「なつぞら」第127回~作画監督に・・・でも預け先が見つからない! | 日々のダダ漏れ

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「なつぞら」 第127
第22週 「なつよ、優しいわが子よ」
作画監督に・・・でも預け先が見つからない!

 

 

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なつとイッキュウさんに、

娘が生まれて、優と名付けられました。

なつは、職場に復帰し、昼間は、

イッキュウさんが、子育てをしました。

2人は、大変な思いをしながらも、

優の成長が、何よりの生きがいに

なっていました。そして、イッキュウさんが、

マコさんのプロダクションに、勤める日も、

近づいていましたが…。

 

なつ) あ…。

坂場) ダメだった。どこも落ちた。

なつ) えっ…全部?

 保育園全部落ちたの!?

坂場) うん…。

なつ) え~…どうすんのよ?

 

**********

 

<東洋動画スタジオ・テレビ班作画室>

なつ) おはようございます。

荒井) お~おはようさん。

 なっちゃん、仲さん呼んどったで。

なつ) 仲さんが?

 

**********

 

なつ) 新しい企画?

仲) そう。とうとう、なっちゃんにも

 作監の機会が回ってきたんだよ。

なつ) あ…作画監督の?

仲) 内容はまだ、

 僕も聞いてないんだけどね。

なつ) テレビ漫画ですか?

仲) うん、だろうね。

なつ) ああ…。

仲) なっちゃん、無理なら、

 断ってもいいんだよ。

なつ) え…。

仲) まだ育児も、大変な時期だろ。

 作監になるのを、あと、何年か待って

 もらっても、それで、クビになるような

 ことはないと思うから。

なつ) 実は、悩んでるんです、そのことで…。

 イッキュウさんが勤めに出るのに、まだ、

 子どもの預け先が決まっていなくて…。

仲) うん…とにかく、話だけは、

 聞いてみようか。

なつ) はい。

 

**********

 

<社長室>

(ノック)

山川) はい。

仲) 失礼します。

山川) どうぞ。

なつ) 失礼します。

山川) 奥原さん。育児の方は、

 もう、落ち着かれましたか?

なつ) はい、おかげさまで。

山川) それはよかった。

 まあ、掛けて。

山川) 奥原さんには、約束どおり、これから、

 作画監督をお願いしたいと思っています。

 あとは、製作部長の方から。

佐藤) 新しいテレビ漫画シリーズで、

 放送は今年の秋からを予定している。

仲) どういう企画なんですか?

佐藤) 企画は、これだ。

仲) 漫画原作なんですか。

なつ) 「キックジャガー」?

 ちょっといいですか?

(一冊手に取るなつ)

佐藤) キックボクシングを題材にした漫画だ。

なつ) キックボクシング?

佐藤) 見たことある?

なつ) 見たことはありませんが知ってます。

 足を使ってもいいボクシングですよね。

佐藤) そう。もともとはタイの伝統的格闘技

 ムエタイから来ているんだが、キックボクシ

 ングは日本で生まれた新しい格闘技だ。

 それが、今じゃもう大人気で、テレビ中継は

 高視聴率だ。沢村忠、スーパースターを生

 み出した! 知ってるかね? 沢村忠。

なつ) いいえ…。

佐藤) 真空飛び膝蹴り!

 こうやるんだ…アイヤー!

仲) 佐藤部長…格闘技お好きなんですね。

佐藤) 大好きだ。いや絶対いけるよこれ。

 この企画、受けるよ。

なつ) これ、

 主人公は覆面をしているんですか?

佐藤) そう! ジャガーの覆面、

 その名も、キックジャガーだ。

山川) 覆面ってのがいいよ。しゃべる時に、

 口を動かさなくて済むからね。

なつ) はあ…。

仲) いや、しかし、格闘技の漫画を、女性の

 奥原さんに任せてしまうのは、どうなんでし

 ょうか? いや、作監なら、もっとふさわしい

 人間がほかにもいると思うんですけども。

佐藤) ただの格闘漫画じゃないんだよ。

 キックジャガーはね、孤児院の出身で、

 孤児たちのために戦ってるんだ。

 泣けるいい話なんだ。

 君ならこの作品の世界観描けるだろ。

山川) 無理なら無理だと、

 はっきり言ってもいいからね。

なつ) 分かりました。やらせて下さい。

仲) なっちゃん…。

なつ) 約束は約束ですから。

仲) 本当に大丈夫なの?

