなかった。
「・・ごはんできてます。 着替えてきてください。 痛みますか?」
ゆうこは立て直してそう言った。
「ん・・・。 痛み止めもらったし。 今はそんなに痛くない、」
と寝室に入って行った。
片手でネクタイを外すのも大変やな、
そう思いながらも
『私がもっと早く気づいていれば・・・・』
必死に頭を下げる怜子のことを思い出した。
真面目な人なんやなあ・・・
優しくて。
何より美女すぎるし。
思い出してニヤけてしまう。
なんとか着替えてリビングに戻ろうとすると、ドアの隙間からゆうこがテーブルに置かれた指輪を見てじっとしているのが目に入る。
え・・・
彼女は泣いていた。
泣いてる・・?
どきんとして胸を押さえた。
たぶん
彼女のことだから
ここまで来るまでのことなんか思い出して
胸がいっぱいになっちゃってるんだろう・・・
二人だけであの指輪を交換した時のことを思い出してしまった。
妊娠しておなかが大きくなるまで
籍を入れられなかった
それでも彼女への永遠の愛を誓いたくて
あの指輪を交換した。
も~~~
彼女の涙だけは見たくなかったのに。
絶対に泣かさないって決めたのに。
こんなことで泣かせてしまうとは・・・
もう志藤の良心は痛くて痛くてどうしようもなかった。
そしてあの美人女医のことなんか考えてニヤついていた自分にも・・・
ゆうこを早速泣かせてしまって志藤はふか~~~く反省します・・・
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