名古屋市天白区にあるPhysio Conditioning Lab.(フィジオコンディショニングラボ)|パーソナルトレーニング×ピラティス&ボディメンテナンス 理学療法士トレーナーの柴田です。
はじめに
「身体が歪んでいますよ」
整体やトレーニング、日常会話などで、このように言われた経験はありませんか?
「骨盤が歪んでいると言われた」
「左右の肩の高さが違う」
「背骨が曲がっていると言われた」
「足の長さが違うと言われた」
「猫背だから身体が歪んでいると言われた」
このような言葉を聞くと、
「自分の身体は正常ではないのかな?」
「このまま放っておいたら痛くなるのでは?」
「骨盤を矯正しないといけないのでは?」
「歪みを治せば肩こりや腰痛も治るのでは?」
と不安になる方もいると思います。
しかし、理学療法士として最初にお伝えしたいのは、
「身体が歪んでいる」という言葉だけでは、身体の状態を正確に説明できない
ということです。
人間の身体は、もともと完全な左右対称ではありません。
左右の肩の高さ、骨盤の位置、筋肉の発達、足の形、背骨のカーブなどには個人差があります。
そして、姿勢に左右差があることと、身体に問題があることは必ずしも同じではありません。
重要なのは「歪みがあるかないか」だけではなく、
その姿勢や動きが、痛み・機能低下・日常生活の困りごととどのように関係しているのか
を考えることです。
今回は、「身体が歪んでいる」と言われた方にぜひ知っていただきたい身体の見方について、理学療法士の視点から詳しく解説します。
そもそも「身体の歪み」とは何なのか?
まず、「身体の歪み」という言葉には注意が必要です。
医学的には、単純に「身体が歪んでいる」という一つの病名が存在するわけではありません。
一般的に「歪み」と表現されているものには、
・姿勢の左右差
・骨盤の傾き
・肩の高さの違い
・脊柱のカーブ
・関節の位置関係
・筋肉の緊張差
・身体の使い方の左右差
・動作のクセ
など、さまざまな状態が含まれています。
つまり、
「歪み」という言葉だけでは、何が問題なのか分かりません。
例えば、
「右肩が下がっています」
と言われたとしても、
それだけで「悪い姿勢」とは判断できません。
骨格の形、利き手、筋肉の使い方、胸郭の形、脊柱の状態、日常生活での習慣など、さまざまな要因によって肩の高さは変化します。
そのため理学療法では、「見た目が左右対称かどうか」だけでなく、実際の動きや身体機能を確認します。
人間の身体は完全な左右対称ではありません
鏡の前に立って、自分の身体を見てみてください。
おそらく、
「右肩と左肩の高さが少し違う」
「骨盤の高さが左右で違う気がする」
「足の向きが左右で違う」
「顔が少し左右どちらかを向いている」
など、何らかの左右差があると思います。
しかし、これは必ずしも異常を意味しません。
人間の身体には、もともと左右差があります。
利き手も左右で異なりますし、普段よく使う脚も人によって違います。
運動をしている人であれば、競技特性によって左右差が大きくなることもあります。
重要なのは、
「左右差がある=悪い」ではない
ということです。
左右差が存在していても、痛みがなく、十分に動けて、日常生活や運動に問題がないのであれば、それだけを理由に「治さなければいけない」と考える必要はありません。
「骨盤が歪んでいる=腰痛」ではありません
身体の歪みについて話すとき、特に多いのが「骨盤の歪み」です。
「骨盤が前に傾いている」
「骨盤が左右にズレている」
「骨盤が開いている」
など、さまざまな表現があります。
しかし、
骨盤の位置だけを見て、腰痛の原因を決めることはできません。
腰痛には、
・腰部の運動
・股関節の可動性
・筋力
・体幹機能
・身体活動量
・仕事や生活環境
・過去のケガ
・睡眠
・ストレス
・痛みに対する不安
など、さまざまな要因が関係する可能性があります。