 悩んでるんでしょ?

なつ) それは…なんとかします。

山川) 作画監督は、全ての作画に目を通し、

 絵の質やキャラクターを統一しなくては

 ならない、激務です。意地で引き受ける

 ことはないですよ。契約にしろなんて、

 もう言いませんから。

なつ) 意地ではありません。

 覚悟はしてましたから。

 期待して頂けるなら、応えてみせます。

 

**********

 

<休憩所>

なつ) (ため息)

神地) あっ、なっちゃん。

なつ) 神っち…。

神地) 何か、

 大変な仕事引き受けたんだって?

なつ) いや…

 仕事自体は別にいいんだけどさ。

神地) 子どものことか?

なつ) うん…。

 保育園には、全部落ちてしまって。

神地) 預ける先がないのか。

なつ) うん…それなのに、イッキュウさん

 に相談もせず、新しい仕事を引き受け

 てしまった。はあ…私はバカだ。

神地) まあバカだからやってけんだよね、

 こんな仕事。

なつ) バカな母親は、始末が悪いの…。

 私も飲もう。

(コーラを飲む神地)

 

**********

 

<坂場家>

坂場) 作画監督か。

なつ) うん。

坂場) とうとう来たか。

なつ) ごめんね、相談せずに引き受けて。

坂場) いや、引き受けることは、子どもを

 産む前から分かってたことじゃないか。

 しかたないよ。

なつ) うん、そうなんだけど…。

坂場) なんとかするしかないよ。

 そのビラで、誰か見つかるかもしれないし。

なつ) うん…でも作監なんてしたら、

 預かってもらう時間も長くなるよね。

 ねえ、いくらまでなら出せると思う?

坂場) よいしょ…う~ん…

 まあ月6000円までが限度だろうな。

なつ) 6000円って安くない?

坂場) いやそれ以上は、

 君と僕の収入ではきついだろう。

 それは純粋な人件費で、

 経費は別に払うんだから。

なつ) うん…。

(描きかけのビラに謝礼月六千円と書くなつ)

(優の声)

坂場) ああ…よいしょ。

(優の声)

坂場) はい、はいはい…。

(ブザー)

なつ) あっ。

坂場) 誰か来た。よいしょ…優。はい。

(優をなつに渡す坂場)

なつ) はい。

坂場) は~い。

(戸が開く音)

坂場) あ、こんばんは。どうぞ。

麻子) お邪魔します。

なつ) あ…マコさん!

麻子) こんばんは。まあ、優ちゃん!

 大きくなったわね、ハハハハ…。

なつ) マコおばさん、覚えてる?

麻子) おばはいらないでしょ、おばは。

なつ) あ…マコさん、すいません。

麻子) マコちゃんって呼んでね。

 預け先が見つからないんだって?

なつ) えっ?

麻子) 昼間、イッキュウさんから電話

 もらったの。預け先が見つかるまでは、

 入社を待ってくれって。

なつ) そうなの?

坂場) しかたないだろ。どうぞ。

麻子) もうこうなったら、私も一緒に

 考えるしかないでしょ。

なつ) マコさん…。

麻子) 私のためでもあるでしょ。

なつ) 本当に、すいません。

麻子) あなたが肩身の狭い思いをする

 必要なんてこれっぽっちもないの!

 そんなんじゃ戦っていけないわよ。

 優ちゃんも、自分も守っていかなきゃ

 しょうがないでしょ。

なつ) はい…。

麻子) バカ、泣いてんじゃないよ。

 どうしたの?

なつ) いや、すいません…。

 マコさんに会うと、何かほっとして。

麻子) それで、今は何が一番必要なの?

坂場) もう行政には頼れないので、

 無認可の保育園か、個人で保育を引き

 受けてくれる人を探すしかないんです。

なつ) そのビラを、今、

 描いてたところなんです。これ。

麻子) これどうするの?

坂場) 近所の、

 電信柱や掲示板に貼るんです。

麻子) よし。あと何枚必要なの?

なつ) とりあえず、10枚は。

坂場) うん…。

麻子) 私も手伝う。優ちゃんに会いたく

 なるような絵を描けばいいんでしょ?

