「あんぱん」 第20回
第４週「なにをして生きるのか」
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（蘭子が走って帰ってくる）
蘭子） お姉ちゃん！
合格したがやって？
おめでとう！
のぶ） ありがとう、蘭子。
メイコ） おめでと。
のぶ） ありがとう。
羽多子） ほんまに
よう頑張ったねえ。
お母ちゃん泣きそうやき。
釜次） ハハハ…。
メイコ） お母ちゃん、
もう泣きゆうやんか。
釜次） わしは、受かると、
信じちょったぞ。
くら） うそばっかり言うて、
ねえ豪ちゃん。
のぶ） みんな、ありがとう。
うち、こんなお祝いして
もろうてえいがやろうか。
羽多子） のぶ…。
のぶ） 蘭子も働きゆうのに、
うちだけずっと勉強させて
もろうて…。
蘭子） 何言うが？
学費も免除やし、寮に入って
くれたら３人で寝ゆう部屋も
メイコと２人で広うなる。
いいことずくめやんか。
お姉ちゃんが夢をかなえてく
れることが、うちの夢や。
のぶ） ありがとう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜柳井家＞
嵩） 伯父さん、伯母さん…
母さん。すみませんでした。
寛） 何を謝る必要があるがな。
結果はともかく、嵩は精一杯
ようやった。
（戸が開く音）
しん） のぶさんらあが、あんぱ
んを届けてくださいました。
のぶ） お邪魔します。
草吉） は…毎度どうも。
のぶ） あ…あの…うちの家族は、
嬉しい時も、しんどい時も、あ
んぱん食べるがです。差し出が
ましいかもしれませんけんど…。
（嵩の前にパンの包みを置くのぶ）
のぶ） 元気出して。
嵩） ありがとう。
のぶ） じゃあ、
私らあは、これで。
登美子） のぶさんは合格したん
ですってね。だからそんなふう
に明るく言えるのよ。あなた、
嵩に勉強教わりに来てたのよね。
そのあなたは受かって、嵩は落
ちたの！ 嵩はあなたのせいで
勉強ができなかったんじゃない
かしら。
千尋） のぶさんに八つ当たり
するらあて最低や。
（千尋を見る登美子）
登美子） 今何て？
千尋） 兄貴が高知高校行こうと、
誰のために頑張っちょったと
思うちょうがな。あんたのため
やろう。母親やったら、どうい
て理解しちゃろうとせんがな！
兄貴、もうこの人の言いなりに
なるがはやめちょけや。
寛） お…千尋…。
草吉） あの～お取込み中すいま
せん。あんぱん10個で、締め
て40銭になります。
のぶ） おお、おか…
お金はいりません。
草吉） うちも商売なんで…。
のぶ） いや、お金はいりません。
お邪魔しました。
草吉） 何で…。
のぶ） ヤムおんちゃん、
行くよ。行くて！
草吉） ああ…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜夜明けの商店街＞
（一人、道を行く登美子）
嵩） 母さん！
行っちゃうの？
僕のせいだよね。
伯父さんに頼んだんだ。
１年浪人させてくれって。
伯父さん、承諾してくれた。
登美子） そう。
嵩） 次こそ、高知第一高等学校
に、受かってみせるから。
登美子） １年なんて…
待てないわ。もういいわ。
好きにしなさい。
私の言いなりになるなって、
千尋にも言われたでしょ？
フッ。２人とも、このおなか
を痛めて産んだ子なのにね。
じゃあね、嵩。
嵩） 駅まで送るよ。
登美子） いいの、ここで。
ごきげんよう。さようなら。
（登美子の後ろ姿を見つめる嵩）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（釣竿を手に、
草吉が川にやってくる）
（水面を見つめている嵩）
草吉） よっ。
嵩） びっくりした。
ヤムさん。
草吉） うん？
嵩） 僕って何のために
生きてるんだろう。
草吉） あ？
嵩） 受験で取り寄せた戸籍見て、
思った。僕って独りぼっちなん
だなあって。
草吉） よいしょ。
（釣り糸をたらす草吉）
草吉） 独りぼっちも気楽で
いいじゃねえか。
嵩） 伯父さんが言ってた。
何のために生まれて、
何をして生きるのか。
草吉） はあ！
今日は釣れる気がしねえな。
草吉） どうせ一回こっきりの
人生だ。自分のために生きろ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜朝田パン＞
羽多子） 何か元気ないね。
