「エール」 第114回
第23週 「恋のメロディ」
運命の人・・・見つかりました~!
※無断転載対策のため、不本意ですが、
しばらく、注意喚起させていただきます。
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<看護婦の詰所>
榎木) 華、華・・・フフッ。
休憩中にうたた寝なんて珍しいね。
いつもカルテとか読んでるのに。
華) ちょっとね・・・。
榎木) 何?
華) いや・・・いい。
榎木) えっ、言ってよ~。
同期のよしみじゃない。
華) 最近ね・・・
夜の街に繰り出してるの。
榎木) 華が? どうして?
華) 私軽い女になろうって思って・・・
もっと気軽につきあえる女になろうって。
榎木) ・・・で?
(回想)
男性) 乾杯。
華) 乾杯。
男性) 好きだ。
華) 乾杯してすぐに好きって言う
男にお酒吹き出しちゃったし・・・。
手鏡見てる男に鳥肌立って
じんましんが出るし、
自分からよさそうだって
勇気出して声かけたら・・・。
(回想)
男性) ママみたいな人と、結婚したい
って、本気で思ってるんだ。
華) お母さんの話ばっかりする男で
説教しちゃうし。
(回想)
華) あのですね、あの・・・
自立っていう言葉を知ってますか?
華) もうどうなってんの?
今の日本男児は。
榎木) う~ん・・・もう少しマシな男は
いると思うけど。
華) 確かに、一人だけ、アメリカの大学
で医療の勉強をしてきたって外科医
が声かけてきたの。
榎木) うん・・・いいじゃない!
華) それが自慢話ばっかりだし、ちょい
ちょい挟んでくるアメリカンジョークにも
イライラしちゃって。
(回想)
城畑) 患者がね、「ドクター、とても緊張
します。僕、初めての手術なんです」っ
て不安げに言うと、そのドクターが、こ
う答えたんだ。「心配いりません。私も、
初めてですんで」。フフッ、ハハハハハ!
華) それに・・・。
(回想)
城畑) 日本の医療は世界から100年遅れ
てるよ。骨折した人をそのまんま放り出
すなんてもうありえない。
華) ・・・なんてとうとうと
しゃべるから腹が立って。
榎木) ふ~ん。でも役に立ちそう。
華) そうなの! 特に、リハビリテーション
の考え方はすっごく参考になった。
榎木) リハビリテーション?
華) 骨折でも、今はただ固めて退院さ
せるけど、患者さんの予後の行動では
運動障害が残ることもある。そうならな
いように病院で訓練して、元の生活や
仕事に戻れるようにするのがリハビリ
テーション。これこそ私たちの仕事じゃ
ない? ねえどう思う?
榎木) いいんじゃない?
院長先生にも相談してみたら?
**********
<院長室>
院長) いいよ。
華) ありがとうございます!
院長) ロカビリーの、アキラ君で
やってみてくれたまえ。
華) えっ? あっ、でも、ほかにも・・・。
院長) 初めてのことで、危険を伴う。
若い人の方がいい。それに、彼の
おじいちゃんは、私の小学校時代
の同級生なんだ。彼の骨がくっつ
いても、ステージを飛び回れないじ
ゃ申し訳が立たん。
**********
(院長室を出る華)
華) (ため息)
よりにもよって・・・。
嫌がるだろうな~。
**********
<病室>
アキラ) 面白そう! やろう。
華) えっ?
アキラ) いつやる? 今から?
華) すごくつらいんですよ。
覚悟はありますか?
退院も、大幅に延びますよ。
アキラ) 余計うれしいよ、
華さんと一緒にいられるから。
(ウインク)
華) (せきばらい)
明日から始めます。
よろしくお願いします。
アキラ) 華さん、ありがとう。
正直、前みたいにステージに
立てなかったらどうしようって
不安だったんだ。
俺頑張るから、応援、頼みます。
華) はい。
**********
<次の日>
華) では、壁を頼りに、
杖なしで歩いてみましょう。
アキラ) いきなり!?
華) 杖に頼る時間が長いと、
体のバランスが崩れます。
可動域を広げるためにも、
なしで挑戦してみましょう。
アキラ) えっ?
華) はい。
(松葉杖を取り上げ、
アキラの腕をつかむ華)
華) よし・・・じゃあいきますよ。
アキラ) うん。
華) せ~の! 1、2、3・・・。
アキラ) あ~いってえ! ああ・・・。
華) 最初はつらくてもだんだんよく
なってきます。頑張りましょう。
せ~の! 1、2・・・。
アキラ) あ~いてててて・・・!
ああ・・・。
(転んでしまうアキラ)
華) リハビリテーションは、地道な
努力の積み重ねなんです。
アキラ) あ~それは分かるけど・・・。
君さ、ちゃんとした知識持ってやっ
てる? まあいいや。肩貸して。
**********
(家で猛勉強する華)
華) あいつの言うとおりだ。
アメリカ野郎の話だけで
やろうとするなんて・・・。
(ノック)
音) 華。お茶いれたわよ。
華) ありがとう。
音) 軽い女計画はやめたの?
華) 早々にね。
音) ふ~ん。
(お菓子を食べる2人)
音・華) フフフフ・・・。
華) ねえ、お母さん、
結婚した方が幸せだと思う?
音) う~ん・・・。そうね。
華) どうして?
音) どうしてって・・・う~ん・・・。
お父さんと駆け落ちして、
二十歳で一緒にここに住んで、
いろんなことがあった。
華が生まれて・・・戦争が始まって、
喜びも、悲しみも、全部お父さんと
分かち合ってきた。
フフッ・・・うん・・・。
一緒だと楽しいわよ。
華のことを理解し、愛し、そばに
いてくれる方がいれば、私は安心。
フフッ。
華) こんな重い女、受け入れて
くれる人いるかな?
