「エール」 第115回
第23週 「恋のメロディ」
ロカビリーが吉と出るか凶と出るか・・・
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<古山家>
華) お母様・・・。
音) うん?
華) 運命の人・・・見つかりました~!
音) ええ~っ!?
**********
<バンブー>
(♪レコード)
音) これがロカビリー?
保) うん。若い人にすごい人気でね、
いろんなバンドが出るコンサートの
ことをカーニバルって呼んで、それ
はもう紙テープだらけで演奏ができ
ないわ、女性が失神するわですご
いらしいよ。
恵) フフッ、「監獄ロック」とか、
かっこいいもんね~!
(サングラスをかけ、
プレスリーのまねをする恵)
保) 音さん、どうしたの? 悩み事?
音) 華に・・・恋人ができたんです。
恵) はあ~! よかった~!
渉君との別れ方がきつかったから、
心配してたの。
音) しかも患者さん。
保) えっ意外!
音) 意外なんです。
その上意外なことに相手が・・・。
恵) うん?
保) うん?
恵) ああ・・・。
(恵がかけていたサングラスをかける音)
保) えっ、ロカビリー歌手なの?
音) もうすぐ退院で裕一さんに
会いたがってるみたいなんです。
普通の男性ですら、厳しい目で
見るだろうに、同業者の上に、
ロカビリーだなんて・・・。
保) 音楽家であることが吉と出るか
凶と出るか、ロカビリーが吉と出るか
凶と出るか・・・。
音) 裕一さんの反応が全く読めません。
保) 確かに。
恵) あっ、裕一さんに、ロカビリーを
聴かせて反応を見てみたらどう?
それで大丈夫だったら、紹介したら?
音) いいですね! やってみます。
恵) うん。
**********
<書斎>
(ノック)
裕一) はい。
音) 裕一さん。
裕一) うん?
音) 何してるの?
裕一) うん?
体調不良でね、役者が代わることに
なってね、音域違うからメロディー
書き直してるの。
音) 本番始まってもいろいろあるのね。
また今度にします。
裕一) うん? いいよいいよ。何?
音) レコード頂いたの。
ロカビリーって知ってる?
裕一) うん。知ってるよ。
あんまり聴いたことないけどね。
音) じゃあ聴いてみる?
裕一) うん、いいよ。
(レコードをかける音)
♪(レコード)
裕一) ごめんごめんごめんごめん・・・
ちょっと止めて、止めて。ごめん・・・
今書いてる音楽が逃げちゃいそう。
**********
(レコードを手に、廊下に出る音)
音) どうしてロカビリーなのかしら・・・。
裕一の声) あっ!
あとで直したところ歌ってみて。
音) は~い!
(お尻を振って踊りながら廊下を行く音)
**********
<夜・居間>
華) 何で勝手なことするの!?
音) 真面目で仕事一筋の娘の
相手がロカビリーの歌手よ!?
慣らしておく必要があるでしょ?
華) 反応、よくなかったんでしょ?
「やぶへび」じゃない。
音) 急に聞かせるよりはマシだって。
華) そうかな? もう~。
音) どうするの?
華) 退院したらすぐにでも
来たいって言ってる。
音) 挨拶遅らせたら? 2人だってまだ
病院でしか会ってないんでしょ?
華) つきあうなら、
ちゃんとしたいんだって。
音) いい方ね。
(電話の呼び出し音)
電・音) はい古山でございます。
えっ!? 裕一さんが?
**********
<病院の廊下>
音) 働き過ぎだったんだ・・・。
気付かなかった。
華) うちの先生はみんな優秀
だから、大丈夫。
音) 先生、手術は・・・?
医師) 胃潰瘍でした。
命に別状は、ありません。
音・華) ああ・・・。
医師) まあ、1か月ほど入院すれば、
日常生活に戻れるでしょう。
音) ありがとうございました。
**********
(病院のベッドで目を覚ます裕一)
(音と華がほほえむ)
アキラ) お父さん。
裕一) へっ?
**********
<病院の廊下>
音) よりによって・・・隣なんて。
華) ベッドがちょうど空いたのよ。
音) 何か適当に理由つけて
変えられないの?
華) 無理。よほどの理由がないと。
音) あのままじゃすぐにバレるわよ。
さっきだって・・・。
(回想)
アキラ) お父さん。
裕一) へっ?
