「舞いあがれ！」 第50回
第10週「別れと初恋」
なぜパイロットを目指したんだ。
それを思い出せ
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＜岩倉家＞
浩太） 舞が熱出した？
めぐみ） うん、昨日の晩からやて。
さっき用事で電話したら、
そんなこと言うてた。
浩太） いや、そんなことてお前…
おい、大丈夫なんか？
めぐみ） 訓練、張り切り過ぎたん
ちゃうかて言うたら、図星やて。
声は元気そうやったで。
浩太） ああそうか。
めぐみ） 舞のこととなったら、心配
のし過ぎやわ。なあ、悠人のことも、
もうちょっと気にしたってぇな。
浩太） そういうたら、梅津から
聞いたで。悠人と会うてんて。
めぐみ） うん。
浩太） ホンマ、俺のいてへんとこで…。
めぐみ） しょうないやん、
家には帰れへんて言うねんもん。
浩太） で、何か、聞いたんか？
めぐみ） 仕事のことは、何も。
浩太） ふ～ん。
頂きます。
めぐみ） なあ、お父ちゃん。
浩太） 何や。
めぐみ） 悠人のこと、応援して
あげられへんやろか。
浩太） 会いにも来えへん息子を、
どないして応援せえいうねん。
めぐみ） うん…そやけど、私らが悠人
のこと信じてやらな、悠人も私らを
信じてくれへん。
浩太） 応援したないはずあれへ
んやろ。けど、どないもこないも、
分かれへんのや、悠人が。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（冷たいタオルを舞のおでこに
乗せる倫子）
倫子） よし、これでオッケー。
後で食堂から朝ごはん取ってくる
から、食べられるだけ食べてね。
舞） すいません…。
倫子） こういうのはお互いさまでしょ。
大河内教官には伝えとく。同じ班だ
から、柏木にも言っとかないとね。
舞） ありがとうございます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜食堂＞
柏木） 岩倉が熱？
倫子） 今日の訓練はお休みね。
中澤） 風邪か。
倫子） 疲れが出ちゃった
んじゃないかな。
吉田） 着陸の特訓、
かなり頑張ってましたからね。
倫子） そうね。
吉田） 大丈夫ですかね。
倫子） 心配しなくても、
舞ならすぐに復活するよ。
吉田） ああいえ…
訓練時間のことです。
中澤） そうだな…岩倉は、着陸の
特訓をしてたから、ただでさえ
通常の訓練が遅れてる。最終試験
までに追い上げられるといいが…。
もしできなかったら…フェイルに…。
倫子） ばか。
簡単にそういうこと言わない。
中澤） すまん。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ソロフライトに続き、野外航法と
いう新しい訓練が始まります。
これまで訓練していた空域から、
更に広い領域へと、
フライトするのです。
柏木） 新得、本別。茂岩橋経由、
駒畠から、帰投します。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
柏木） 3500feet power 50.
道に沿って向かいます。
（柏木の隣に大河内）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（飛行機の音）
（ベッドに寝た舞）
（おでこに乗せたタオルを取り、
握りしめる舞）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
柏木） 以上です。
大河内） よし、１か所チェックポイントを
間違えたのは分かっているな？
柏木） はい。以後、気を付けます。
教官。
大河内） 何だ。
柏木） 私の訓練時間は少しだけ余裕
があります。岩倉が学生が復帰したら、
その訓練時間を分けてあげることは
できないでしょうか？
大河内） 柏木学生のどこに時間の
余裕がある。自分のことに集中しろ。
柏木） はい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜学生寮＞
柏木） 矢野。
倫子） お疲れ。
野外航法どうだった？
柏木） これ。
倫子） えっ何これ…。くれんの？
柏木） いや、分かるだろ。察しろ。
倫子） はいむかつく～。
（ソーダ味のゴリゴリさん）
柏木） 熱がある時はアイスだろ？
倫子） あんた、やることが
いちいちズレてんのよ。
柏木） ズレてるか？
倫子） まあいい。渡しておく。
柏木） じゃあ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（部屋のドアノブに保冷袋）
（「教官から岩倉学生に渡して欲しい
と頼まれました。宮田」のメモ）
倫子） 教官？
（中を見る倫子）
（Heiji「Snow」のカップアイス)
