「てるてる家族」(再放送)第37回 | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「てるてる家族」 第37回

中学に進学した春子(滝裕可里)は、コーチの
稲本(いしのようこ)の指導のもと、スケートに
没頭する毎日だったが、いまだ全関西選手権
での優勝はなかった。一方、メキメキと力を付
けてきた夏子(櫻谷由貴花)は、全日本ジュニ
ア選手権に出場することになる。しかし年齢制
限があったため、6級をゆうゆうと合格した夏子
も今回は、参考選手としての出場だった。成績
発表、夏子は優勝とアナウンスされ、大喜びす
るが…。

**********

昭和34年の4月です。春子姉ちゃんは、
付属の中学には進学せず、
私立の中学校に入学しました。
スポーツに関心の高い学校側から、
「スケート部を作りたいので是非に」と、
望まれて入ったのです。

春子姉ちゃんは、稲本コーチの
厳しいレッスンを受け続けて、
バッジテストで最高位の8級に合格しました。
けれど、全関西選手権に出ると、
いつも2位に終わり、全日本選手権では、
いつも3位に終わっていました。
お母ちゃんは、その成績に、
満足していなかったようです。

それに引き換え、近頃、
めきめきと頭角を現してきたのが、
夏子姉ちゃんでした。
相変わらず田中コーチの下で、
練習もそう厳しくはなかったのですが、
今年に入ってから、
5級、6級のバッジテストに、
悠々と合格していたのです。

照子) 先生、どうぞ。
稲本) すみません。夏子さん、
    また華が出てきましたね。
照子) えっ!? 風邪でもひいたんやろか。
稲本) 真面目に聞いてます?
照子) はい。
稲本) フフッ…。夏子さんのあの美しさ。
    人目をひくあの華は、いくら練習しても
    身につくものじゃありませんからね。
照子) そっちの華の事ですか。
稲本) 細かいスケートの技術なんて気にし
    なければ、私でもつい見惚れてしまう
    くらいですよ。
照子) そしたら…
    夏子もええとこまでいけますやろか?
稲本) さあ…それはどうでしょう? 競技では
    コンパルソリーフィギュア、規定と呼ば
    れるものが、評価の6割を占める事に
    なるんです。
照子) そやけど夏子は、
    「規定見てたら、眠たなってしまう」
    て言います。
稲本) フフッ! そうですね。…でも私は今に、
    フリースケーティングの方が、評価の上
    でも重要になってくる時代が来ると思う
    んです。
照子) フリーの方が?
稲本) ええ。フリーの美しさにうっとりし、
    しい技を期待して、ドキドキするような、
    そういう競技になっていくと思うんです。
    そうなってきたら、夏子さんのあの華は、
    大きな武器になっていくと思いますよ。
照子) ほんまにそんな時代が来ますやろか?
稲本) 来ますよ! これからはテレビの時代
    ですよ。スポーツ全般も変わってくると
    思うんです。
テレビはもう、どこの家でも、
    見られるようになってきましたからね。
照子) それでうちの店が困ってるんです。
稲本) はい?
照子) はあ…。

**********

その年の4月10日、
皇太子殿下と正田美智子さんの、
結婚の儀が、執り行われました。
そのパレードを見ようと、
人々はテレビを購入し、
テレビは一気に普及していったのです。
それとともに、喫茶シャトーは、
その価値を失いつつあったと
いえるのかもしれません。

ヨネ) ミッチー! きれいやわ。
テレビ) まことに…まことに 
     うれしい眺めでございます。

**********

そして物語は、
昭和35年の1月へと移ります。

照子) ジュニア選手権?
田中) そうです。全日本ジュニア選手権です。
それも、大阪で行われるんですよ。
照子) それに出場できるんですか?
    夏子が…。
田中) そうです。ジュニア選手権とは、5級、
    6級の選手によって争われる試合です
    けど、前年の7月の終わりに、13歳以
    上になってる者という、年齢制限があ
    るんです。
照子) それやったら
    夏子はあかんやないですか。
田中) ねっ?
照子) 何が「ねっ?」や!
田中) 夏ちゃんは、それに満たないにも
    関わらず、参考選手として、出場が
    認められたんです!
照子) 参考?
田中) もしこれに優勝したら、6級であっても、
    7級、8級の選手とおんなじように、
    全日本選手権への、出場資格が
    得られるんですよ!
照子) 参考て…どういう事?
田中) まあ…出場は、出場です!

**********

照子) まっ、そういう事や。参考出場やから、
    そう頑張らんかてええけど。出るから 
    には、勝った方が気分がええやろ?
田中) おかあさん。気分の問題ですか?
夏子) ほなお母ちゃん。気楽に滑るわ。
照子) そうしい。
田中) ほんまに気楽に滑りそやな…。
春子) 夏ちゃん、頑張り!
夏子) うん! 早よ春ちゃんと試合したいわ。
春子) もうそんな生意気言うてんの?
    まだまだ夏ちゃんには負けへんで。
夏子) そやね。ジュニア選手権で
    負けたら話にならへんもんね。
春子) まあ、せいぜい頑張り。
夏子) まあ、せいぜい見てて。
田中) 2人ともほんま、
    選手の目になってきたな…。


