「あんぱん」 第11回
第3週「なんのために生まれて」
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昭和10年 1935
朝田石材店にパン屋が
併設されて8年がたち、
細々とした商いが続いています。
草吉) おい豪!
ちょっと手が離せないんだ、
水持ってこい。あ、もちろん、
ほこり払って、手洗ってからな。
豪) はい。
釜次) 偉そうになんな!
「いっつもありがとうござい
ます、豪さん」じゃろ。
草吉) ああ~。「いつも石頭で、
ありがとうございます、親方」。
羽多子) フッ。
草吉) あっ、笑った。
羽多子) 笑うてないです。
草吉) ハハハッ。
ヤムおじさんが、急にふらり
と旅に出たりもしますが、
やっぱり、おじさんの焼く
あんぱんは、飛び切りおい
しいのです。
羽多子) おはよう。
草吉) おはよう。
のぶ) おはよう。
**********
(店にあんぱんとゆずあん
ぱんを並べる羽多子)
のぶ) お母ちゃん、
行ってきます。
羽多子) 行ってらっしゃい。
のぶ) ヤムおんちゃん、
行ってきます。
草吉) ほれっ。
のぶ) ありがとう!
行ってきます!
草吉) おう!
のぶは、高等女学校の5年生。
最終学年になりました。
(今日も笑顔で駈けてゆく)
**********
メイコ) 遅刻しそうや、
行ってきます!
蘭子) はい。
メイコ) 行ってきます!
くら) 気ぃ付けてよ。
蘭子) 行ってきます。
そして、次女の蘭子は、
地元の郵便局勤め。
三女のメイコは、
高等小学校の1年生です。
**********
<県立高知高等女学校>
生徒たち) おめでとう!
春代) お相手はどんな方?
生徒) どんな方?
松子) 県庁にお勤めの方ですき。
生徒たち) ええ~!
うさ子) のぶちゃん、うちも
うかうかしちょれんわ。早う
お相手を見つけてもらわんと。
のぶ) うさ子ちゃん…。
この時代、女学校を卒業すると、
ほとんどの女性が結婚します。
うさ子) のぶちゃんは来年の
卒業までにお相手が見つか
りそうなが?
のぶ) うちは、小さい時から
探しゆう夢が見つからんが。
うさ子) はあ? 夢? 相手が
見つからんかったらどうす
るがでえ。のぶちゃんの家
は、それで大丈夫なが?
のぶ) う~ん…。
(回想)
結太郎) のぶ、夢は大きい
ばあええがや。おなごも、
大志を抱きや。
うさ子) のぶちゃん、行かんと。
女性) 休暇で里帰りしちゅう
海軍の中尉さんが、学校訪問
で来るがやって。
うさ子) 花嫁候補を探しにいら
っしゃるがかもしれんねえ。
はっ、見初められたら、
どうしよう。
女性) 何言うが~。
もう行こ行こ。
うさ子) 行こう。
(いまひとつ乗り気じゃないのぶ)
**********
(講堂に整列して準備体操)
山下) 心身共に健康で、立派な
おのこを産み育てる日本婦人
となるべく、我が校では体育
を重視しております。
貴島) それは素晴らしい
取り組みです。
(のぶに目をとめる、
軍服姿の中尉)
貴島) 朝田か?
のぶ) はい!
朝田のぶであります!
貴島) 久しぶりやねや。あの頃
は真っ黒に日焼けして、おの
こと区別がつかんかったき。
のぶ) あ…カッちゃん?
ガキ大将の?
貴島) 懐かしいねや。
のぶ) カッちゃんや。
うちも懐かしい。
山下) 朝田さん!
のぶ) 失礼いたしました、中尉
殿。中尉殿には、子供の頃、
魚取りや木登りを教えていた
だきました。
山下) 本当に、
失礼いたしました。
貴島) 海軍では階級に殿は付け
ん。貴島中尉でよろしい。
のぶ) はい! 貴島中尉。
**********
<柳井医院>
そして、嵩も最終学年の中学
5年生となり、漫画を描くよ
うになっていました。
(白紙に、四コマ漫画の
枠を描く嵩)
(ノック)
嵩) はい。
千尋) 兄貴。
嵩) うん?
