「恋」
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131217/10/pikataa3/64/e2/j/t02200130_0480028312783307201.jpg?caw=800)
1972年(昭和47年)2月28日。軽井沢で起こった連合赤軍
浅間山荘事件に、日本人の目が釘付けになっていたあの
日、事件現場からさほど離れていない静かな別荘地で、
もう一つの殺人事件が起こっていた。加害者は22歳の女
子大生、矢野布美子(石原さとみ)。被害者は、地元の電
気屋のアルバイト青年と大学の助教授。電気屋の青年は
射殺され、助教授は下半身不随の重傷を負った。事件現
場には助教授の妻も居合わせたが、まるで貝のように固
く口を閉ざして何も語らない。ごく普通の女子大生であっ
た布美子は、英文学翻訳のアルバイトで出会った大学助
教授の片瀬信太郎(井浦新)と妻・雛子(田中麗奈)と倒
錯した“恋”に落ちる。やがて、その恋はひとりの青年・大
久保勝也(斎藤工)の出現によって急速に崩壊していった
のだった。そして、布美子は事件の動機を一切語ることな
く、全ての罪を受け入れた。彼女には、何よりも守るべき
“ある秘密”があったのだ。浅間山荘事件の陰で、社会欄
の片隅に小さく取り上げられたこの事件は、痴情のもつ
れが原因の衝動殺人として処理され、やがて人々の記憶
から消えていった。しかし、事件から40年以上たった2013
年、偶然この事件に興味を持ったルポライター鳥飼三津
彦(渡部篤郎)は、矢野布美子を探し真相を探ろうとする
が、長い服役を終え年老いた布美子(原田美枝子)は末
期ガンを患っていた。死を目前にした布美子は、ついに心
の奥へと隠していた秘密を告白。事件の背後に隠された
運命的な悲劇と葛藤が、徐々に明らかになっていく……。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/1b/f5/j/t02200138_0480030112785738216.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/a8/d8/j/t02200124_0480027112785737542.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/91/aa/j/t02200138_0480030212785737545.jpg?caw=800)
**********
信太郎) 私の五感は燃えて騒ぎ立ち、身体的な激動、
「激しいうねりに、体が震えるほどの感覚」という
ことかな。
布美子) 素敵表現ですね。
信太郎) うん。
私が愛している青年を感じることで、眠りさえも、
悦楽の延長になる。明日の朝…
**********
雛子) 私をここから連れて逃げてくれる?
信太郎) どこに?
雛子) どこでもいい。
ここにいたら酔っ払って死んじゃう。
信太郎) いいよ。今すぐでも。
**********
信太郎) ふうちゃんには、
そのうち、わかってもらえると思う。
僕のことも、雛子のことも。
**********
布美子) 嫌じゃないんですか?
雛子さんが、他の男の人と…。
信太郎) 雛子を傷つけたり、束縛する奴は、許せない
よ。でも…、雛子を楽しませる奴は、大歓迎だ。
あいつが本当に愛してるのは、僕だけだって
わかってるから。いびつだと思うかい?
僕らの関係。
布美子) わかりません。
でも…お2人のことが好きです。
**********
信太郎) ありがとう。ふうちゃん。
僕たちを好きになってくれて。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/05/77/j/t02200138_0480030112785737544.jpg?caw=800)
**********
布美子) さっき、部屋に迷い込んできた蛾の話をした
でしょ?翌朝、雨戸を開けると、レールの所に、
平たく押しつぶされた、蛾の死骸があったの。
バカな話だけど、私はそれを、あっ、夕べの蛾
だって、思い込んでしまったのね。私には、そ
の蛾の死骸が、あの夜が確かに存在した証の
ように思えて、愛おしかった。その死骸が跡形
もなく消えるまで、毎日眺めては、あの夜感じ
た、幸福感を思い出していたんです。
思えばあの時から、最後に引き金を引く瞬間
に向かって、歩き出したような気がします。
**********
日、事件現場からさほど離れていない静かな別荘地で、
もう一つの殺人事件が起こっていた。加害者は22歳の女
子大生、矢野布美子(石原さとみ)。被害者は、地元の電
気屋のアルバイト青年と大学の助教授。電気屋の青年は
射殺され、助教授は下半身不随の重傷を負った。事件現
場には助教授の妻も居合わせたが、まるで貝のように固
く口を閉ざして何も語らない。ごく普通の女子大生であっ
た布美子は、英文学翻訳のアルバイトで出会った大学助
教授の片瀬信太郎(井浦新)と妻・雛子(田中麗奈)と倒
錯した“恋”に落ちる。やがて、その恋はひとりの青年・大
久保勝也(斎藤工)の出現によって急速に崩壊していった
のだった。そして、布美子は事件の動機を一切語ることな
く、全ての罪を受け入れた。彼女には、何よりも守るべき
“ある秘密”があったのだ。浅間山荘事件の陰で、社会欄
の片隅に小さく取り上げられたこの事件は、痴情のもつ
れが原因の衝動殺人として処理され、やがて人々の記憶
から消えていった。しかし、事件から40年以上たった2013
年、偶然この事件に興味を持ったルポライター鳥飼三津
彦(渡部篤郎)は、矢野布美子を探し真相を探ろうとする
が、長い服役を終え年老いた布美子(原田美枝子)は末
期ガンを患っていた。死を目前にした布美子は、ついに心
の奥へと隠していた秘密を告白。事件の背後に隠された
運命的な悲劇と葛藤が、徐々に明らかになっていく……。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/1b/f5/j/t02200138_0480030112785738216.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/a8/d8/j/t02200124_0480027112785737542.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/91/aa/j/t02200138_0480030212785737545.jpg?caw=800)
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信太郎) 私の五感は燃えて騒ぎ立ち、身体的な激動、
「激しいうねりに、体が震えるほどの感覚」という
ことかな。
布美子) 素敵表現ですね。
信太郎) うん。
私が愛している青年を感じることで、眠りさえも、
悦楽の延長になる。明日の朝…
**********
雛子) 私をここから連れて逃げてくれる?
