名古屋市天白区にあるPhysio Conditioning Lab.(フィジオコンディショニングラボ)|パーソナルトレーニング×ピラティス&ボディメンテナンス 理学療法士トレーナーの柴田です。
はじめに
「腕を上げると肩が痛い」
「洗濯物を干すときに肩が痛む」
「高いところの物を取ろうとすると肩が痛い」
「服を着るときに肩が引っかかる」
「痛いけれど、何が原因なのか分からない」
このような肩の痛みで悩んでいる方は少なくありません。
肩の痛みというと、「肩の筋肉が硬い」「肩こりが原因」と考える方も多いですが、腕を上げる動作で痛みが出る場合、肩関節だけではなく、肩甲骨・胸椎・首・肋骨・体幹など、身体全体の動きが関係していることがあります。
また、「腕を上げると痛い」という症状だけでは、原因を一つに決めることはできません。
今回は理学療法士の視点から、腕を上げると肩が痛くなる代表的な原因と、改善するために何を確認すべきなのかを詳しく解説します。
腕を上げると肩が痛い=肩だけが悪いとは限りません
まず重要なのは、
「痛い場所」と「痛みを引き起こしている原因」は必ずしも同じではない
ということです。
腕を上げる動作では、肩関節だけが動いているわけではありません。
腕を上げるためには、
肩関節
↓
肩甲骨
↓
胸椎
↓
肋骨
↓
骨盤・体幹
などが連動して動きます。
そのため、肩関節の動きが悪くなれば肩に負担が集中することがありますし、反対に胸椎や肩甲骨が十分に動かないことで肩関節の動作に影響することもあります。
例えば、
「肩甲骨が動かない」
↓
「腕を上げるために肩関節だけで頑張る」
↓
「肩周囲の組織への負担が増える」
↓
「腕を上げたときに痛みが出る」
という状態になることがあります。
もちろん、すべての肩痛がこのパターンとは限りません。
だからこそ、肩の痛みを改善するには「肩を揉む」「肩を回す」だけではなく、実際にどの動作で、どの角度で、どの場所が痛むのかを確認することが重要です。
原因① 肩関節周囲の組織に負担がかかっている
腕を上げるときに肩の前側や外側が痛む場合、肩関節周囲の組織への負荷が関係している可能性があります。
肩には、
・腱板
・上腕二頭筋長頭腱
・関節包
・滑液包
・関節唇
など、さまざまな組織があります。
腕を上げる動作では、これらの組織に負荷がかかります。
特に、
・急に運動を始めた
・重い物を持つ機会が増えた
・スポーツを始めた
・仕事で腕を頻繁に使う
・同じ動作を繰り返している
といった場合には、肩周囲への負荷が一時的に増えて痛みが出ることがあります。
ただし、「腕を上げると痛い=腱板損傷」「肩の前が痛い=この腱が悪い」というように、症状だけから組織を断定することはできません。
原因② 肩関節そのものの動きが制限されている
肩関節の可動域が低下している場合も、腕を上げると痛みが出ることがあります。
例えば、
・肩が上まで上がらない
・後ろに手を回しにくい
・髪を洗う動作がつらい
・服を着るときに痛む
・反対側の肩に手を回しにくい
などです。
特に中高年の方では、肩関節周囲炎、いわゆる「五十肩・四十肩」が関係している場合があります。
肩関節周囲炎では、痛みだけでなく徐々に肩の動きが制限されることがあります。
この場合、単純に「肩をたくさん動かせば良い」というわけではありません。
痛みが強い時期に無理にストレッチや運動を行うと、症状を悪化させる可能性もあります。
そのため、
現在の痛みの程度
↓
肩関節の可動域
↓
痛みが出る方向
↓
日常生活への影響
を確認しながら運動量を調整することが重要です。
原因③ 肩甲骨がうまく動いていない
腕を上げるときには、肩甲骨も一緒に動きます。
肩甲骨は、
・上方回旋
・後傾
・外旋
などの動きを伴いながら、腕の挙上をサポートします。
ところが、
・長時間のデスクワーク
・運動不足
・胸椎の硬さ
・体幹のコントロール不足
・肩周囲の筋力低下
などによって、肩甲骨の動きが変化することがあります。
すると、
「腕を上げたいのに肩甲骨が十分に動かない」
という状態になることがあります。
ただし、ここでも注意が必要です。
「肩甲骨が動けば肩痛が治る」という単純な話ではありません。
肩甲骨の動きは人によって異なりますし、肩痛があるから肩甲骨の動きが悪くなっている場合もあります。
つまり、
肩甲骨の動きが悪い
→肩が痛い
だけではなく、
肩が痛い
→痛みを避けるために肩甲骨の動きが変化する
という逆方向の関係も考えられます。
原因④ 胸椎が硬くなっている