のぶ） 嵩が落ちるわけないって、
勝手に思い込んじょった。
なんちゃあ言えん気持ちや。
うさ子） こんにちは。
羽多子） こんにちは。
のぶ） うさ子ちゃん
いらっしゃい。
うさ子） のぶちゃん、
ちょっと、えいやろか。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
のぶ） うさ子ちゃん、まさか、
お嫁に行くが？
うさ子） 違う違う。のぶちゃん
が勉強頑張っちゅうの見て、
うちも感化されたがよ。落ち
たら恥ずかしいき、言わんか
ったけんど、実はうちも、女
子師範学校受験したがよ。
のぶ） たまるかー！
うさ子） ほんでね、合格した。
のぶ） たまるかー！
おめでとう！
うさ子） のぶちゃんも
おめでとう！
（２人の笑い声）
のぶ） あ、すみません。
うさ子） すみません。
この時まだ、のぶたちは
知りませんでした。
女子師範学校の寮生活が、
どんなに厳しいものか。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜夜・朝田家＞
千尋） ごめんください。
のぶ） 千尋君、どういたが？
千尋） こんな時間にすいません。
兄貴が、まだ帰ってこんがです。
のぶ） えっ？
千尋） あれからずっと、
ふさぎ込んじょって心配で。
あっ、ヤムさんも、兄貴の行き
そうなところ知りませんか？
草吉） あ…昼間、
河原で会ったぞ。
のぶ） え？ 行ってみよう、
千尋君、近所見てきて。
千尋） う、うん。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
のぶ） 嵩～！ 嵩！ 嵩！
草吉） おい！ 嵩！
のぶ） 嵩～！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
のぶ） 嵩どこに行ったがよろ。
あ…まだ帰っちゃあせん？
千尋） はい。
草吉） ったく、
どこほっつき歩いてんだ。
寛） ありゃ、千尋やんか。
いや～すまんすまん。
村のおばあがなっかなか帰し
てくれんで遅うなった。のぶ
ちゃんも一緒にどういた？
千尋） 兄貴が、
行方不明ながやき。
寛） え？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（午前零時の時報）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
のぶ） はあっ、嵩…。
草吉） はあ、どこにもいねえな。
（明かりの消えた御免与駅）
草吉） あ…汽車でどっか
行っちまったのかな。
のぶ） ええ？
草吉） いや…。
寛） 嵩！ おらんか！
千尋） 父さん。
寛） おお、みんなそろっちょっ
たか。嵩は？ そうか。御免与
じゅうはひととおり捜したが
やけんど…。
草吉） あそこかもしれない。
のぶ） どこ？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
のぶ） ハア、ハア、ハア…。
（暗い線路にランプをかざす）
のぶ） おった…。
嵩…嵩！
（レールを枕にスヤスヤ
眠っている嵩）
のぶ） 嵩のドアホ！
嵩） あ…ああっ。
何？ のぶちゃん。
のぶ） こんなところで
何しゆうがかね。
死にたいがかえ！
嵩） 皆さん…心配かけて…。
のぶ） ほんまや。（泣）
どればあ…どればあ心配
したと思うちゅうがね。
嵩） 違うんだ、のぶちゃん。
のぶ） 何が違うがな！（泣）
嵩） 僕は…母さん１人も、
笑顔にできんかった。
僕は何のために生きてるん
だろう。そんなこと考えて
たら…。
草吉） バカ。
ここで寝てたのか？
嵩） はい。
のぶ） 無事でよかった。
うちは…うちは死ぬばあ
心配したがやき。
嵩） ごめん。
（空が明るくなる）
寛） 泣いても笑うても、
日はまた昇る。嵩。
絶望の隣はにゃ…。
希望じゃ。
（微笑む寛）
（朝の光が、ゆっくり
５人を照らしていく）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
超簡単感想で♪
パンのお代をもらったら押し売り
だから～！（っていつもそうかｗ）
何のために生まれて
何をして生きるのか。
嵩はそれを考え続けるんだろうか。
何も考えずに生きてきたよ私は♪
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