「クラシック事業部の本部長さんなんですか、」
タクシーの中で彼女は志藤が書いた書類を見て言った。
「まだ部署ができて間もないんですけど。」
「芸能社さんていろんな部署があるんですね、」
ニッコリ笑う。
「あ、申し遅れました。 私、今日から丸山先生の代わりにこちらにお世話になることになりました西森怜子と申します。 東京青葉台医科大学病院の内科医をしております、」
なんてラッキーなんや!
今日から、なんて!
志藤は自分のラッキーさが身にしみた。
こんなキレイな先生、いるんやなあ・・・。
マジマジと彼女の美しい横顔を見てしまった。
思いっきりニヤついていた志藤であったが。
「かなり腫れてますね~。 コレ、骨折の可能性もありますけど。 レントゲン撮りましょう、とりあえず。」
怜子が電話をしていてくれたおかげで早めに診察ができた。
「はあ・・・」
その時医師はその左手薬指にされた結婚指輪が目に入り
「指輪、取れますかね?」
と言い出した。
「は・・・」
「レントゲン撮るんで、外さないと・・でも、第一関節がめちゃくちゃ腫れてるし、抜けるかな??」
「えっ、」
そう言われて慌てて指輪を取ろうとしたが、もうすでに第二関節も抜けなかった。
「大変。 ここまで腫れあがって・・・。 私がすぐに指輪を外すように言うべきでした、」
怜子も焦った。
「って! どーすんねん、コレ!」
その後。
オイルを塗ったり、石鹸をつけたりと頑張ってみたが
すでに指全体が腫れ上がっていたため、非常に虚しく。
「・・切るしか、ないですね・・・」
医師の言葉が脳裏を駆け巡った。
切るって!!
ゆうこの顔が浮かんでしまった。
「あ、志藤さん? どうしたんですか?」
ゆうこの暢気な声が電話口に聞こえた。
「あ~~~、あのな・・・」
非常に切り出しずらく・・・
すっかり美人女医・西森怜子にデレデレの志藤でしたが、バチが当たっちゃったようです・・・
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