華) あっ、アハハハ・・・
そう、私のお父さんなの。
古山裕一です。
裕一) いや・・・か・・・彼、今・・・
僕のことお父さんって言った・・・?
音) 言ったかしら? 私は、華の
お父さんって聞こえたけど。
裕一) あ~そう。
アキラ) はい、お父さん!
裕一) えっ?
華) お父さん、手術後は、
睡眠が一番大事だから、よく寝て。
裕一) うん・・・。
でも、お父さんって今言った・・・。
音) 裕一さん・・・ねっ、よく寝て。
裕一) うん、うん・・・。
華) ごまかせたのかな~?
音) 五分五分ね。どうするの?
華) 手術明けのお父さんにロカビリー
歌手を紹介するのは、負担が大きす
ぎると思う。
音) そうね・・・。アキラさんの退院
までごまかしてもらいましょう。
退院いつだっけ?
華) 4日後。
音) 短いようで長いような。
華) 嘘ついて後で困らないかな?
どうして入院してる時に
挨拶しなかったんだって。
音) 退院後につきあったって
ことにしましょう。
華) いいね。
4日なら乗り切れるよね?
音) 私もなるべくいるようにするけど・・・
アキラさんにちゃんと伝えてね。
華) うん。
**********
<病室>
池田) あ~最初っから飛ばし過ぎだ。
代わりの指揮者見つけたから、
しばらく休め。
裕一) いや~ご迷惑おかけして
本当に申し訳ないです。
譜面はここで書きます。
池田) 駄目だ駄目だもう!
休む時は休む! なっ?
じゃあ、また来るから。お大事に~。
裕一) すいません。
**********
<病院の廊下>
華) 痛くない?
アキラ) 全く。こんなこともできる。
華) あ~無理しちゃ駄目!
努力が水の泡になる。
アキラ) アハハハ・・・冗談冗談。
さあ、何する?
華) 激しい動きのために筋力強化。
アキラ) え~?
あれきついんだよな・・・。
華) 文句言わない。頑張りましょう。
アキラ) うん・・・。
華) はい。
(壁に両手をつき、
膝の曲げ伸ばしをするアキラ)
アキラ) うっ・・・ハァ・・・。
あのさ・・・ごまかすって話だけど、
俺うそ苦手なんだよな。
華) 分かってるけど、今は必要なの。
アキラ) 言った方がよくない?
華) お父さんの傷口が開く。
アキラ) ロカビリーってそんなにまずい?
華) まずいっていうか・・・
とにかく悪い印象だけは避けよう。
言葉遣いも丁寧にね。
アキラ) うん。
**********
<病室>
音) あっ・・・こんにちは~。
チエ) こんにちは。
音) 着替え持ってきました。
裕一) ありがとう。
音) あら・・・これは?
裕一) 池田さんのお見舞い。
音) ブランデーケーキ・・・
なんて芳醇な響き。
裕一) 池田さんがよろしくって。
音) ありがとうございます。フフフ。
裕一) あっ・・・あれ?
リハビリでしたっけ?
もう終わったんですか?
アキラ) おかげさまで。
華さんのおかげで元に戻りました。
華さんはすばらしい女性で、優しくて、
かわいくて、いつも一生懸命で。
音) 裕一さん!
裕一) うん?
音) あれは白鳥かしら?
裕一) いててて・・・うん? どこ?
音) 一瞬見えたんだけど・・・
ハトだったのかしら?
華) ハトよ! こんなとこに白鳥
いるわけないじゃない。
裕一) あっ!
(窓の外を白鳥が横切る)
裕一) きれい・・・。すごいね。ねっ?
アキラ) とても。
裕一) あれ? えっと名前、名前・・・。
アキラ君だったっけ?
アキラ) はい。
裕一) 名字は?
アキラ) 霧島です。霧島アキラです。
裕一) 霧島・・・。何か俳優とか、
歌手みたいな名前だね。
霧島君は、学生? もう働いてるの?
アキラ) と・・・とび職です。
音) んっ・・・。
裕一) あ~じゃあ、それも仕事で。
アキラ) はい。とても大きなビルの建設時
に、足場から足を滑らせてしまいました。
(華に注意を促され)ああ・・・。
裕一) 大変だったね~。そっかそっか。
**********
<智彦のラーメン屋>
(ラーメンを食べている音と華)
音) とび職なんて・・・。
華) お父さんがとび職人だから
思わず出ちゃったって。
音) それにつらつら話
合わせられたのね。
華) 不幸中の幸いです。
音) 余計まずいでしょ。うそだって
明かさなきゃいけないなら、せめて
うそが下手な方がかわいげがある。
華) 東京タワーを建てるのが
夢ですって言った時・・・。
(回想)
アキラ) 東京タワーを建てることが
夢なんです。日本一高い塔の上で
仕事をするために今頑張ってます!
