Beginning(6) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「当面は。 新規スポンサーの獲得が第一だな。 定期公演をやっていく上でまずはそこからだ。」



報告書を社長に提出した志藤は彼からそう言われた。



「はい。 もちろんそのつもりです。」


「この不況で。 なかなかオケに投資してくれる企業はないだろうが。 おまえの腕の見せどころだな、」



志藤はその言葉にふと思い立ち



「あの、」


少し思い切って北都に話しかけた。



「・・・あの泉川って男。 直談判で事業部に配属なったって訊きましたけど。 自分には全く事前に知らされてなかったんですけど、」



そして


不満をぶつけてしまった。



北都はそんな彼に動揺もせず



「そんなもの。 全部こっち側の意向だし。 確かにおまえは事業部の長となったけど、人事的なことはまだまだこちらの仕事。 おまえがどう思おうとこちら側がGoであれば、おまえはNoとは言えない。 事業本部長という新しいポストだけれど実質管理職と一緒だ。 管理職は仕事はもちろん部下をいかに使うかの才能も求められる。泉川は芸能二部での実績は申し分なく、部長も手放したくなかったらしいが。 本人の強い希望で。 おれもこうすることが一番いいと判断したから入れたまでだ。」




いつものように冷静に言った。



そうか。


この人はおれを試しているんだ。



泉川のようなつかみどころのない人間をどう使うかってこと。



それが管理職の仕事だって言わんばかりに。




志藤はいつもの頭の回転のよさでそこまで読み取った。



「・・わかりました。 」



静かにそう言って頭を下げてその場を去った。





「うーん・・・」



泉川と新規スポンサー獲得に走る前に彼に企業のリストを見せた。



「なに? なんか不満?」


いちいち彼の反応が気になった。



「いや・・・。 なんか・・・音楽関係ばっかですね、」


腕組みをしてそう言われた。


「は?」


「そりゃ。 オケのスポンサーですから。 そっち関係にまず行くのは筋としても。 もっと視野を広げてみたらどうかなって。 スポンサーになるってことはその会社にとってメリットがあることが一番なんですが・・・。 たいていの場合。 こういうのって個人の趣味でしょ? 大企業ばっかじゃなくて。 中小企業でも、ほら社長の趣味だとか。 そういう部分でOKが出ることもあるわけで。  そりゃ大企業みたく大金は出ないと思いますけど、数があれば同じこと。 むしろそうやって裾野を広げる方が未来に繋がりそうですよね、」



泉川はよどみなくペラペラと話し始めた。



「ええっと・・だいたいこういうのは素人のクラシックのサークルとか? そういうとこ当たってみて。 そっから辿るってのはどうでしょうかね。 ウチの叔父もクラシックが趣味で。 コンサートは年に2~3度行ったりしてます。 知り合いがいるかもしれませんから聞いてみます。 ああ、女性社長なんかもよさげですよね。 なんてったってクラシックオケなんておしゃれですもん。」




志藤は思わず目を見張った。




チャラ男風の見かけとはうらはらに泉川は意外や・・?


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