こんな気持ちは生まれて初めてだった。
この前
『高野』ってセンパイにコクられたときとは、明らかに違う気持ちで。
どっ・・・・
どうしよう。
家に帰ってからも何だか動揺が止まらなかった。
もちろん学校でもぼんやりしてしまい。
「早くそうじしろよ~~。 女子! くっちゃべってんじゃねーよ!」
浩斗は全くいつもと変わりがなかった。
なんなのさ・・
あいつ。
こっちはもう・・・
めちゃくちゃ悩んでるっつーのに!!
ひなたは恨めしい目で彼を見ていた。
「じゃあ、今度の社会科見学の班を決めます。 リーダーをまず決めますから・・。 ええっと立候補!」
担任からそう言われてもひなたはぼーっとしていた。
「志藤さん、やらないの? いつもはこういうとき真っ先に手を挙げるのに。」
いきなりそう言われて、
「えっ!!」
思わず立ち上がってしまった。
「寝てんじゃねーよ、」
浩斗は思いっきりつっこんだ。
「寝てないよっ!」
鼻息荒く彼を睨んだ。
「やっぱリーダーはひなただよ~~。 はい、決まり~~。」
クラスのみんなからはやし立てられて、
「あ~~~、もう・・・。 ぜんっぜんやりたくない・・今回、」
ひなたはいろんなことがあって頭がパンパンだった。
しかも。
この前の中間テストが返って来て、それがかなり悲惨な状況で。
悩み多き少女そのものになっていた。
「はっ・・・なにこの・・数学35点って!」
ゆうこはテストの結果を見て驚いた。
「わ~~~、もう! 言わないで~~~。 死にたいよう・・」
ひなたは両手で耳を押さえてテーブルにつっぷした。
「もう、あんまりひどいと。 ダンスやめさせるわよ。」
殺し文句も言われた。
「うう・・それだけは・・。 ほんっと、次は頑張るから! ほら・・理科と社会はまあまあだったから・・」
「まあまあって! それでも平均以下じゃない! もう・・・高校入試は内申点があるんだから! しっかりしてよ~~。」
「あ~あ。 なんでパパもママも一流大学を出ているのに・・あたしはこんなにバカなんだろう・・」
ひなたはため息をついた。
「はあ?」
「やっぱり! あたしを作るときに手を抜いたんだっ!」
そして、すごい形相でゆうこに噛み付いた。
「バカっ!」
ゆうこは真っ赤になってテストでひなたの頭をひっぱたいた。
そして
「手なんか抜いてないわよ!!」
アホらしい回答をしてしまった。
「もー。 外まで聞こえるやん。 声が。」
その時志藤が帰宅してきた。
「ちょっと! 見てよ! この点数!!」
ゆうこはもう必死な形相でひなたのテストを志藤に見せた。
「は・・・」
志藤はさすがに固まったが、その後に
「悲惨やな~~~。 これは・・」
感心したように言った。
「感心してる場合じゃないわよ!」
ゆうこはまだ怒っていた。
「ま、でも。 天は二物を与えずってゆーやろ? ひなたはもう・・めっちゃかわいく産んでやったから。 アホでもな、愛嬌さえあれば、めっちゃ金持ちの男と結婚できるかもしれへんし!」
志藤は笑った。
「そうかな・・・」
その気になったひなたに
「もう! バカなこと言わないでっ!」
ゆうこはもう呆れて口が空回りしてしまった。
悩み多きひなたは勉強にも悩み・・・
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