「あまちゃん」 第60回（完全版）
第10週 「おら、スカウトされる！？」
ユイの家出、国道45号線封鎖中！
ユイの家出、国道45号線封鎖中！
その夜、スナック梨明日は、
不穏な空気に包まれていました。
（水口の名刺を見る勉さん）
勉） 初めて見ました…。
ついに、ミズタクこと、水口琢磨の
正体が、明らかになったのです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
春子） だから、ハートフルっていう
のは東京の芸能事務所なの。
そこの名刺持ってるってことは、
業界人ってことでしょ。
美寿々） じぇじぇ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜勉さんのほら穴＞
（水口を殴る勉さん）
勉） 今すぐ、出ていけ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜スナック梨明日＞
ヒロシ） えっ？
菅原） 何、何？
ヒロシ） アキちゃんが、
これを持ってたって事は…。
春子） 当然ユイちゃんもスカウト
されてるでしょうね！
一同） じぇじぇ！
菅原） 何、何？
ヒロシ） アキちゃんが、
これを持ってたって事は…。
春子） 当然ユイちゃんもスカウト
されてるでしょうね！
一同） じぇじぇ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜海女カフェ＞
ユイ） 運転中かな…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ユイ） 運転中かな…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜スナック梨明日＞
大吉） ちょっとちょっと、今ユイちゃん
大吉） ちょっとちょっと、今ユイちゃん
にいなくなられたら北鉄はどうなるん
だよ！ この夏が勝負だってのに、
アキちゃんまで…チクショー！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
何考えてんだ水口の野郎！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜海女カフェ＞
アキ） あっ、そうだ！
アキ） あっ、そうだ！
ユイ） 何？
アキ） サイン書いてけろ。
ユイ） サイン？
アキ） 有名になってからじゃ、
なかなかもらえねえべ。
「海女カフェさんへ」って、書いてけろ。
（色紙にサインをするユイ）
アｋ） ユイちゃん、おらなんかど、友達
アｋ） ユイちゃん、おらなんかど、友達
になってくれて、どうもありがとう。
ユイ） 何それ？ やめてよ。
アキ） だって、本当にそう思うがら。
おらみでえに、自分勝手で、
やかましい女、面倒くせえべ。
あっ、「まめぶおいしかったよ」って
書いてけろ。
ユイ） 食べてないけど。
アキ） いいがら、食ったつもりで。
ユイ） こちらこそ、
ユイ） こちらこそ、
仲良くしてくれてありがとうね。
アキ） いやいや。
ユイ） だってさ、ネット上ではライバル
だった訳じゃん。しかも男取られて。
アキちゃんが心広くなかったら、
私２、３発殴られてるわ。
アキ） 男取られた？ あっ、男取られた！
ユイ） まあ、実際種市先輩と
ユイ） まあ、実際種市先輩と
付き合うかどうかは微妙だけど。
アメ女は恋愛禁止だし。
アキ） 何？ それ。
（回想）
荒巻） だって想像してみてください。
（回想）
荒巻） だって想像してみてください。
特定の交際相手がいるアイドルの、
CDやグッズにお金を払う気になり
ますか？ なりますか？ なりますか？
10万人、100万人のファン一人一人
と真剣交際をする。それがアイドル
です。まっバレなきゃいいんですけ
どね。フフ！
ユイ） だから、表向きは、
ユイ） だから、表向きは、
恋愛しちゃいけないの。
アキ） へえ～何か大変だな。
ユイ） でも子供の頃からの
夢だったからね。
アキ） アイドルになるのが？
ユイ） 幼稚園の頃とかさ、大きくなったら
何になりたいって聞かれて、保母さんと
か、お花屋さんとかって答える子いたじ
ゃない？ 嘘つけって思ってた。そう答え
ればみんな、親が安心してニッコリ笑う
の、本能的に知ってんだよ。だから私は
絶対違う事言ってやろうと思って。
