「舞いあがれ！」 第51回
第11週「笑顔のフライト」
右を見ろ
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大河内） 努力をしても、
パイロットになれない学生はいる。
私がここにいるのは、そういう学生
を落とすためでもあるんだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
舞） 大河内教官。
着陸の特訓、お願いします。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
中澤） 岩倉は、着陸の特訓をしてた
から、ただでさえ通常の訓練が遅れ
てる。最終試験までに追い上げられ
るといいが…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
柏木） 岩倉が熱？
倫子） 今日の訓練はお休みね。
疲れが出ちゃったんじゃないかな。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
柏木） 岩倉。もう大丈夫なのか？
舞） ご心配おかけしました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
柏木） 担当教官を替えてもらおう。
舞） え…。
柏木） 今日訓練が終わったら、
分校長にお願いしに行く。
もとはと言えば、大河内を見返し
たいって言ったのは俺だ。その
ことに岩倉を巻き込んでしまった。
このまま大河内教官にこだわって
いたら、岩倉は、フェイルになって
しまうだろ。
舞） ちょっと、
考えさせてもらえませんか？
柏木） もう時間がない。早く教官を
替えて、訓練に集中しないと。最終
審査に間に合わないかもしれない。
（回想）
舞） 今、つらいんです。何のために、
訓練してるのか、分かりません。
大河内） 決して間違えるな。
なぜパイロットを目指したんだ。
それを思い出せ。
舞） もしかしたら、私、
大河内教官のこと、
勘違いしてたんかなって…。
もうちょっと、大河内教官の
もとで、頑張りたいです。
柏木） 大河内教官は学生に興味
がない。水島の時だって…。
もう訓練の時間だ。
この話はもう一度ちゃんとしよう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
舞） 皆さん、ありがとうございます。
吉田） 僕たち岩倉さんより少し先に
進んでるから、野外航法とか分か
んないことあったら何でも聞いてね。
舞） うん。
中澤） で、明日の訓練は？
舞） セカンド・ソロです。
中澤） ああそっか…。
セカンドやって、サードやって、
野外航法やって…。
倫子） 大丈夫、
すぐに追いつけるって。
舞） はい。
倫子） セカンド・ソロの
訓練空域は決めたの？
舞9 ああ。HK2ｰ1です。
吉田） 一番遠い所か。
ちょっと待ってね。
倫子） 結局、教官は替えて
もらわないのね？
舞） はい。
倫子） そっか。しんどくなったら
ちゃんと言うのよ。
舞） はい。
倫子） よし、私たちも準備しなきゃ。
中澤） うん。
吉田） これだ。岩倉さん、HK2ｰ1だっ
たら、このノートも参考になると思う
から、よかったら。
舞） ホンマありがとう。
吉田） ううん。応援してる。
舞） うん。
（舞の笑顔から目をそらし、
立ち上がる吉田）
吉田） じゃあ。
舞） うん。
（そっと微笑み、吉田と出ていく倫子）
柏木） 岩倉？
これ、明日の航空情報。
舞） あっ、ありがとうございます。
（座る柏木）
柏木） 山下教官と話してきた。教官
の変更を申請して、結論が出るま
でに、２週間かかるって。俺は替え
た方がいいと思ってる。岩倉もそう
思ったら、すぐ言ってくれ。
舞） はい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜学生寮＞
電・舞） もしもし、久留美？
電・久留美） 舞、元気？
電・舞） うん、元気やで。
電・久留美） ほんで？
結局どうなった？
電・舞） え？
電・久留美） 「え？」やないやろ。
柏木さんのこと。もう返事したん？
（回想）
柏木） 岩倉。
俺…お前のことが好きだ。
電・久留美） 私ず～っと気になって
てんで。舞、初めての彼氏出来た
んかな。もうデートしたんかなって。
電・舞） 彼氏って…
まだ、返事もできてへんし。
電・久留美） え？ まだ？
電・舞） うん。やってそんなん、
すぐには、答えられへんやん。
電・久留美） エリート男子、
何日も待たせて。
あんた、ええ女やな。
電・舞） 久留美。
電・久留美） ごめんごめん、冗談やて。
けどあんまり待たしたら柏木さん
かわいそうやで。
電・舞） てか、私の話ばっかりやん。
久留美は、何かあったん？
電・久留美） ん～…まあ、ちょっと
気になる人はおるけど…。
電・舞） えっ！？ どんな人？
電・久留美） おんなじ職場の人や
ねんけど、いっつも差し入れして
くれんねん。おいしいサンドイッチ。
電・舞） いいなあ。会うてみたいわ。
電・久留美） 気ぃ早いわ。私もまだ、
ちょっと気になるくらいやし。
女性） 望月さん、ちょっとええ？
久留美） はい。
電・久留美） ああごめん、
仕事戻らなあかん。切るな。
電・舞） 久留美も、頑張ってな。
電・久留美） うん。ほなまた。
電・舞） またな。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
この日、
みんなの訓練から少し遅れて、
舞ちゃんは２回目のソロフライト
に挑みます。
Secondｰsolo
セカンド・ソロ
舞） 本日のフライトは、実施
できると判断します。
（大河内の手元に、
舞が作成した天気図）
大河内） 分かった。
舞） はい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（滑走路に、舞の乗った訓練機）
管理官） 「（英語）JA01TC、風向は南、
風速８ノット、滑走路17からの離陸を
許可します」。
舞） 「（英語）JA01TC,
滑走路17から離陸します」。
Max power.