意外と見落とされやすいのが胸椎です。
胸椎とは、背骨の胸の部分です。
腕を上げる動作では、肩だけではなく胸椎や胸郭も動きます。
例えば、猫背になった状態では胸椎が屈曲し、肩甲骨の位置や動きにも影響することがあります。
その状態で腕を上げようとすると、肩関節への負担が増えることがあります。
そのため、肩が痛い方に対して、
「肩を柔らかくしましょう」
だけではなく、
「胸椎は十分に動いているか?」
という視点も重要になります。
原因⑤ 肩だけではなく体幹の安定性が低下している
腕を上げる動作は、実は全身運動です。
例えば、片腕を高く上げるだけでも、身体はバランスを取るために体幹や骨盤を調整します。
体幹が不安定な場合、
「腕を動かすために身体全体を反らす」
「腰を反って腕を上げる」
「肩をすくめて腕を上げる」
などの代償動作が出ることがあります。
特に反り腰傾向が強い方では、腕を上げるときに腰を過剰に反らしてしまうケースがあります。
この場合、肩だけをストレッチしても、腕を上げる動作そのものが変わらない可能性があります。
原因⑥ 首や神経が関係している場合もある
肩の痛みだからといって、必ず肩関節が原因とは限りません。
首の神経が関係している場合には、
・首から肩、腕にかけて痛みがある
・腕や手にしびれがある
・力が入りにくい
・首を動かすと症状が変化する
などの症状がみられることがあります。
このような場合には、肩だけを対象にしたトレーニングではなく、首や神経系の状態も確認する必要があります。
特に、
「肩が痛いだけだと思っていたら、腕や手にしびれが出てきた」
という場合は注意が必要です。
腕を上げると痛い人がチェックしたいポイント
肩痛を改善するためには、「どこが痛いか」だけではなく、次のような情報が重要です。
①どの角度で痛むのか
例えば、
・30度から痛い
・90度付近で痛い
・120度を超えると痛い
・最後まで上げると痛い
など、痛みが出る角度によって考えるべきことが変わります。
②腕を上げる方向
前から上げるのか、横から上げるのか、後ろに動かすのか。
方向によって負担が異なります。
③痛みの場所
肩の前なのか、外側なのか、後ろなのか、首に近い場所なのか。
④肩以外の動き
胸椎、首、肩甲骨、肘、手首、骨盤などの動きも確認します。
⑤筋力
腱板だけではなく、肩甲骨周囲筋、体幹、下半身まで確認することがあります。
⑥日常生活
デスクワーク、家事、育児、運動、仕事など、肩にどのような負荷がかかっているのかを確認します。
「肩が痛いから肩を揉む」だけでは足りない理由
肩が痛いと、
「肩が凝っているから揉もう」
「肩の筋肉が硬いからストレッチしよう」
と考える方が多いと思います。
もちろん、筋肉の緊張を一時的に軽減することが役立つケースはあります。
しかし、それだけで痛みの原因をすべて解決できるとは限りません。
なぜなら、肩の痛みには、
・関節可動域
・筋力
・肩甲骨の動き
・胸椎の可動性
・体幹機能
・神経
・仕事や運動による負荷
・睡眠や活動量
・痛みに対する不安
など、複数の要因が関係する可能性があるからです。
そのため理学療法では、
症状を確認する
↓
身体機能を評価する
↓
痛みに関係する要因を仮説化する
↓
運動・生活習慣などを調整する
↓
再評価する
という流れを大切にします。
肩痛改善のために「とりあえず肩を回す」は正解?
肩を回す運動が合う人もいます。
しかし、全員に適しているわけではありません。
例えば、肩を動かすことで痛みが強くなる人に対して、さらに肩を大きく回すことが適切とは限りません。
反対に、痛みが軽く、動かさないことで肩の機能が低下している場合には、適切な範囲で動かすことが重要になる場合があります。
つまり、
「肩痛にはこの運動」という万能な運動はありません。
重要なのは、自分の現在の状態に合わせて運動の種類・強度・回数・可動域を調整することです。
肩の痛み改善ではピラティスも選択肢になる
肩の痛みに対してピラティスを活用する場合もあります。
ピラティスでは、
・呼吸
・胸郭
・胸椎
・肩甲骨
・体幹
・骨盤
などを意識しながら身体を動かすことができます。
例えば、胸椎や胸郭の動きを改善しながら肩甲骨をコントロールする、体幹を安定させた状態で上肢を動かす、といった練習が可能です。
ただし、
「ピラティスをすれば肩痛が治る」ということではありません。
痛みの原因や身体機能を評価したうえで、その人に必要な運動としてピラティスを選択することが重要です。
腕を上げると肩が痛い場合、病院を受診したほうがいい?