 ハハハハハ…。

なつ) マコさん…ありがとうございます。

坂場) すいません。

麻子) ペンと紙を下さい。

坂場) あ…じゃ、ここで。

麻子) はい。

 

**********

 

(テーブルに向かい、ビラを書く麻子となつ)

麻子) なっちゃんは今どんな仕事してるの?

なつ) 今度、作画監督を引き受ける

 ことになったんです。

麻子) 作画監督? 引き受けたの?

なつ) はい。それでどうしてもこのビラが、

 必要なんです。

麻子) それじゃ、本当にいい人を

 見つけないとダメじゃないの。

なつ) はい…。

麻子) それで、どんな作品?

なつ) マコさんの好みじゃないと思います。

(本を差し出すなつ)

なつ) これなんですけど。

麻子) 「キックジャガー」やるの?

なつ) 知ってますか?

麻子) 私も読んでるわよ。

 そうか、東洋動画で決まったのか。

 チクショー。

なつ) チクショー?

坂場) どんな話?

なつ) キックボクシングの話。

麻子) 知らない?

坂場) うん…。

麻子) あの実際にいる、沢村忠みたいな

 スター選手がいて、タイから一人の刺客

 が送り込まれてくる。それが、ジャガーの

 覆面をつけたキックジャガーなの。キック

 ジャガーは反則技でも何でも使うんだけ

 ど、それは悪徳プロモーターが仕組んだ、

 八百長だった。

坂場) なるほど…。

麻子) ところが、この悪役のはずのキック

 ジャガーが、スターに勝ってしまうの。

 怒った悪徳プロモーターは、次々と今度

 こそ本当に、刺客を送り込むの。実は、

 このキックジャガーの正体も日本人で、

 それがバレないように、ジャガーの覆面

 をつけてるの。

なつ) マコさんも格闘技が

 好きだったんですか!?

麻子) 別に。勉強のためよ。

 時代に遅れないために。

なつ) あ…私も勉強します。

麻子) 必殺技は、ダブル真空飛び蹴り!

坂場) えっ、ダブル真空跳びけり?

麻子) 相手の頭上まで飛び上がって、

 空中で両足を、蹴って、蹴って…。

坂場) 蹴って?

麻子) トーヤー!

坂場) あ、いや…危ない!

(ブザー)

坂場) ちょうどゴングが鳴りました。

麻子) ね。

なつ) 誰だろうね…。

坂場) は~い。

下山) よっ。

坂場) おお…こんばんは。

下山) 夜分にごめんなさいね。

坂場) いや。

下山) ちょっといい?

坂場) ああどうぞ。

下山) お邪魔しま~す。あら、えっ…。

麻子) 茜ちゃん、久しぶり。

茜) マコさん!

なつ) いらっしゃい。

坂場) どうしたんですか?

下山) いや…散歩がてら、ちょっとね。

なつ) うれしいね、うれしいね。

下山) マコちゃんに会えるとは思わなかったよ。

麻子) ちょっと…。

茜) いやマコさんにも会えるなんて

 思わなかった。

麻子) 明ちゃんにも会えるとは思わなかった。

 ハハハ…。

茜) マコおばさんよ、覚えてる?

麻子) おばはいらない!

茜) えっ…。

下山) アッハハ…。

 

なつよ、今日はやけに、

戦友が集まる日だな。

 

**********
 

仲) 本当に大丈夫なの?
 悩んでるんでしょ?
なつ) それは…なんとかします。

 

なんとかします。私以外の、「誰か」、が~!!

っていう声が聞こえたのは私だけ? 悩んでみ

せてもす~ぐ誰かが解決しにやってきてくれる

んだもの~。ハラハラする間もありゃしない~。

 

いや、朝ドラにご都合主義、ヒロインあげあげ

はよくある話ではあるけれど…。もち~っと葛

藤というか、悩んだり努力したりする場面があ

ってもバチは当たらないんじゃないの? って

思ってしまうというか。マコさんはやってくるは、

下山夫妻はやってくるは…解決早すぎだろっ

てw 働く女性を応援したいのはやまやまだけ

ど…。人に恵まれたラッキーだけじゃなんだか

ねえ…。何か、現実的な解決方法を見せてく

れた方が、働くママの参考になるだろうに…。

 

 

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