アキ） 何になりたかったの？
ユイ） キャメロン・ディアス。
ユイ） …ていうか、
ユイ） …ていうか、
「チャーリーズ・エンジェル」？
ああいう、目まぐるしい女に憧れてた。
ああいう、目まぐるしい女に憧れてた。
あと、「バイオハザード」とか「トゥーム
レイダー」とか「キャットウーマン」とか
を経て、中２の頃、「アイドルになりた
い」って言ったら、やっとお母さん
ニッコリ笑ったの。
アキ） そりゃそうだ。
ユイ） 両親は基本的には応援してく
れたけど、でも潮時かなぁって。ネット
アイドルとか、お座敷列車とか、地方
局のレポーターとか、こっちでできる
事は一とおりやったし。
アキ） うん。
ユイ） わざわざ会いに来てくれる人が、
いるって事は、ちょっとは自信を持っ
ていいんじゃないかなって思うの。
アキ） うん。
ユイ） そういう期待に、応えたいって
思うの。間違ってる？
アキ） ううん。ユイちゃんはそうする
べきだよ。表舞台に立つ人だ。
初めて会ったときも、去年の秋祭り
のときも、そう思った。
ユイ） ああ…
あれはあれで複雑だったけど。
アキ） いや、あれがユイちゃんだべ！
あの、でっけえ山車のてっぺんに
あの、でっけえ山車のてっぺんに
乗っても、動じない。堂々としてる。
あれこそが、ユイちゃんの本来の姿だ。
あれこそが、ユイちゃんの本来の姿だ。
ユイ） アキちゃんは？
アキ） え？
ユイ） アキちゃんの、本来の姿は？
アキ） お…おらは…。
アキ） お…おらは…。
（携帯の着信音）
（着信画面を見るユイ）
アキ） 出なくていいの？
ユイ） うん、水口さんじゃないから。
アキ） 誰？
ユイ） お兄ちゃん。
（携帯の着信音）
アキ） 出ないの？
（目をそらすユイ）
アキ） もしかして、
アキ） 出なくていいの？
ユイ） うん、水口さんじゃないから。
アキ） 誰？
ユイ） お兄ちゃん。
（携帯の着信音）
アキ） 出ないの？
（目をそらすユイ）
アキ） もしかして、
黙って出てきたのが？
（アキの携帯が鳴る）
アキ） ストーブさんから。
ユイ） 出ないで。
アキ） ２人とも出ないと怪しくない？
（携帯の着信音）
電・アキ） もしもし。
（アキの携帯が鳴る）
アキ） ストーブさんから。
ユイ） 出ないで。
アキ） ２人とも出ないと怪しくない？
（携帯の着信音）
電・アキ） もしもし。
はい、今？ 家ですけど。
ユイちゃん？ 一緒じゃないですよ。
え？ じぇじぇ！ 家出！？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜スナック梨明日＞
電・ヒロシ） そうなの。
連絡つかないんだ。明日、東京で
オーディションがあるっていう話は、
聞いてない？ あっそう。
電・春子） ちょっと代わって。
もしもしアキ？ あんたさ、
水口って男に何かされた？
電・アキ） 何か？
電・春子） 正直に答えて。
怒んないから。
うん、言いなさいよ。
何されたのこら！
大吉） 「こら」って…。
ヒロシ） 落ち着いて、春子さん！
電・春子） いい？ 芸能界とか、
大吉） 「こら」って…。
ヒロシ） 落ち着いて、春子さん！
電・春子） いい？ 芸能界とか、
アイドルとか、チャラチャラしたの
ママ絶対許さないからね。
返事は！ 聞こえない！
返事は！ 聞こえない！
電・アキ） あ～…あい。
電・春子） あと、ユイちゃんから連絡
電・春子） あと、ユイちゃんから連絡
あったら、ヒロシ君かママにすぐに
電話して！ わかってんの？ 返事は！
電・アキ） …あい。
電・春子） …つうか、
電・春子） …つうか、
いつまで起きてんの？
とっとと寝なさいよ！ バカ！
ユイ） 大丈夫？
ユイ） 大丈夫？
アキ） やばい。
ユイ） アキちゃん！ アキちゃん！
ユイ） アキちゃん！ アキちゃん！
アキ） ちょっと待ってて！
必ず戻ってくるから。
電気消すね！
（出て行くアキ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜スナック梨明日＞
大吉） アキちゃんと一緒じゃ
大吉） アキちゃんと一緒じゃ
ねえともう、わかんねえな。
春子） 一緒じゃないって
なぜ言いきれる？
大吉） え？
春子） うちにいるって、
そう言ったのね、あの子？
ヒロシ） はい。
春子） 確かめてみましょうよ。
