Tiny memory(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「でも。 佐田さんは戻ってくるの?」


メンバーのひとりは疑うように言った。



「わかりません。 だけど・・・・。 いままで頑張ってやってきたんじゃないですか。 あたしたちは変わらずに頑張るだけだと思うんです。 あたしは・・まだまだみなさんをひっぱっていくことなんかできませんけど。 佐田さんだってこれまでコンマスとしてあたしたちを引っ張り上げてくれました。 このまま辞めてしまうなんてこと、ないって信じたいんで、」




玉田も彼女の言葉に感動した。




「みんなに心配をかけてしまって本当にすまなかった。 千堂さんの言うとおり、お客さんに少しでもいい音楽を届けられるように。 そういう気持ちで頑張ってほしい。  佐田さんのことはぼくも説得するし、きっと戻ってきてもらうから。」



何が起こっていたのかわからなかった楽団員の不安が少しだけ緩んだ気がした。




「じゃあ。 澤田さんに準備ができたと、声をかけてきます。」



有吏はニッコリ笑った。


茜も彼を見て微笑んだ。






その翌日だった。



麗子が練習に現れたので、みな驚いて彼女を見る。



「・・長く休んでしまってごめんなさい。 迷惑かけました、」



プライドの塊だった彼女がみんなに詫びた。



「佐田さん、」



茜が驚いたように声を掛けると



「・・あんな男のために自分の人生を台無しにしたくないの。 それだけ、」


彼女にだけ聞こえるような声でボソっと言った。



そして玉田に向かって



「・・まだまだ自分の気持ちに整理がつきませんが。 この公演を成功させるまではあたしの責任です。 今後のことはこれが終わってから考えます、」



いつもの彼女に戻っていた。



玉田は胸がいっぱいになってうなずいた。



「・・結城さん、自分が辞めるから戻ってきて欲しいと言いにきました。」


ポツリと言った。


「え、」


「彼がこのまま辞めていくのか。 もうあたしの関わることではありません。 ・・彼の責任として彼が選んだことですから。 そしてこのあと彼がどうしようと。 それもあたしの知ったことではありません、」



麗子はそう言ってケースからヴァイオリンを取り出した。



玉田はその彼女の言葉の意味をかみしめた。



もう

彼から一線を引くことを

彼女は選んだ。


許すとか許さないとか


そんなことではなく。



もう自分の道を行くことを決めたことがわかり。



結城の今後は

もう

自分の裁量にかかっている。



玉田は拳にぎゅっと力を入れた。




わだかまりを捨てて麗子はオケに戻ってきました。 そして玉田は・・?


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