音) フフフフ・・・。
**********
<病院>
華) このパイプがゴールの目印です。
ここまで自力で歩けるように、
リハビリ頑張っていきましょう。
アキラ~ 遠いな~。
華) 少しずつで大丈夫なので、
一緒に頑張りましょう。
アキラ) うん。
じゃあまずは、一歩ずつ。
せ~の! 1、2、3・・・。
1、2、3・・・。
アキラ) あ~いってえ・・・。
華) 上手です。1、2、3・・・。
アキラ) ああ・・・ハァ・・・しんどい。
華) 休みながらで大丈夫です。
ゆっくりいきましょう。
アキラ) うん。
**********
華) はい、曲げます。
アキラ) ハァ・・・。
華) そう、息吐いて下さいね。
はい、もう一度。
アキラ) あ~いってえ・・・ハァ・・・。
華) 曲げます。
**********
(自宅でリハビリの勉強をする華)
**********
アキラ) 要らない。
華) えっ?
(松葉杖なしで、華が立って
いる場所を目指すアキラ)
(バランスが崩れる)
華) あっ・・・。
(駆け寄ろうとする華を制し、
ふたたび歩き出すアキラ)
(華の肩につかまるアキラ)
華) あっ・・・すごい!
アキラさんすごい!
アキラ) うん。
華) そろそろ時間です。
アキラ) 俺もう少し一人でやる。
いいよね?
華) 無理しないで下さいね。
アキラ) うん。
ああ・・・ハァ・・・。
(廊下の先でアキラを振り返る華)
アキラ) よし・・・。
**********
<病室>
華) お変わりありませんか?
チエ) 最近気分がいいみたい。
華) 食欲も出てきましたしね。
チエ) それもあるかもしれないけど・・・
アキラ君が明るい空気出してくれるか
らかな。気配りできる優しい子だよ。
この前もね、丁寧に白い筋、
取ったみかん、くれたのよ。
あんなにきれいなの見たことない。
私ね、毎日、華さんとアキラ君が
うまくいきますようにって、仏様に
拝んでるからね。
華) 私は、何も・・・。
チエ) あら? そう?
**********
<華の部屋>
(白い筋を丁寧に取って、
みかんを食べてみる華)
(アキラのことを思い出し、
一人ほほえむ華)
**********
<病院の庭>
アキラ) うめえ! これ普通じゃないね。
華) お母さんお薦めのお店なの。
アキラ) 銀座までわざわざ?
俺のために買ってきてくれたの?
華) 頑張った患者さんへのご褒美です。
それなりのものじゃないと失礼ですから。
アキラ) んっ、華さんのお父さんって、
有名な作曲家なんだってね。
びっくりしちゃった。俺でも知ってるもん。
「露営の歌」とか、「長崎の鐘」とか。
はあ・・・すごいな~。
家ではどんな人なの?
華) 優しい普通のお父さんです。
アキラ) ふ~ん。会ってみたいな。
華) フフ・・・
会ってどうするんですか?
アキラ) 娘さんを下さいって言うの。
華さん・・・。
俺とつきあってくれない?
華) えっ?
アキラ) 君のことが好きなんだ。
隣にいると、落ち着くんだ。
華) そ・・・そういうの、よくあるんです。
患者さんの一時の感情で。でも・・・
退院するとそういう気持ちは、なくな
ります。
アキラ) 生半可な気持ちで言ってない
から。君の気持ち、聞かせて欲しい。
**********
<劇場の楽屋>
池田) おう・・・後半出来た。
裕一) はい。
池田) あ~。早めに頼む。
裕一) 早め・・・はい。
池田) よっしゃ・・・。
(ドアが閉まる音)
(楽譜を書く裕一)
(ノック)
裕一) はいどうぞ。
音) 失礼します。
裕一) あ~音。きれいだね。
音) フフフフ・・・
あら、まだ必要なんですか・
裕一) うん・・・次の公演のやつ。
音) 本番前なのに、大変ですね。
裕一) うん。
その次も詰まってるんだよ。
もう少し早く台本書いてくれたら
いいんだけどね。
音) これ皆さんに。
裕一) あ~ありがとう。
あっ、舞台楽しんで。
音) はい。フフッ。
(出て行く着物姿の音)
**********
<古山家>
音) ただいま~。
華) お帰り。どうだった?
音) 満員のお客様が、
ドッカドッカ笑って楽しかった。
音楽性もすごく自由で。
華) 私も行こう。
音) 指揮者のお父さん、
かっこよかったわよ。惚れ直した。
華) はいはい。(笑)
(華の笑顔を見る音)
音) 何かいいことあった? うん?
華) お母様・・・。
音) うん?
華) ご心配、おかけしました。
運命の人・・・見つかりました~!
音) ええ~っ!?
**********
軽い女になるべく、本当に夜の街に繰り
出していた華ちゃん。すげーぞ華~!!
いきなり一人で夜の街に繰り出せるって
ところは・・・関内家&音のDNAだよねえ。
華・・・なんだかとっても恐ろしい子・・・w
喜びも、悲しみも、全部お父さんと
分かち合ってきた。
一緒だと楽しいわよ。
華のことを理解し、愛し、そばにいて
くれる方がいれば、私は安心。
華に結婚した方が幸せかと聞かれた音
の答。単純に、一緒だと楽しいと思える
人がいいよね。確かにずっと、裕一も音
も一緒にいて楽しそうだ。この人と一緒
だと、人生が楽しくなりそうって思えるの
はいいね。そのままの華をいいと思って
くれる運命の人に出会えてよかった~。
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