「ふくが来た!」
~安酒にコンブ、悠太郎に責任感
静) お母さん、何て?
め以子) 来ていいかって。
静・希子) えっ?
め以子) お正月、みんなで来ていいかって。
希子) お正月、楽しくなりそうですね。
静) なあ。…どないしたん?
め以子) あ…あ、あの、この機会に、お父さんをって思
ったんですけど。無理ですよね、悠太郎さん。
静) 言うだけ、言うてみたら?
め以子) けど、
無理強いはしないって、約束しちゃったし。
静) なあ、あのな…
**********
藤井) あの小学校、元々予算厳しかったの知ってるや
ろ? そこに、震災支援やら何やらで、もう凍結し
よういう話になりかけてたんや。けど、ここまで計
画自体は固まってるもんやし、新たに、コンクリ
ート造の小学校の模範として造ってはどうかって、
竹元さんが言いだしたみたいなんや。
大村) 模範?
藤井) ちょっと、西門君。
悠太郎) 抜本的に対処してきます。
**********
悠太郎) 確かに、コンクリート造の大多数は安全でし
た。しかし現に、倒壊したものもありますし。倒
壊した場合の被害は、木造建築の比ではなか
った事を、ご存じのはずだと思います。建築物
が倒壊したのは、構造強度か施工技術か、又
は別の原因か。いまだに調査は続いています。
この段階で、模範を設計しろというのは、あまり
にも時期尚早ではないでしょうか?
竹元) じゃあ、やめよう。
立ち消えになるくらいならと思っただけだ!
悠太郎) 竹元さん!
**********
悠太郎) ただいま戻りました。
希子) お帰りなさいませ。今日もお疲れ様でした。
あっ、あっ、お靴、磨きましょうか?
悠太郎) あ~おおきに。
希子) ねっ、脱いで脱いで。
静) ご飯の前に、お風呂入ってきはったら?
悠太郎) え…お静さんがたいてくれはったんですか?
静) へえ。今日は、えらい冷え込むなあ。
さっ、はよ、はよ。
**********
め以子) これ、あっためておきましたから。
静) ほら、悠太郎さん。カキ食べ。カキ。
希子) お兄ちゃん、お酒飲んで、お酒、はい。
悠太郎) なんやあるんですか?
め以子・静・希子) えっ?
悠太郎) おかしいでしょう。こんな至れり尽くせりな。
め以子) あ…ああ~。
静) ああ~あのな、年の瀬からな、卯野の、親御さん
と弟さん、こっち来たい言うてはんねんけど、ええ
かいな?
悠太郎) そんなんええに決まってるやないですか。
め以子) あっ、それでね、その…何て言うか…。
誤解されたままになってる事、あるじゃない?
悠太郎) 誤解?
静) あの人、死んだままになってへん?
悠太郎) いただきます。
静) いただきます~。
希子・め以子) いただきます。
静) こんなあり様で、親御さん呼んだら、このうち、ど
うなってんのやって心配しはる思うねん。せやから、
いてはる間だけでも、来てもろた方がええんちゃう
かなあって。
悠太郎) 言わんかったら済むことやないですか。
希子) あ~でもほら、誰かの口から伝わってしもたら
どないするん? もう知ってはる人もいっぱいお
るわけやろ?
静) せやでえ。室井さんなんか、どんだけ口止めした
かて、何が起こるかわからへんよ。
悠太郎) わかりました。ほな、その間、僕はうま介の、
2階に寝泊まりさせてもろて、あの人にはここ
に来てもらいましょう。
静) ちょっと待って。そんな事したら、心配しはる。
悠太郎) ホンマのことを告げるというなら、きちんと告
げましょう。あの人がどれだけええ加減なこと
をしてきたかも、細大漏らさずお伝えし、何故
娘をこんなところにやってしまったかと、後悔
の念を募らせていただきましょう。
**********
大村) コンクリートを使用する方が、被害が少ないの
ではないかという事は、わしでもわかります。せ
やけど、この落ち着かん時期に、今後市の建築
の、模範になるかもしれんもんを、なんで敢えて
あいつにやらせんのか。そこはいささか、理解に
苦しむというか。
竹元) 大した才能もありませんしね。
大村) そんなこと言うてまへんがな。
抜擢いうても、少々、荷が重すぎるんやないかと。
竹元) 妙な縁があって、あいつの義理の父親に聞い
たんですが、あいつは、大火で母親を亡くしてい
て、それがこの仕事を志す、そもそもの初めだ
そうです。初めて会った時、下宿先の店の客が、
怪我をするのを見るのが嫌だ。その思いだけで、
何の現場経験もないのに、コンクリートの階段
を造ってました。あいつにたった1つの才能があ
るとするなら、それは、責任感です。溢れんば
かりの、当事者意識です。加えてあいつは、そ
の目で被害を見てきています。私は、抜擢でも
何でもなく、あいつが、今必要なものを持ってい
ると、判断しただけです。安酒も、コンブが放り
込まれることで、上等酒になると私は、思うんで
すがね。
大村) おもろい事言いまんな。お代わりどうでっか?
