第18週 「常子、ホットケーキをつくる」
水田、ホットケーキと恋人をつくる！の巻
水田） あの…やっぱり、
僕でないと駄目ですか？
料理はからきし…。
花山） いいから。
原稿どおりに作業を続けなさい。
水田） はい。
花山） 「次に、泡立てた卵の白身を、牛乳と
卵黄の入ったボウルに入れ、混ぜ合
わせます」。
鞠子） あ～そうじゃなくて…。
花山） 口を出さない！
鞠子） はい。
花山） 「そこに、小麦粉とふくらし粉を加えて、
固くなるまで、かき混ぜます」。
鞠子） うわぁ…。
花山） かき混ぜて、早く。繊細にね、繊細に。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（焦げたホットケーキ）
一同） あぁ…。
水田） いや…だから、
料理は得意じゃないと…。
花山） まあいい。
まずは食べて、感想を言おう。
美子） じゃあ、私が切ります。
常子） お願いします。
美子） 固いですね。
水田） すみません。
常子） 生焼けじゃないですか？
水田） すみません。
（ホットケーキを試食する常子）
常子） あぁ…う～ん、これは…。
美子） お世辞にもおいしいとは…。
水田） 僕は、言われたとおりに、
作っただけです。
宗吉） だからよ、小麦粉は一度に
入れちゃ駄目なんだって。
水田） いや、そんな事言われなかったし…。
宗吉） それに…何だよ、こりゃ。
カチンカチンじゃねえかよ。
水田） だって、固くなるまで、
かき混ぜるっていうから…。
宗吉） 固すぎなんだよ。
花山） 鞠子さん。もう分かったね？
鞠子） 書いてあるものの受け取り方が、
人によって違う。
花山） ご名答！ 「固くなるまで」と書かれて
いても、その判断は人によって違う。
だが、料理記事を読んで、100人いた
ら、100人が同じように作れなきゃいけ
ないと思わないか？
常子） そうですね。
美子） でもそれは難しいですよね。
花山） 今世の中にある雑誌では、どれも、
料理の作り方は文章だけで表現され
ている。しかしそれでは限界がある。
そこで、必要となるのが…。
美子） 写真ですか？
鞠子） そうか。最初と最後の写真があれば、
調理の変化が見えますね。
花山） フフフ。惜しかったな。
鞠子） えっ？
花山） 写真は２枚では足りない。何枚も使っ
て、調理工程をそのつど見せるんだ。
粉を混ぜる段階。フライパンに入れる
段階。ひっくり返す段階。そのつど見せ
れば、読者は分かりやすいじゃないか。
つまり、料理の分解写真だ！
宗吉） 分解写真…。
水田） なるほど！
美子） そんな記事今まで見た事ないです。
鞠子） ええ。革命的な記事になりそうね。
常子） そうね。
花山） よし。早速撮影を始めよう。
一同） はい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
数日後、
写真入りの記事は出来上がり、
早速試作が行われました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
常子） これで、記事は完成ですね。
花山） これで誰が作ってもおいしい
ホットケーキが作れるだろう。
まだ不安かね？
常子） これが、最後の、「あなたの暮し」
になるかもしれませんから…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
宗吉） この店の事なんだがな…。
あいつら見てて、気付いたんだ。
そもそも、親から受け継いで、料理作っ
てきたのは、客にうまいもんを届けたか
ったからだ。うまけりゃ、洋食和食に、こ
だわる必要はねえと思ってな…。
両方出そうじゃないか。
照代） 両方？
宗吉） うん。和食洋食何でもござれの、
「キッチン森田屋」だ。
照代） キッチンモリタヤ？
宗吉） 「キッチン」が、片仮名で、
漢字で、「森田屋」だ。どうだ？
照代） いいじゃない。
宗吉） そうか…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
そして、いよいよ発売日。
常子の不安をよそに、
分解写真による料理解説は
大きな話題となり…
常子） 売れました。売れてます！
水田） 昨日までで、１万5000部を超えました。