次のような場合には、自己判断だけで運動を続けず、整形外科などの医療機関で評価を受けることをおすすめします。
・強い痛みが突然出た
・転倒や衝突などの外傷後から痛い
・腕がほとんど上がらない
・明らかに力が入りにくい
・しびれがある
・痛みが急速に悪化している
・夜間も強い痛みが続く
・日常生活に大きく支障が出ている
肩痛にはさまざまな原因があります。
まず医療機関で状態を確認し、そのうえで運動療法やコンディショニングを行うことも選択肢になります。
よくある質問|腕を上げると肩が痛い
Q1.腕を上げると肩が痛いのは五十肩ですか?
必ずしも五十肩とは限りません。肩関節周囲炎のほか、腱板関連の問題、肩関節の可動域制限、筋肉・腱への負荷、頸部由来の症状など、さまざまな可能性があります。症状だけで自己判断せず、痛みの出方や可動域などを確認することが重要です。
Q2.肩が痛いときはストレッチしたほうがいいですか?
状態によります。可動域制限がある場合には適切なストレッチが役立つことがありますが、痛みが強い時期に無理に伸ばすことが適切とは限りません。痛みの程度と原因を考慮して運動量を調整する必要があります。
Q3.肩を揉めば腕を上げたときの痛みは改善しますか?
筋肉の緊張が関係している場合には一時的に楽になることがあります。しかし、肩関節の可動域、肩甲骨、胸椎、体幹、筋力、日常生活での負荷などが関係している場合、揉むだけでは十分ではないことがあります。
Q4.肩甲骨を動かせば肩痛は改善しますか?
肩甲骨の運動が役立つ場合はありますが、すべての肩痛に有効とは限りません。肩甲骨の動きだけでなく、肩関節や胸椎、体幹などを総合的に評価することが重要です。
Q5.筋トレをすると肩痛は悪化しませんか?
適切な負荷で行えば、筋力や身体機能の改善につながる場合があります。ただし、痛みが強い状態で無理な重量や回数を設定することは避ける必要があります。現在の症状に合わせて種目・負荷・可動域を調整することが大切です。
Q6.腕を上げると肩が痛い場合、どこを鍛えればいいですか?
一概に決めることはできません。肩周囲だけでなく、肩甲骨周囲筋、体幹、胸椎などが対象になる場合があります。重要なのは「どの筋肉を鍛えるか」よりも、「なぜその筋肉のトレーニングが必要なのか」を評価することです。
Q7.肩が痛いけれど運動しても大丈夫ですか?
痛みの原因や程度によります。すべての肩痛で安静が必要というわけではありませんが、痛みが強くなる運動を無理に続けることもおすすめできません。必要に応じて医療機関で診断を受け、適切な運動量を設定しましょう。
まとめ|腕を上げると肩が痛い原因は「肩だけ」とは限りません
腕を上げると肩が痛い場合、
・肩関節周囲の組織への負担
・肩関節の可動域制限
・肩甲骨の動き
・胸椎や胸郭の硬さ
・体幹の安定性
・筋力低下
・首や神経の問題
・日常生活や仕事による負荷
など、さまざまな要因が考えられます。
特に大切なのは、
「痛い場所だけを見る」のではなく、「腕を上げる動作全体を見る」ことです。
肩は単独で動いているわけではありません。
肩関節
+
肩甲骨
+
胸椎
+
胸郭
+
体幹
が連動することで、スムーズな腕の動きが生まれます。
そのため、肩痛を改善する際には、
痛みの確認 → 可動域評価 → 筋力評価 → 肩甲骨・胸椎の評価 → 動作評価 → 運動療法
というように、身体全体を評価していくことが重要です。
そして、肩痛の改善で最も重要なのは、「何となく肩を動かす」のではなく、
「自分の肩がなぜ痛いのかを把握してから、必要な運動を選択すること」
です。
フィジオコンディショニングラボでは「肩だけを見ない」身体評価を行います
当ジム・治療院では、理学療法士の知識と経験を活かし、肩の痛みを単純に「肩の筋肉が硬い」という視点だけで考えません。
腕を上げる動作を確認しながら、
・肩関節の可動域
・肩甲骨の動き
・胸椎・胸郭
・体幹
・筋力
・姿勢
・身体の使い方
・日常生活での負荷
などを総合的に確認します。
そのうえで、一人ひとりの状態に合わせて、ストレッチ・筋力トレーニング・ピラティス・動作練習などを組み合わせていきます。
「腕を上げると肩が痛いけれど、どこに相談したらいいか分からない」
「病院で治療を受けたけれど、運動も取り入れたい」
「肩の痛みを繰り返さない身体づくりをしたい」
という方は、まず現在の身体の状態を確認することから始めてみてください。
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