吉田） こ…怖え。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜天野家＞
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜天野家＞
（家に駆け込むアキ）
（電話の呼び出し音）
電・アキ） もしもし！
（電話の呼び出し音）
電・アキ） もしもし！
電・春子） アキ？
夏） 誰だ？ こんな時間に。
夏） 誰だ？ こんな時間に。
12時過ぎだぞ。
電・アキ） 何？ ママ、もう眠いんだけど。
電・春子） だったら寝てればいいじゃ
電・アキ） 何？ ママ、もう眠いんだけど。
電・春子） だったら寝てればいいじゃ
ないの！ 何電話なんか出なくって
いいのよバ～カ！ おやすみ。
アキ） はあ～…。
（布団に戻る夏）
（犬のほえる声）
足立） こんばんは！
ごめんください！
（起き上がり、玄関に行く夏）
夏） 誰だ？
足立） あっ！夜分遅くにすいません！
畑野の、足立ですが。
足立） あっ！夜分遅くにすいません！
畑野の、足立ですが。
夏） あらら？ 先生！ どうしました？
アキ） じぇじぇじぇ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（薄暗い海女カフェで
一人座っているユイ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜天野家＞
夏） 家出？
足立） 全く、お恥ずかしい。
よしえ） てっきりアキちゃんと
一緒だと思ったんですけど。
夏） いや、今日は来てねえですが。
夏） 家出？
足立） 全く、お恥ずかしい。
よしえ） てっきりアキちゃんと
一緒だと思ったんですけど。
夏） いや、今日は来てねえですが。
なあアキ。
よしえ） 困ったわ。ほかに行き
よしえ） 困ったわ。ほかに行き
そうな所も思いつかないし。
（電話の子機のボタンを押すアキ）
足立） ああとりあえず、
ヒロシには、連絡入れておこう。
よしえ） ええ。ア
ヒロシには、連絡入れておこう。
よしえ） ええ。ア
足立） アキちゃん、それ？
アキ） え？
よしえ） あっ、それ、
よしえ） あっ、それ、
メール打てないと思うよ。
（子機を見つめるアキ）
（笑い声）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜スナック梨明日＞
電・ヒロシ） うん、あっそう。
電・ヒロシ） うん、あっそう。
分かった。じゃあ、また連絡する。
うん、はい。はいはい。
ヒロシ） 母からでした。
アキちゃんちにお邪魔してるって。
春子） あっそう。
（ドアベル）
菅原） 連絡取れた？
大吉） いや、そっちは？
菅原） 国道沿いのファミレスと
ヒロシ） 母からでした。
アキちゃんちにお邪魔してるって。
春子） あっそう。
（ドアベル）
菅原） 連絡取れた？
大吉） いや、そっちは？
菅原） 国道沿いのファミレスと
コンビニで聞いてきたけど、
誰も見てないって。
吉田） もう、東京さ行った
吉田） もう、東京さ行った
のかもしれませんね。
菅原） 吉田君、そんな縁起
菅原） 吉田君、そんな縁起
でもねえ事言わねえで！
大吉） んだ。仮にもユイちゃんは
大吉） んだ。仮にもユイちゃんは
ミス北鉄だぞ！ 万が一故郷を
捨てるとしても、北鉄さ乗って
行くはずだ。
春子） いや～…。
春子） いや～…。
ヒロシ） 勉さん。
勉） 皆さん、うちの弟子が、
大変お騒がせしました。
（頭を下げる勉さん）
大吉） うん、
まだ騒ぎ収まってないけど。
勉） 問い詰めたら白状しました。
やはりユイちゃんとアキちゃんを
やはりユイちゃんとアキちゃんを
スカウトするために、派遣された
そうです。琥珀…琥珀には…
これっぽっちも興味がねえと。
考古学を、研究してたっつうのも
真っ赤な嘘だと。
春子） 泣かないで勉さん、
ひとっつも悪くないから。
勉） いやいやいや！
何もかも、おらがまいた種だ。
もう、金輪際この店には来ません！
大吉） 勉さん。
吉田） いやそういう話じゃないでしょう。
吉田） いやそういう話じゃないでしょう。
勉） 大好きな皆さんに、これ以上
迷惑はかけられねえ。水口も、
アパートを引き払い、今晩中に車
で東京さ帰るそうです。おらも明日
で東京さ帰るそうです。おらも明日
からは、穴さ籠もって、琥珀だけを。