倫子） またアイス！？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（部屋に入る倫子）
倫子） 舞。
舞） お疲れさまです。
倫子） 具合、どう？
舞） まだ、ちょっと微熱で…。
それ、何ですか？
倫子） 舞にアイスの差し入れだって。
一つは、柏木から。
もう一つは…教官。
舞） 教官？
倫子） まさか…大河内教官？
舞） えっ。
倫子） なわけないか。
舞） ああ…そうですよ。
倫子） きっと山下教官だね。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（並んで座り、アイスを食べる２人）
（倫子は教官からのカップアイス）
舞） ん～…。おいしい。
倫子） よかった。舞が笑ってる。
舞） え？
倫子） だって舞、水島がフェイルし
てからずっと怖い顔してたから。
舞） 怖い？
倫子） せっかく着陸うまくいった時
だって、全然喜んでなかったしね。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜飛行準備室＞
（私服の舞が来る）
（飛行時間のグラフを見る）
舞の心の声） あかん…。
ソロが完全に遅れてる。
大河内） 岩倉学生。何してる。
病人がうろつくな。
舞） すみません。
熱は、だいぶ下がったんで、
明日から、訓練復帰します。
よろしくお願いします。
大河内） 分かった。
アイス、ありがとうございました。
やっぱり、大河内教官やったん
ですね。
大河内） 私が風邪をひいた時も、
先輩がアイスを差し入れてくれた。
舞） 先輩が…。
大河内） 自衛隊時代の話だ。
（椅子に腰をおろす大河内）
大河内） 座らないか？
舞） 失礼します。
（椅子に座る舞）
大河内） 寝込んでいた時、
岩倉学生は何を考えていた？
舞） 訓練に遅れるのが、
ただただ、つらかったです。
大河内） 私の時は飛べない
ことがつらかった。
飛んでこそ、パイロットだ。
教官になったのも空を飛べるか
らが一番の理由かもしれない。
舞） 私はまだ、教官のようには
いきません。私、大河内教官を、
見返したくて、頑張ってきました。
けど、着陸がうまくいっても、
全然うれしくなかった。
楽しくなかったんです。
今、つらいんです。何のために、
訓練してるのか、分かりません。
大河内） 岩倉学生、
決して間違えるな。
舞） （涙）
大河内） なぜパイロットを
目指したんだ。
それを思い出せ。
（立ち去る大河内）
舞） （涙）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜朝＞
（部屋で支度をする柏木）
（ノック）
柏木） 岩倉。もう大丈夫なのか？
舞） ご心配おかけしました。
アイス、ありがとうございました。
柏木） ああ…うん、全然。
ちょっと話がある。
舞） はい。
話って、何ですか？
柏木） ずっと考えていたんだが、
担当教官を替えてもらおう。
舞） え…。
柏木） 今日訓練が終わったら、
分校長にお願いしに行く。
舞） どないしたんですか急に…。
柏木） もとはと言えば、
大河内を見返したいって言った
のは俺だ。そのことに岩倉を
巻き込んでしまった。
舞） いや…。
柏木） このまま大河内教官に
こだわっていたら、岩倉は、
フェイルになってしまうだろ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
熱がある時は…アイス！だよね～。疲れた時も
心が弱った時も、アイス！な私は激しく同意！
ズレてないよ柏木～。むしろナイスな選択よ！
このところ、迷走気味の舞ちゃんは、いわゆる、
若さゆえの…若気の至り。舞ちゃん自身も、不
本意な行動というか、心のどこかで、違うって
分かっていたんだろうね。子供の頃から、自分
の心の声を封じ込めると、熱を出していたしね。
舞） 私、大河内教官を、
見返たくて、頑張ってきました。
けど、着陸がうまくいっても、
全然うれしくなかった。
楽しくなかったんです。
今、つらいんです。何のために、
訓練してるのか、分かりません。
大河内） 岩倉学生、
決して間違えるな。
舞） （涙）
大河内） なぜパイロットを
目指したんだ。
それを思い出せ。
本当に…どうして大河内教官を「見返す」こと
が目的になったのか。見返すって、一体何を
どうすればできるのか。若さゆえ…は面倒だ。
どうしてパイロットになりたいと思ったのか…。
思い出して。なにわバードマンを思い出せ～。
あさイチのプレミアムトークのゲストは大河内
教官、こと吉川晃司さんだったのだけれど…。
いや～いい感じに年を取ったなぁと。かっけえ
大人になったなぁとしみじみ。好きでも嫌いで
もなかったけど…シンバルキックに、惚れたｗ
若者の反抗を秘かに喜ぶ教官キャラに萌え。
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