千尋) これ見た?
嵩) 何?
千尋) 兄貴の漫画、
送ってみたらどうで?
(新聞社の募集記事)
嵩) いや~…送ったって
どうせ入選しないよ。
千尋) えらい弱気やにゃあ。
出すだけでも出いてみいや。
**********
<夕食のテーブル>
(フォークが落ちる音)
嵩) あ…。
千代子) おしんちゃん。
新しいフォーク頂戴。
しん) は~い。
嵩) すいません。
寛) 嵩、何か考え事
しよったがか?
嵩) あ…。
千尋) また漫画のことやろ。
千代子) 千尋さんは、医者になる
ために頑張って勉強しゆうのに
嵩さんはまだ漫画らあ描きゆう
がですか。もう中学5年やろ?
来年受験でしょう。
嵩) はい…。
千代子) 小学校の頃は、首席で、
あんなに成績がよかったのに…。
はあ~。
(女中のしんが
フォークを持ってくる)
しん) どうぞ。
嵩) ありがとう。
寛) 嵩は将来、何になりたいがで。
嵩) ん…まだ…まだ分かりません、
寛) 千尋は?
千代子) 千尋さんは決まっちゅう
やないですか。この医院を継い
でもらわんと。
寛) そんなことはどうじゃちえい。
フォークと違うて人生には
替えがきかんがや。2人とも、
今からしっかり考えちょけ。
何のために生まれて、何をしな
がら生きるがか。何がおまんら
の幸せで、何をして喜ぶがか。
これや! というもんが見つか
るまで、何べんでも、何べんで
も必死に考え。
(寛を見つめる、嵩と千尋)
**********
のぶ) お父ちゃん、
今日は頑張って
パン売りに行きます。
蘭子) うちは店番するき。
メイコ) うちも。
(結太郎の中折れ帽子に
むかい、敬礼)
くら) 日曜なのに、感心やねえ。
羽多子) みんな、頼むで!
3人) は~い!
**********
<商店街>
草吉) パン~パン~
焼きたての~!
のぶ) おいしいおいしい、
あんぱんですよ~!
草吉) パン~パン~
焼きたての~!
のぶ) カッちゃん!
…やのうて、貴島中尉。
貴島) おお、のぶ。
あんぱんは海軍でも人気が
ある。5つばあもらおう。
のぶ) ありがとうございます。
5つですね。すいません、
お釣りがのうて…。
草吉) じゃ、この箱ごと全部
買っていただきましょう。
のぶ) いかんいかん。
すいません。うちんくまで取
りに来てもらえますろうか。
貴島) 構わんよ。
のぶ) ありがとうございます。
**********
(草吉と別れ、貴島と
道を引き返すのぶ)
貴島) 店は繁盛しゆうがか?
のぶ) もっと売れたら、母も喜
ぶがですけんど、このへんの
人らあは、パンを食べる習慣
が、あんまりないですき。
貴島) そうやにゃあ…。
今度の祭りの催しとして、
パン食い競走やったらどうな?
のぶ) パン競走ですか。
貴島) 町長さんに
意見してみよう。
のぶ) はい!
**********
<朝田パン>
嵩) すいません、
あんぱん下さい。
蘭子) 何個ですか?
嵩) あ…。
貴島) 必ずここのあんぱんを
使うよう、それも町長に言
うちょきます。
羽多子) ほんまに
ありがたいお話です。
貴島) では、ここで。
のぶ) 貴島中尉、
ありがとうございました。
貴島) 今日は会えてよかった。
おかげで、来週の祭りも盛り
上がりそうや。のぶ、パン
食い競走、成功させよう。
のぶ) はい!
貴島) では。
羽多子・のぶ) ありがとう
ございました。
メイコ) のぶ姉ちゃんと中尉
さん、お似合いやねえ。
くら) のぶもお年頃やき。
のぶ) ありゃ、千尋君、嵩、
いらっしゃい。
千尋) こんにちは。
嵩、どっか痛いがかえ?
