Beginning(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

おれは音楽に関してはセミプロだって自分で思ってた。



だからこそその線でスポンサー獲得を狙っていた。




コイツは素人で。


だけど素人ならではの視点が


本当に目からウロコだった。




「あ、南ちゃん。 コレ。 そーだな・・・20本くらいコピーできないかな。 芸能の方に頼めば下請けの業者がついでにやってくれると思うから。」


泉川はディスクを南に差し出した。



「え? これって・・」



「うん。 例の北都フィルのデビューコンサートのDVD。 スポンサー獲得の営業に行く時持っていくから、」



とニッコリ笑った。




手当たり次第に獲得に行くのではなく、かなり絞って狙い打ちしていく


そう指針を決めた二人はそれから何度も打ち合わせを重ねて。




泉川のアイディア通りアマオケのサークルから辿って、中小企業のお偉いさんから当たっていくと


気持ちでスポンサーになってくれる企業がどっと増えた。




なにより



「もちろんスポンサー料に応じてポスターやパンフレットにこちらのお名前はドンと載せさせていただきます。 もう絶対に損させませんから。 このコンサートを見ていただけばわかると思います。 ここでピアノコンチェルトで競演してる北都マサヒロはもちろん、あの美人ピアニストで期待されてる沢藤絵梨沙もこれからどんどんプロデュースしていきますので。」



自分も口には自信があった。



しかし


この男は人懐っこい笑顔で相手をあっというまに懐に入れて


どんどん話を進める。






「あ、まだいたの? 早く帰ってムスメをお風呂に入れてあげなくちゃ、」


8時になってまだデスクでボーっとしている志藤に南は言った。


「あー・・うん。」


「さっそく忙しくなったね。 でもスポンサーありき、やし。」


「・・・最初ゼロからスポンサーを獲得する時。 まあ・・ジュニアとめっちゃ苦労して。 ほんまにハナにもかけられへんてトコばっかりで。 それに比べたら・・・ほんまに順調って言うか、」


志藤はポケットからタバコを取り出した。



「泉川さん。 ほんまに仕事できるね。  とにかく・・・行動が早いし。 機転が利くし。 まあ・・真太郎より図々しいってゆーか。 そこがええんとちゃう?」


南は笑った。



「人使うって・・自分が仕事するより難しいな、」



「珍しい。 志藤ちゃんがそんなネガティブなこと言うなんて、」



「もうあいつ見てるだけでムカついて。 意味もなく。 でも・・・やっぱり仕事になるとハッとするくらいなもん持ってるし。」



「有能な部下は黙っててもやってくれるって。 あとはコミュニケーションやん、」



彼女の言う言葉が身にしみた。



想像以上の仕事をする泉川。 志藤はまだまだ管理職として慣れずに・・・


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