- 鉄理論=地球と生命の奇跡/講談社
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鉄にまつわる話だけで、生命の発生から文明の発展・維持にまで話がおよびます。前半は化学寄りの話、後半は人文系の話と分かれてはいますが、鉄の化学反応の歴史と文明的な鉄の歴史が地続きであるかのように感じられておもしろい本でした。
始原生物が熱水や鉄鉱石の表面から生まれた?という説や、生命が呼吸による爆発的なエネルギーを鉄を使うことでゆっくり使っていること、海の中のエネルギー源である鉄が不足しはじめ、鉄を備蓄したり、鉄を求めて陸へ上がっていく生物のことなど、今はもちろんかなり昔の早いうちから鉄と生命とは密接な関係を築いてきたようです。
人の文明を見ると、ヒッタイトや中国・ローマ帝国は製鉄技術が発達していましたが、製鉄に必要な木炭の量(=森の量)という制約があるため、森林の枯渇とともにそれらの国や技術は衰退して行きました。
しかし、産業革命によって木炭に近い効果を得られるコークスがつくられるようになることで、人はついにこの自然の制約から逃れ存分に鉄を使えるようになります。
現代においては、今の文明を維持するのに必要な鉄鋼消費量まで計算されています。
人口が今後伸びていく中で、必要な鉄鋼消費量は年間20億トン(今の2倍にあたる)なのだそうです。
ただこれは、製鉄の過程で出る二酸化炭素による温暖化がネックになります。
しかしここでも鉄が役に立ちます。海に鉄散布を行うことで、プランクトンが増加し光合成によって二酸化炭素を減少させ温暖化防止に一役買ってくれるようなのです。
また、『森が死ねば海も死ぬ』という本が紹介されていましたが、海もまた森の腐食物質を経由して鉄分を森からもらい、共生関係になっているそう。
色々なところにある鉄の効果を見つめなおしてみるとよさそうですね。
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自分が人文よりの知識の方が得意なのでそっちよりの方が目に付きやすかったのですが、前半の生命と鉄の初期の化学的な関係なんかはけっこう重要そうなので、もう少し詳しくなったらまた読んでみようかな。
memo:
・材料技術と人口の比例、鉄呼吸微生物FRM、生命の替わりに酸素と戦った縞状鉄鋼層
鉄使ったニトロゲナーゼでN固定、鋼は疲労限度高い、根は鉄とN得るもの、銑鉄でC濃度~5%
・鉄と水素のサイクル、二価鉄イオン・三価の輪に参加した生命
・多細胞生物の発生時期ー酸素急上昇時期と一致ー酸素あるとコラーゲン合成