一同） じぇ！
勉） 俗世間に交わることなく、
琥珀を愛し、琥珀と向き合い…。
琥珀を愛し、琥珀と向き合い…。
大吉） おいおい勉さん、
おいおい勉さん！
勉） はい。
大吉） 今何つったよ？
勉） 琥珀を愛し、琥珀と向き合い…。
大吉） 違う！ あんたじゃなくて水口！
勉） ああ！ 水口君は、これっぽっち
も琥珀に興味がねえ…。
吉田） わざとか！
わざとやってんのかじじい！
ヒロシ） 水口さん、
車で東京帰るんですね？ 今夜！
勉） はい。そう、言ってました。
大吉） モータリゼーションめ！
菅原） 先輩、どうするべ？
大吉） 封鎖だ。国道45号線封鎖だ！
菅原） よし！ 組合長に、連絡！
菅原） よし！ 組合長に、連絡！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜海女カフェ＞
（待っているユイ）
水口） ごめん遅れて。
水口） ごめん遅れて。
（水口の顔を見るユイ）
ユイ） 大丈夫ですか？
水口） あ…。
ユイ） 大丈夫ですか？
水口） あ…。
（唇にアザが出来ている）
水口） ちょっと、いろいろ。
じゃあ行こうか。
（スーツケースを手に出て行く２人）
じゃあ行こうか。
（スーツケースを手に出て行く２人）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜天野家＞
（サイレン）
ｽﾋﾟｰｶｰ・長内） 「国道45号線、
（サイレン）
ｽﾋﾟｰｶｰ・長内） 「国道45号線、
封鎖しまーす！」
夏） 何だ？ 何だ何だ？
ｽﾋﾟｰｶｰ・長内） 「国道45号線、
夏） 何だ？ 何だ何だ？
ｽﾋﾟｰｶｰ・長内） 「国道45号線、
封鎖します！ 繰り返します！ ］
国道45号線、封鎖しま～す！」
夏） 何だ？ この騒ぎ！
夏） 何だ？ この騒ぎ！
大変だ大変だ！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜海女カフェ＞
水口） やばい、一回戻ろう。
長内） 中さ誰かいる！
大吉） 誰だ？
水口） やばい、一回戻ろう。
長内） 中さ誰かいる！
大吉） 誰だ？
長内） こら！ こら～！
（フロアの明かりをつけ、
（フロアの明かりをつけ、
水口とユイを見つける一同）
（泣きそうな顔でユイを見つめているアキ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
出ました、アイドル恋愛禁止令！ まあ、実際バレ
なきゃいいと思うし、てか、バレないようにやれっ！
とは思いますが。だって、荒巻が言うように、彼氏
がいる女の子に貢ぎたいとは・・・いえ、ＣＤはとも
かくグッズを大量に買い込むお金をつぎ込む気に
はなれなくなっても不思議じゃない。万が一、いえ
全くあり得ないような夢だとしても、もしかしたらっ
ていう夢がなければ、アイドルがアイドルたりえな
いとういか・・・仮想恋愛できてこそのアイドルだと
思うから。一応、嘘でいいから、嘘でもいいから、
男なんていないと、言ってほしいよ、そりゃそうだ。
ユイがアキの男を取ったわけではないと思うけど、
（だって、種市先輩は最初からユイが好きだから）
まあ、そういう話のほうが、青春は盛り上がるかも。
２人が、感傷にひたってる間、大人たちは大騒ぎ。
やっぱ、春子怖いわ、怖すぎるわ。アキもヒロシも
思わず返事がうわずって、「あい」って言ってるし。
とはいえ、アキは意外とやるときゃやれる子。ユイ
のために奔走。眠そうなフリや、パニくって、受話
器に向かってメールを打とうとする姿といい、能年
玲奈ちゃんはコメディエンヌの素質大大大！！！
勉さん情報により、水口が東京に車で帰ることが
発覚！ 大吉は嬉々として「踊る大捜査線」ばりに、
封鎖を宣言。国道45号線は大袈裟に封鎖された
のでした・・・。でも、一体誰が封鎖をしに・・・？ｗ
そして、事件は・・・会議室ではなく、海女カフェで
起っていたのでありました。追い詰められた２人。
ユイはどうなる？ そしてアキは・・・どうする？
2015年の再放送時の感想はこちら↓
あまちゃん日記（60）～第10週「おら、スカウトされる！？」
2023年の再放送時の感想はこちら↓
第60回～第10週「おら、スカウトされる！？」
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