華) 信じかけた~。
俳優でもいけるかもな~。エヘッ。
音) 「エヘッ」じゃないでしょ。
調子に乗って膨らませ過ぎよ。
華) お父さんと話したかったん
じゃないかな?
音) ロカビリーの歌手ってだけでも
まずいのに、今じゃうそつきのロカ
ビリーよ。あ~どうしよう・・・。
華) んっ・・・。
音) お義兄さんどう思います?
智彦) えっ?
音) えっ?
智彦) え~?
ケンお前はどう思う?
ケン) そうだな・・・全部解決するには・・・
アキラさんが本当にとび職人になる!
音) それよ!
華) 「それよ!」じゃないでしょ!
全く・・・。
音) 全く・・・。
華) 今この瞬間も、2人で並んで
寝てるんだよね。
音) 華・・・これは運命よ。
(ラーメンを食べる音)
**********
<病室>
音) どうぞ。
アキラ) ありがとうございます。
裕一にバレないために、
昼は音が張り付き、
当たり障りのない会話に
終始するよう努めました。
音) おいしいでしょ? もうね、カリッカリ
で中はほら、ふわふわなんですよほら。
裕一) ねえ・・・。
音) わ~おいしそう! 頂きま~す。
**********
裕一とアキラ2人きりの夜は、
仮病作戦で乗り切ることにしました。
アキラ) (せきこみのマネ)
裕一) 夜になると急にせきこむね。
アキラ) (せきこみ)
裕一) 大丈夫? 誰か呼ぼうか?
アキラ) (せきこみ)
**********
華) 空ぜきし過ぎて、
喉がガラガラだって。
音) そんなにやらなくていいのに。
華) やり始めるとひたむきなんだ。
リハビリでも弱音は初めだけ、
あとは一人で黙々とやってた。
音) そう・・・。まっ、明日無事退院して、
きちんともう一回、お父さんに紹介し
ましょう。お父さんにはお母さんが
うまく言っておくから。
華) ありがとう。
音) うん。お風呂入りなさい。
華) はい。
**********
<病室>
裕一) うん・・・やっぱり味が薄いね~。
アキラ) だんだん慣れてきますよ。
裕一) 僕の妻はね、八丁みそを扱う
土地の生まれでね、初めは違和感
だったけど、だんだん慣れてくるもん
だよね。
アキラ) すてきな奥様です。
元気で、明るくて、若々しくて。
裕一) ありがとう。霧島君独身?
アキラ) はい。
裕一) うん・・・
いい人に出会えるといいね。
アキラ) はい。
**********
華) 退院おめでとうございます。
(アキラに花束を渡す華)
(拍手)
アキラ) 皆さんのおかげで、ステージに
復帰できます。ありがとうございます!
裕一) ステージ?
華) !!
アキラ) !!
(窓を指さす音)
音) あっ・・・白鳥が・・・。
女性) えっ?
**********
ロカビリー云々よりも、それ以前に裕一は、
「お父さんは心配性」状態だったからね~。
相手が誰であってもアワアワしそうよねw
裕一が手術して入院という強引な展開の
中、繰り広げられるミニコントw 手術明け
なのに、音に頭をたたかれる裕一が不憫。
手術明けって設定じゃなければね~いい
ツッコミなんだけど、真面目な視聴者だも
んだから・・・病人にやめれ~と思ってしま
って素直に楽しめなかったのが残念。もっ
と軽い入院でもよかったんじゃないかい?
あさイチのプレミアムトークは裕一の中の
人。やっぱり、役者はいいんだよね。窪田
君も頑張ったし、ふみちゃんも頑張ってた。
他の役者さんたちも、いい仕事してくれた。
志村けんさんの姿も、映像に残してくれた。
本当に大変な朝ドラだったなあとしみじみ
思う。クラックアップの映像に泣けたもの。
ついね、ベストの状態でやらせてあげたか
った、見たかったと思ってしまい・・・辛口な
感想になりがちだったのが申し訳なかった。
最終週は、素直にそのまま楽しもうと思う。
どんなエールが待ってるのか、楽しみ~♪
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