**********

佐藤) 照子はん、相変わらず、春ちゃんと
    夏ちゃんのスケートに、夢中でおます
    かいな?
ヨネ) アッハハ…。あれは、
    自分に夢中になってますねん。
佐藤) へえ~! そらええなあ。
ヨネ) 何がええんです?
佐藤) いや、人間何かに夢中になるちゅう事
    はええ事でおます。うん…。このわしか
    てね、学生時分はほんま、小説家にな
    りたかったんや。
ヨネ) えっ、小説家?
佐藤) そうなんや。今からでもな、江戸川乱歩
    に対抗して、道頓堀川散歩ちゅう名でな、
    探偵小説を、書こかなと思てるんや。
ヨネ) へえ~。さぞ、食い道楽の探偵さん
    なんですやろなあ。
佐藤) フフフ…。そやな。
ヨネ) フフフ…。
佐藤) まあ売れへんと思うけど。けど…わし
    かて、小説家にはなれへんかったけど
    な、そう思て得た、自由な発想ちゅうの
    が、まあ…どれだけ、後の事業に、役
    立ったかもしれへんで。何かに夢中に
    なるちゅう事は、何かしら身につくちゅう
    事やねんから。うん…。照子はん、それ
    知ってんねんなあ…。
ヨネ) はあ…。
    そうは思われしませんねけどなあ。


**********

(ピアノを弾く冬子)
浪利) 正確に! 楽譜どおりに。
    そんな気分で弾いたかて、
    うまならへんて言うてんのに…。


**********

冬子) フフフ…!
(ハトを飛ばす浪利)
冬子) …なあ。ローリーには夢てある?
浪利) 夢…?
冬子) 「何かになりたい」とかっていう夢。
浪利) 「月光仮面になりたい」とか?
冬子) ちゃうわ。
浪利) 「私は貝になりたい」っていう
    テレビ見たけど?
冬子) もうええわ。
浪利) 僕はハトになりたい!
冬子) もうええて!
浪利) けど結局は、おじい様の会社に入って、
    いつか社長になるだけやろな。
冬子) 夢ないなあ。
浪利) コネしかないわ…。冬ちゃんは何やの?
    社長のお嫁さんになりたい?
冬子) 絶対嫌や!
浪利) そやな。そやから困ってるんや…。
冬子) はっ!?


**********

(ハトが羽ばたく音)
秋子) あっ、お帰り。
(布団たたきを続ける秋子)

**********

照子) あ~~~っ!
春男) どないしたんや!?
照子) 夏子の…夏子のジュニア選手権の
    ために作ったてるてる坊主に、ハトの
    フンが…! 何や…不吉な予感が…。
春男) さあさあ入ろ。入ろ入ろ…。


**********

全日本ジュニア選手権大会

アナウンス) 23番、岩田夏子さん。
(拍手)

そして、夏子姉ちゃんにとって初めての、
華やかな試合が始まったのです。

(拍手)
夏子) どやった? お母ちゃん!
照子) うん…まあまあやったね。
夏子) 私は滑ってて気持ちよかったわ!
田中) お疲れさん! よかったで、夏ちゃん!
夏子) ほな、勝てる?
田中) 規定もまあまあやったし、今のフリー
    やったら、ええとこいけるんと違うかな。
秋子) すごいわ、夏子姉ちゃん!
    みんなため息ついてたで!
冬子) 私も何か分からへんけど涙出たわ!
照子) 大袈裟やなあ。
春子) よかったで、夏ちゃん!
夏子) ほんま?
春子) 今のとこは1位やな。
    夏ちゃんより上はいてへん思う。
冬子) ほんまに!? 春子姉ちゃん!
春子) 多分。
夏子) やった!
照子) まだ分からへんて。
    そやけど順位なんかどうでもええ。
    夏子が実力出し切れた事が、
    一番うれしいわ。
夏子) うん!
アナウンス) ジュニア選手権大会、
       女子の、総合成績を発表します。
       成績1位、岩田夏子さん。
夏子) 私の名前や! やった~!

(拍手)
一同) やった~!
秋子) おめでとう!
夏) ありがとう!
田中) よし!
アナウンス) 2位、井上町子さん。
井上) やった~! やった~!

(拍手)
夏子) あの人、春子姉ちゃんより年上やで。
    あんな大きい人でも泣いてはる。
照子) まあまあ…。2位でもうれしいんやて。
冬子) 「順位なんかどうでもええ」言うたん誰?
照子) ホホッ、ホホホ…。


**********

照子) ようやったねえ、夏子。こうなったら
    あんたも、稲本先生に習わなあかんね。
夏子) ほんま!?
照子) ほんまや! 先生にお願いしてみるわ。
    先生かてこの成績聞いたら、
    嫌とはおっしゃらへんて! ねっ。
夏子) うん!
アナウンス) お待たせしました。全日本フィギュ
       アスケート選手権大会、女子の公式
       順位を発表します。
照子) えっ…? ちょっと…何言うてんの?
    発表って…もうさっきしたやないの。
アナウンス) 優勝、井上町子さん。
照子) えっ…。


お母ちゃんの不吉な予感は、
的中してしまったのでした。


**********

夏子の天性の華が、花開いていく予感。そうな
んだよね~。アイドルや役者、フィギュアの選手、
華のあるなしは、持って生まれたもの。こればっ
かりは努力ではどうにもならないんだよねえ…。
演技の上手い下手とは全く別の、主役となる人
が持つ「華」っていうものが確かにある。これが
また、美男美女ってだけでもないってところが面
白い。脇で光る人、主役をはる人、一筋縄では
いかないところがホント面白い。それゆえに、人
間関係も、切なく、苦しくもなっていくのだけれど。

稲本先生の予言どおり、今は、フリーがメインの
フィギュアスケート。いやいや、ホントよかった。
あの「規定」っていうのがつまらないったらもう!

今日は、冬子に「夢ないなあ」と言われて「コネし
かないわ…」と答えたローリーの一言に笑った。
冬子に社長夫人になってもらう夢は捨てないで。
絶対にかなわないだろうけど、夢は夢で終わっ
てしまうだろうけど。君には、コネと愛嬌がある!
頑張れローリー、負けるなローリー、好きだよ~。


「てるてる家族」関連ブログはこちらから↓
「てるてる家族」関連ブログリスト