「なつぞら」 第144回
第24週 「なつよ、この十勝をアニメに」
大草原の少女ソラ！ そしてついに・・・！？
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なつたちの、新しいテレビアニメの
放送が、始まりました。
（テレビの前に優となつと坂場）
ﾃﾚﾋﾞ） ♪「まぶしい大地に広がる空
風は優しさ 運んでくれる」
（「唄 煙カスミ」のテロップが出る）
ﾃﾚﾋﾞ） ♪「森は心を 育ててくれる」
（家族とみている泰樹）
ﾃﾚﾋﾞ） ♪「昨日の涙と
明日の笑顔は きっと友達」
（雪月で見ている亜矢美）
亜矢美） カスミ姉さん…！
雪次郎） あ～！
ﾃﾚﾋﾞ） ♪ラララ ラララ ラララ ラララ
（画面の中央に「企画 マコプロダクション」
のテロップ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
富士子） あっ、始まった。
ナレ） 「あたらしい家族」。
ソラ） 「父さん、あとどのくらい？」。
父さん） 「もう少し上流に行くと、
町が見えてくるはずだ」。
地平） あっ、ひいじいちゃんそっくり。
ソラ） 「ねえ、母さん見て！」。
母さん） 「どうしたの？ ソラ」。
ソラ） 「あそこ！
鳥たちが、戻ってきているわ！
あなたたちうれしそうね、フフフフ…」。
父さん） 「ハッ！」。
ソラ） 「うわっ！」。
母さん） 「ソラ、ちゃんとつかまって」。
父さん） 「地面全体がぬかるんでいる。
どうやら、この辺りも川の水に流されたんだ」。
母さん） 「ここに暮らしていた人たちも、
無事に逃げていればいいのだけど…」。
（鳴き声）
ソラ） 「あそこ！ 生きてる！
生きてるわ、父さん！ 助けを呼んでる！
早く！ 早く助けなきゃ、父さん！
父さん） 「この子の親は流されてダメだった
ようだ。母さん、すぐにあたたかいものを」。
母さん） 「まずはびしょ濡れの服を
替えましょう」。
父さん） 「レイ…お前は、俺たちと一緒に
行こう。新しい土地へ」。
レイ） 「僕には…
行く場所なんてどこにもないんだ！」。
ソラ） 「あっ…レイ！ 待って！
どこに行くの、レイ」！
ソラ） 「レイ、一緒に行きましょう。
レイ） 「父さんも母さんも死んだんだ…。
もう誰いないんだ…。
君には僕の気持ちなんて分からないよ」。
ソラ） 「あなたが生きていて、本当によかった。
あなたの気持ちは分からないけど、でも、
あなたが、悲しいことだけは分かるわ！
それだけじゃいけないの？」。
（画面を見つめている泰樹）
（富士子と剛男の目には涙が溢れている）
（牛の鳴き声）
ソラ） 「うわっ！」。
レイ） 「こっちだソラ！」。
ソラ） 「牛は、おとなしいはずなのに！」。
レイ） 「犬が怖くて逃げてるんだ！」。
ソラ） 「牛をひきつけるから、犬を追い払って！」。
レイ） 「ああ、分かった！
やい！ あっち行け！ ソラ！」。
ソラ） 「お～！」。
（牛の前に立つソラ）
ソラ） 「お～お～。
よしよし、怖かったよね…もう大丈夫」。
レイ） 「犬は逃げてった！ 大丈夫か？」。
ソラ） 「野犬は、レイが追い払ってくれたよ」。
（牛がレイを舐める）
レイ） 「うわ…！」。
ソラ） 「この子は、
レイにお礼を言ってるんだわ！」。
泰樹） ハハハ、ハハハハハ…。
（よだれまみれのレイの顔）
ソラ） 「ハハハハハ…」。
レイ） 「アハハハハ…」。
泰樹） ハハハハハ…。
（エンディングの音楽に載せて、声の出演や
製作スタッフのテロップが流れる）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（東洋動画スタジオでテレビを見ている仲）
（「キャラクターデザイン、作画監督、
奥原なつ」のテロップに顔がほころぶ仲）
（机に向き直り、馬の絵を描く仲）
（「プロデューサー、大沢麻子、演出、坂場一久、
製作、マコプロダクション」のテロップ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜坂場家＞
（テレビのスイッチを切る坂場）
坂場） 優、どうだった？
優） 面白かった！
レイも、家族になれるといいね。
坂場） そうだね。
なつ） やった～ハハ…。
坂場） そうか、優、面白かったか。
あとは？ あとどこ面白かった？
なつ） どこ？
優） 牛との駆けっこ！
坂場） 牛？ 牛出てきたな。
優） うん。
（電話の呼び出し音）
電・なつ） はい、もしもし。
電・富士子） なつ…みんなで見てたわ。
電・なつ） ありがとう。どうだった？
電・富士子） 面白かったわ。
電・なつ） じいちゃん楽しめたかな？
電・富士子） 楽しそうに見てたさ。
牛がなめたところで笑ってたわ、ハハ…。
電・なつ） そう。ならよかった。それが
きっかけで、牛飼いになる話だから。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜翌日＞
出前） 毎度どうも。
麻子） どうも。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜マコプロダクション＞
坂場） お帰りなさい…どうでしたか？
麻子） うん…視聴率はあんまりよくなかった
けど、１回目だし、内容的にはスポンサーも
納得してくれたみたい。ただ、話が地味すぎ
たかもしれないとは言ってたけど。
坂場） 地味ですか…。
神地） そんなの始まる前から
分かってたことでしょう。
麻子） テレビ局の中には、あれで当たるなら
誰も苦労しないって、露骨に言う人もいたわ。
桃代） ひどい！
下山） それじゃ、まるで僕たちが、
苦労してないみたいじゃないですか。
陽平） まあ、それでもとにかく続ける
しかないよ。
坂場） 続けましょう。
神地） チクショー！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