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（安定した飛行を保つ、舞の訓練機）
舞） 「01TC、ソロ、HK2ｰ1入りました。
エアワーク訓練、開始します」。
管理官） 「01TC、HK2ｰ1、
エアワーク訓練開始、了解」。
舞） Right clear. Roll in.
（機体を旋回させる）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜運行管理室＞
柏木） 大河内教官、今日の
午後のフライトプランです。
確認お願いします。
大河内） 分かった。
管理官） まずいかもな…。
大河内教官、
風向きが変わりました！
現在120度、9ノット。13ノット以上
で、着陸の制限値を超えます。
大河内） 「01TC、こちら帯広」。
舞） 「はい、01TCです」。
大河内） 「訓練を中止して空港に
戻れ。風が変わってきている」。
舞） 「了解しました、
すぐ、空港へ戻ります」。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（操縦かんを傾ける舞）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜運行管理室＞
管理官） あとは、岩倉学生だけです。
（ボードに残る舞の訓練機の表示）
（警告音）
管理官） 大河内教官、
制限値を超えだしました。
横風強いです。
大河内） 「01TC、聞こえるか？」。
舞） 「はい、01TCです」。
大河内） 「今横風が制限値を超え
ている。現在地はどこだ？」
舞） 「現在、池田上空です」。
大河内） 「風が収まるまで、
駒畠上空で待機だ」。
舞） 「了解しました。
駒畠へ向かいます」。
大河内） 「よし」。
（マイクを握り、空を見つめる大河内）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
舞） 「01TCです。現在、駒畠上空。
このまま待機します」。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜運行管理室＞
（警告音）
管理官） 大河内教官、
風、収まりません。
（警告音）
（空を見つめた大河内）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜訓練機＞
大河内） 「01TC、
帯広空港への着陸は諦める。
釧路空港へ変更だ」。
舞） 「一人で、釧路空港ですか？」。
大河内） 「そうだ」。
舞） 「いや…。
了解しました。釧路向かいます」。
（手元に地図を引き寄せる）
舞の心の声） 私一人でって、
そんなん…。
（スイッチを操作し、
進路変更の設定をする舞）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（操縦かんを握りしめ、
計器パネルを見る）
舞の心の声） 燃料はある。
大丈夫。けど、もし…釧路も風が
強くて、降りられへんかったら…。
大河内） 「岩倉学生聞こえるか？」
舞） 「はい」。
大河内） 「右を見ろ」。
（顔を右に向ける）
（もう一機の訓練機が現れる）
大河内） 「釧路まで私が誘導する」。
舞） 「大河内教官…」。
（並んで空を飛ぶ、２機の飛行機）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
先週のあさイチプレミアムトークを見てからの～
今日の大河内教官は激ヤバ。惚れてまうわ～！
大河内教官の、見せ場があるとは思っていたけ
れど、思った以上の破壊力というか、絶体絶命、
心細いあの瞬間に「右を見ろ」って…。泣くわ～。
舞ちゃんはまだ２度目のソロフライト。帯広以外
の空港に着陸することになるのは、訓練にして
も想定外のはず。行ったことのない空港に一人
で行くなんて…そりゃパニックになるよね。これ
が水島くんだったら…と思うと、やっぱり「適性」
は大事。人がいてもパニックになる人が、一人
で飛んで冷静でいられるとは思えない。命に関
わる事故になってしまう可能性大。なるほどね、
舞に降りかかるアクシデントで、水島がパイロッ
トになれない理由が明確になるわけか。それに
しても…柏木の青くささが際立つわ～。きっとそ
れも、彼の成長が先にあってのことだろうけど。
みんなこんなに立派になって…。学生時代を思
い出しながら涙ぐむ未来の私が見えてきたよｗ
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