竹元) いただきましょう。
**********
希子) けんもほろろでしたね。
め以子) まあ、期待はしてなかったけど…。あっ…も
う~。う~ん誰かおむつ縫ってくんないかな。
希子) フフフ…忙しゅうなりますよね。お正月の支度
やら、お年始回りやら。ぜ~んぶうちらでやらん
とあかへんし。
め以子) えっ? それ大変なの?
希子) う~ん…
親戚の挨拶回りとかホンマに、どないします?
め以子) あ…あっ、おせちとか、
お餅とかは任せといてね。うん。
希子) うん?
め以子) だって、ほら、私まだ、女中だし~。
希子) そんな…
ご飯かて一緒に食べてるやないですか。
め以子) けど~う~ん。うちの外までしゃしゃり出るの
もねえ。厚かましいっていうか…。
希子) ちい姉ちゃん、
もうそれ、ええように使うてません?
め以子) いや…そんなことないわよ。
**********
め以子) おせちって…。
そうそう。
おうちによって、入るものが微妙に違うのよね。
岩淵) どなたか、いらっしゃいませんか?
め以子) あ…は~い! よいしょ。
はい。何の御用でしょうか?
岩淵) 西門正蔵さんは、ご在宅でしょうか?
め以子) あ…父は今、その…別宅におりまして。
どちらさまですか?
岩淵) あ…岩淵護と申します。
以前、西門さんの下で働いておりました。
め以子) そうなんですか。
それはその、お世話になりまして。
岩淵) お目にかかることはできないでしょうか?
**********
岩淵) このあたりに、暮らされてるんですか?
め以子) 紆余曲折ありまして…。
岩淵) ご家族と、
幸せに暮らされているとばかり思ってました。
め以子) あの…
岩淵さんは、義父とはどんなお仕事を?
岩淵) お聞きではないですか?
め以子) まあ、私は嫁ですので、詳しい事は…。
岩淵) 鉱山の…普通の仕事ですよ。
**********
藤井) 西門君、どこ行くの?
悠太郎) もう1度、竹元さんのとこに行ってきます。や
っぱり、今はまだ、コンクリート造は時期尚早
ですよ。
大村) 赤門、上がやれ言うんやからやろや。
悠太郎) 大村さん…。
大村) わしに気ぃ遣わんでもええし。
悠太郎) そうやないです。
大村) ええ話やないか。計画は継続してくれる言うし、
赤門はコンクリートが使える。グズグズ言わん
とやったらええがな。それにやな、わしの校舎、
どうせ、あかんようになんのやったら、赤門に、
設計し直してもらいたい。ヘヘヘヘヘ!
藤井) そやで。僕らも頑張って、知恵絞り出すさかい
に。やってみようや。
大村) さてさて、わしは何をしたらよろしいまんのやろ
ね。棟梁。
悠太郎) 棟梁?
大村) ああ、今日から頭は赤門や 。なっ、藤井君。
**********
め以子) お父さ~ん、め以子です。
正蔵) へえ。
め以子) お父さんにお会いしたいという方が、うちの
方にいらっしゃったんですけど。
正蔵) おお、おお。へえへえどちらさんや?
岩淵) お久しぶりです。
**********
ほうほう! あの、出しゃばりめ以子が、一応「無理強い
はしないと約束しちゃったし」と言ってる! 一応、そうい
う意識は芽生えてはいるらしい(信用してないけど…)。
あまりにもわざとらしい、至れり尽くせり大作戦が展開。
まあ、当然の事ながら、それぐらいで悠太郎の気持ち
が変わる筈もなく、けんもほろろに女達の企みは却下。
和枝ちゃんがいなくなった途端にフリーダムな空気感
満載の西門家。ここに来て、嫁としての面倒を女中発
言でバックレようとするめ以子発言に希子のツッコミ!
外にしゃしゃり出るのは厚かましいって、あらあら、し
ゃしゃり出まくって、外に出まくってたのは誰だっけ?
女中の皮をかぶった嫁が、まんまと小姑を追い出した
のだから~その分きっちり嫁の仕事をしないとね~w
年内に、西門家の家族問題を解決する気満々の様子。
とりあえず、卯野家のみんなに会えるのは楽しみです。
そして物語は、悠太郎が主役になっていきそうな予感。
安酒にコンブを放り込めば上等酒となるように、頼りな
い悠太郎が、たった一つ持っている才能、責任感を刺
激してやれば、上等な男になるやもしれないという…。
時にメンドクサイ責任感も、溢れんばかりの正義感も、
吉となるか凶となるか。家族との和解もどうまとめるの
か、先週よりはマシな手法でまとめてほしいものです。
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