その後も、視聴率は、
あまり上がりませんでした。
放送からひとつきがたち、
打ち切りの話も出かかった頃に…。
思いも寄らないことが起こったのです。
麻子） これ、見て見て！
坂場） 視聴者からですか？
麻子） そう。
下山） 子どもからですか？
麻子） 子どもからのもあるけど、ほとんど
が親からよ。「子どもと一緒に楽しく見て
ます」って。「子どもにこういうものを見せ
たかった」って。
神地） 新しいものを作ってるんだから、その
良さに気付くのには時間はかかるんだよ。
なつ） 頑張りましょう！
麻子） うん。ということで、私はもう限界。
なつ） えっ？
麻子） プロデューサーをやりながら、
動画チェックを手伝うのは無理があった。
特に、イッキュウさんの演出のもとでは。
坂場） すいません…。
麻子） それで、新しい人に来てもらう
ことにしたから。ね？ 下山さん。
下山） はい。
なつ） えっ…まさか！？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
茜） お久しぶりです。
神地） 茜ちゃん。
なつ） 茜さん！
坂場） お待ちしてました。
麻子） マコプロへようこそ。
桃代） 茜さんが来てくれるなんて夢みたいね。
茜） だいぶ腕は鈍ってると思うけど…。
麻子） 茜ちゃんなら大丈夫よ。
なつ） お子さんは、
お母さんに預けるんですか？
茜） うん、そう。とうとう私の母を説き伏せて、
しばらく家にいてもらうことにしたわ。人手が
なくて困ってるって聞いて、この仕事は、ち
ょっとやってみたくなったのよ。作品が面白
いもの！
なつ） ありがとう茜さん！
茜） まあ、私が働けるのは夕方までだけど。
なつ） 大歓迎です！ ハハハ…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
茜） 神っち、下山さん、ちょっといい？
下山・神地） はい。
こうして、茜さんも仕事に復帰し、
１週間に１本仕上げるという、目の回る
ような、忙しい日々が続いていきました。
石沢） 回収行ってきます！
麻子） お願いします。
（絵コンテを見る麻子の横で、動画チェックの
立山久子がまんぷくヌードルを食べている）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
そして、その日曜日、
その日も、休めずに働いていました。
（表でボール遊びをする麻子と優）
麻子） お～上手上手。
あ～ごめんごめん…。
優） ありがとう。
（転がったボールを優に渡し、
去って行こうとする女の子）
麻子） ちょっと待って！ あ…もしかして、
ここが何を作ってるところか知ってる？
女の子） ソラ？
麻子） そう。！ っぱり知ってて来たの？
ここ見に来たの？
女の子） はい…ソラが大好きです。
麻子） ああ…うれしい！ね。
あ…そうだ。ちょっといらっしゃいよ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
麻子） どうぞ。
（嬉しそうに中に入る女の子）
麻子） みんな、
この子がソラのファンなんだって！
ここ見に来てくれたんだって！
どうぞどうぞ。入って入って…。
男性） いらっしゃい！
麻子） モモッチ、何かあげてもいい
セル画を持ってきて。
桃代） あ…はい。
麻子） これね、
セル画っていうんだけど、持ってく？
女の子） えっ、いいんですか？
桃代） どうぞ。
女の子） わあ！
（セル画に描かれた、妹をおんぶしたソラ）
麻子） おうちはこの近くなの？
女の子） いいえ。
麻子） 遠いの？ 一人で来たの？
女の子） お母さんと。
麻子） えっ？ どこにいらっしゃるの？
女の子） 向こうの道で待ってます。
麻子） やだ、私勝手に連れてきちゃった…。
桃代） お名前は？
千夏） 杉山千夏です。
桃代） ちなつ？
何だ、小さいなっちゃんじゃない。
どういう字書くの？
千夏） 千の夏です。
桃代） ふ～ん…。
千夏） これ、本当にもらってもいいですか？
麻子） どうぞ。
千夏） ありがとうございます。
麻子） これからも、ソラを応援してね。
千夏） はい！ ありがとうございました。
麻子） ごめんね、勝手に連れてきて。
優ちゃんお見送りしよっか。ありがとう。
（戸が開く音）
（丁寧にお辞儀をし、笑顔で去って行く千夏）
（女の子を目で追い、表に出て行くなつ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（門で女の子の手をつなぐ母親の手が見える）
（角まで走って、女の子の母親を見るなつ）
なつ） 千遥！ 千遥…？
（女の子と手をつないだ千遥がなつを振り返る）
なつよ、ついに…。
来週に、続けよ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
荷馬車はちゃんと荒れた大地を走ってるような
振動が感じられたし、たき火の動きもちゃんと
していた。神っち、下山さんが工夫したところも
ちゃんと絵に反映されいたよね。エクセレント！
福ちゃん（安藤サクラ）のナレーションもグッド！
「大草原の少女ソラ」、めっちゃ見たい。このま
ま朝ドラがアニメになってくれてもよくってよ～。
千遥の娘千夏として、ちびなつが登場。ちょっ
と大きくなって、めっちゃ可愛くなってたね～。
千遥の中の人の演技力にはさすがのひと言。
セリフがなくても、十分今までが伝わってきた。
おかげで…申し訳ないけどヒロインが下手す
ぎることがあからさまに分かってしまって…。
（もうちょっとリアクション何とかならないか？）
千遥と一緒に演技することになっても大丈夫
なのかしら～と、心配になってきたよ…(^_^;)
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