信太郎) どこに?
雛子) どこでもいい。
ここにいたら酔っ払って死んじゃう。
信太郎) いいよ。今すぐでも。
**********
信太郎) ふうちゃんには、
そのうち、わかってもらえると思う。
僕のことも、雛子のことも。
**********
布美子) 嫌じゃないんですか?
雛子さんが、他の男の人と…。
信太郎) 雛子を傷つけたり、束縛する奴は、許せない
よ。でも…、雛子を楽しませる奴は、大歓迎だ。
あいつが本当に愛してるのは、僕だけだって
わかってるから。いびつだと思うかい?
僕らの関係。
布美子) わかりません。
でも…お2人のことが好きです。
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信太郎) ありがとう。ふうちゃん。
僕たちを好きになってくれて。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/05/77/j/t02200138_0480030112785737544.jpg?caw=800)
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布美子) さっき、部屋に迷い込んできた蛾の話をした
でしょ?翌朝、雨戸を開けると、レールの所に、
平たく押しつぶされた、蛾の死骸があったの。
バカな話だけど、私はそれを、あっ、夕べの蛾
だって、思い込んでしまったのね。私には、そ
の蛾の死骸が、あの夜が確かに存在した証の
ように思えて、愛おしかった。その死骸が跡形
もなく消えるまで、毎日眺めては、あの夜感じ
た、幸福感を思い出していたんです。
思えばあの時から、最後に引き金を引く瞬間
に向かって、歩き出したような気がします。
**********
布美子) 先生…。
信太郎) うん。何だい?
布美子) 私、
このままずっと、先生と雛子さんと暮らしたい。
信太郎) ふうちゃん…。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/03/8c/j/t02200138_0480030112785737546.jpg?caw=800)
**********
布美子) 離して。
雛子) 離さないわ。
私たち、あなたのことが大好きなのよ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/5d/26/j/t02200138_0480030112785737870.jpg?caw=800)
信太郎) 今は、理解してもらえないかもしれないけど、
僕たちの本当の気持ちなんだ。いつか、いつか
きっと、わかってもらえる時が来る。
**********
雛子) 私、勝也と暮らそうと思ってる。
こんな気持ち初めてなの。
今までみたいな遊びの関係じゃない。
セックスなんてどうでもいい。
勝也の心が欲しいの。勝也さえいれば…
布美子) わかりません!
雛子) 何怒ってるの?
布美子) 先生のこと…もう愛してないの?
雛子) 愛してるわ。愛してる。
でもね、愛の中身が違うの。
布美子) 嫌!
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131223/12/pikataa3/dc/14/j/t02200138_0480030112789456559.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131223/12/pikataa3/41/d5/j/t02200138_0480030112789459424.jpg?caw=800)
雛子) いつかちゃんと話すわ。いつかきっと…。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131223/12/pikataa3/3f/d8/j/t02200138_0480030112789456560.jpg?caw=800)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/53/1b/j/t02200138_0480030112785737868.jpg?caw=800)
**********
原作を訳すにあたり、
常に私の支えとなり、
同時に私にとって、
忘れられない思い出を山のように残してくれた、
かけがえのない助手、矢野布美子嬢に、
心から感謝し、この本を捧げる。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/2d/6c/j/t02200138_0480030112785737871.jpg?caw=800)
**********
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20131219/20/pikataa3/a6/cc/j/t02200138_0480030112785737869.jpg?caw=800)
●STAIRWAY TO HEAVEN (Lyrics on screen) HQ - Led Zeppelin
マルメロの苗を抱え、草原をゆっくりと歩く石原さとみ
が美しい。もう、それだけでいい。それだけで十分…。
布美子がずっと胸に抱えてきた、大切な大切な時間。
他の誰にも理解されはしないかもしれないけれど、そ
こに確かに存在したかけがえのない時間の愛おしさ。
小説は読んではいないけれど、小説が描きたかった
世界観はよくわかったような気がします。そして多分、
その世界観をそれほど壊さずに映像化されているよ
うに思いました。これは小説の世界なのだ…そういう
感じ。小説を読まなければと、思わせてくれる映像。
あれこれ言うのは野暮な気がするので、小説を読ん
でいない私が言うのもなんなのですが、興味を惹か
れた方は、ぜひ、小説を読んでほしいと思いました。
もちろん、ドラマのほうも合わせて観ていただきたい。
こういう感覚は、わかるわからない、理解できる、でき
ない、好き嫌いが分かれるものだと思われますが…。
私は好きです。小説として、嫌いじゃない世界観です。
石原さとみも、田中麗奈も、井浦新もとても良かった。
「恋」か…。布美子は確かに、2人に恋していたのだろ
うと思います。2人でなければ、どちらかだけではダメ。
ラストで、ある意味、長い長い、布美子の恋が叶った
ようで、観る側も、どこか、救われたような気がします。
●「恋」HP
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