このままの調子だと、次号の制作費も、
捻出できる計算になります！
鞠子） 会社が潰れなくて済むんです！
花山） そうか。
美子） 次も続けられるんです！
花山さん、うれしくはないんですか？
花山） そんな事で一喜一憂してもなあ…。
ひとまず、次号の構想が無駄になら
ずに済みそうだから喜んではおくか。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
茜） お父さん、ありがとう。
ホットケーキ考えてくれて。
花山） フフフ…ああ、まあな。
三枝子） うそはいけません。
思いついたのはあなたじゃないでしょ。
花山） う～ん…
常子さんによろしく言っておくよ。茜。
茜） へっ？
花山） 食べなさい。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
水田） 最後の、晩餐ですね。
鞠子） えっ？
水田） いいんです。僕なんかに
気を遣って頂かなくても。
鞠子） おっしゃってる事がよく…。
水田） 僕と話す事など、もうないでしょう。
先日、交際を迫った事で、２人の関係は
壊れてしまいました。それ以来ずっと…。
鞠子） 先日のその申し出の事ですが、
正式に、お受けしたいと思って…。
水田） はぁ…ですよね。え～っ！？
そ…それって…おつきあいして頂ける
という事でしょうか？
鞠子） 何度も言わせないで下さい。
水田） だって…もう嫌われてしまったのかと。
鞠子） お断りした時、言いましたよね？
「今は社内がこんな時ですから」って。
水田） それは建て前で、
本音は嫌っているのだと…。
鞠子） どこまで悲観的な方なんですか。
水田） あの告白以来、鞠子さんは僕を避けて、
しゃべらないようになっていきました。
鞠子） それは、だって…。意識してしまって…。
私、器用じゃないんです。
水田） では…本当に僕と？
鞠子） （頷く）
水田） あぁ…。アハハハハハハ！
おやっさん！ おでん山盛りで！
おやじ） あいよ。
水田） じゃあ、あの…か…乾杯。
鞠子） 乾杯。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
こうして、
大きな苦難を乗り越えた
「あなたの暮し」は、
新たな読者の獲得に成功し、
主婦の強い味方として
受け入れられていきました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「とと姉ちゃん」を楽しくご覧になっている皆様
は、この先は、華麗にスルーでお願いします。
大体史実通りの展開なので、今日は普通に見ることができた（今までがひどすぎて今日はマ
シというレベル）。相変わらずヒロインのリアク
ションが悪いというか、ほとんど何もしていない
けどｗ いっそ、花山に女装をさせて、そのまま
彼をヒロインにしてしまってもいいんじゃない？
とにかく、ホットケーキはおいしそうだった。この
ドラマとしては、珍しくおいしそうなものが出てき
た。そういえば、子供の頃は、小麦粉にふくらし
粉を入れてホットケーキをつくってたっけ。結構
失敗するんだよね、これが。ホットケーキミック
スって、ホント偉大だと思う。失敗しないもんね。
水田にホットケーキを作らせたのは、料理がで
きない人でも、文章を読んだだけで、ホットケー
キを作れるかを確認するためであり、そういう
人でもできるようになるまで、文章を練り上げる
ためでもあるのだけれど…。そういう、モチーフ
とされている雑誌のこだわりの部分を、さらっと
流してしまうのが西田流。肝心なところは説明
せずに、どうでもいいことばかりしつこく描く…。
人を不快にさせるとか、凄く不快にさせるとか。
それにしても、ここまで何もしないヒロインって。
歌ったり踊ったりピアノを弾いたりパンを焼いた
りと「てるてる家族」のヒロインは忙しいのに…。
朝ドラが終わってからが、本当の勝負だから…
先を見て、今からやっておかなくっちゃ駄目だと
思う。先を見て…今やる！と言っていたヒロイン
石原さとみちゃんは、まさに今輝いている。常子
の中の人は…今やらないで、いつやるんだろ？
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