嵩) あ…え…。
千尋) え?
嵩) あ…先…先帰るね。
千尋) え? ああ…。
蘭子) え? ちょっ…20銭です。
千尋) あ…あり…あります。
**********
<柳井医院>
寛) 異常なし。嵩。
この胸の痛みは治療できん。
嵩) え?
寛) フッ。ドイツ語でナイト、
フランス語でアンビ、英語で
ジェラシー。世界中の人々が
経験する、厄介な病気や。
嵩) ジェラシー…。
寛) フフフ…。
**********
嵩) ああ。はあ。
(畳にうつ伏せに倒れる嵩)
(力の薄いバタ足)
千尋) 兄貴。
(飛び起きる嵩)
嵩) 何だよ。
千尋) 大丈夫かえ。
嵩) ここ置いちょくき。
(小皿にあんぱん)
(かぶりつく嵩)
(ガクっと頭をたらす)
嵩) ん~。
(鉛筆を握る。
嵩) うう~。
(かくのは頭)
**********
のぶ) お父ちゃん、あんぱん
200個、注文取れました。
羽多子) あんた、朝田パン
開店以来の注文やき、
ありがたいことです。
貴島中尉の推薦により、
朝田パンのあんぱんが使わ
れることに、決まりました。
(土間で、次の日の仕込み
をしている草吉)
のぶ) ヤムおんちゃん、パン
食い競走は朝10時からです。
草吉) その日は、夜明け前に
始めないと、間に合わねえな。
羽多子) はい。何しろ
あんぱん200個ですき。
のぶ) よろしゅうお願いします。
草吉) おう。
朝田パン、
開店以来の、大仕事です。
**********
そして、お祭りの前日…。
貴島) ごめんください。
羽多子) あ、貴島中尉。どうぞ。
釜次) おお~お世話んなります。
豪、ご挨拶せんか。
豪) どうも。
のぶ) 貴島中尉。
(さりげなく背を向ける草吉)
貴島) 明日のあんぱんの準備は、
抜かりないですか?
羽多子) はい。ご覧のとおり。
パン食い競走に何人出ても
大丈夫です。ねっ、ヤムさん。
草吉) ああ。
貴島) 優勝賞品がラジオと聞い
て、隣町からも参加したいと
いうもんが、こじゃんとおる
そうです。
釜次) な…ラジオ!?
のぶ) 賞品、ラジオながですか!
羽多子) それはまた
うんと豪華ですね。
貴島) 町長がうんと気張りまし
て。ほいたら、明日よろしく。
のぶ) あ…あの…貴島中尉。
貴島) ん?
のぶ) うち、足だけは
自信があるがです。
貴島) そういや、こんまい頃
からよう走りよったにゃ。
のぶ) うちも、
出場したいがです。
貴島) 本気で言うがか?
釜次) のぶ!
おなごが何言いよらあ。
嫁のもらい手がのうなるぞ。
くら) すいません、この子は時々
突拍子もないこと言うがです。
釜次) あとでよう言い聞かせ
ちょきますき。
のぶ) おなごは出たらいかん
という規則ながで…。
釜次) 規則も何も!
当ったり前じゃろうが!
羽多子) のぶ。
ほんまにすいません。
(のぶを見る貴島)
貴島) そんなことより、あんぱん
の準備を、抜かりのう頼む。
おなごが出てはいけない、
パン食い競走。
ハチキンおのぶ、どうする!?
**********
岩男でも康太でもなく…カッちゃん
…って誰~!? ガキ大将って誰~?
まあ、いいけどね。きっといたのよ
ね。年上だから同じ教室にいなかっ
ただけで、学校にはいたはず…と脳
内補完。ちらっと出しておいてほし
かったとは思うけど…ヨシとしよう。
何のために生まれて、
何をしながら生きるがか。
何がおまんらの幸せで、
何をして喜ぶがか。
これや! というもんが
見つかるまで、何べんでも、
何べんでも必死に考え。
答えは最後の最後まで分からないだ
ろうけれど、だからこそ考え続ける
ことが大事なんだろうけれど…。い
くつになっても分からないまま…w
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