例えば「反り腰だから腰痛」と思っている方でも、実際には腰そのものよりも、股関節や胸椎の動き、体幹の使い方、長時間同じ姿勢を取っていることなどが関係しているケースがあります。
そのため、
「骨盤を正しい位置に戻せば腰痛が治る」
と単純に考えるのではなく、
「なぜ今の姿勢になっているのか?」
まで考えることが大切です。
姿勢は「止まっている状態」だけで判断しない
「姿勢が悪い」と言われたとき、多くの方は鏡の前に立った姿勢をイメージします。
しかし、身体の機能を考えるうえでは、
動いているときにどう身体を使っているか
も非常に重要です。
例えば、
立っているときは猫背に見える
↓
しかし歩くときには十分に身体が伸びる
という人もいます。
反対に、
立っているときはきれいに見える
↓
スクワットすると膝が内側に入る
↓
片脚立ちでは骨盤が大きく傾く
という人もいます。
つまり、
静的な姿勢だけでは身体の機能を十分に評価できません。
理学療法士が身体を見るときには、
立位
↓
歩行
↓
しゃがむ
↓
片脚で立つ
↓
腕を上げる
↓
階段を上る
など、実際の動作を確認することがあります。
「歪み」より重要なのは身体をコントロールできるか
例えば、立ったときに骨盤が少し左右に傾いていたとしても、片脚立ちをしたときに身体を適切にコントロールできるのであれば、必ずしも大きな問題とは限りません。
反対に、見た目には姿勢が良くても、
・片脚立ちでふらつく
・しゃがむと膝が内側に入る
・腕を上げると腰を反る
・歩くときに身体が大きく揺れる
のであれば、身体の機能面から確認する必要があります。
だからこそ、
「どこが歪んでいるか?」だけではなく、「身体をどう動かしているか?」を見ることが重要です。
これはパーソナルトレーニングやピラティスを行ううえでも非常に重要な考え方です。
身体の「歪み」は筋肉だけが原因ではありません
「身体が歪んでいる」と言われると、
「左右の筋肉の硬さが違うのかな?」
と思う方も多いでしょう。
もちろん筋肉の柔軟性や筋力の左右差が関係する場合はあります。
しかし、それだけではありません。
例えば、
①関節の可動性
股関節、足関節、胸椎、肩関節などの動きが制限されている。
↓
②筋力
必要な筋肉が十分に働かない。
↓
③運動制御
身体を動かすタイミングや方向をうまくコントロールできない。
↓
④生活習慣
長時間座る、同じ方向を向いて作業する、運動量が少ないなど。
↓
⑤痛み
痛みを避けるために身体の使い方が変化する。
このように複数の要素が組み合わさって、現在の姿勢や動作が形成されている可能性があります。
「歪みを治す」のではなく「身体が動きやすい状態」を作る
ここは非常に重要なポイントです。
身体を改善するとき、
「正しい位置に戻す」
という考え方だけにこだわる必要はありません。
むしろ、
「身体が必要な方向に動ける」
ことのほうが重要な場合があります。
例えば、
猫背を完全にゼロにする
↓
ではなく、
背中を丸めることも、伸ばすこともできる。
骨盤を前傾させる
↓
骨盤を後傾させることもできる。
肩を固定する
↓
肩甲骨をさまざまな方向に動かせる。
というように、
一つの姿勢に固定するのではなく、身体の選択肢を増やす
ことが大切です。
身体にとって本当に必要なのは、「常に完璧な姿勢」ではなく、「状況に応じて姿勢や動作を変えられる能力」だからです。
身体の歪み改善で重要な4つのポイント
身体の左右差や姿勢が気になる場合、次の4つを確認してみましょう。
①可動性
必要な関節が十分に動くか。
特に、
・足関節
・股関節
・胸椎
・肩関節
などは、全身の動きに大きく関係します。
②筋力
姿勢を維持するための筋力だけでなく、実際の動作で必要な筋力があるかを確認します。
③運動コントロール
「筋力があるか」だけではなく、「必要なタイミングで筋肉を使えるか」も重要です。
④動作
最終的には実際の動作を見ることが重要です。
スクワット、片脚立ち、歩行、階段、腕を上げる動作などを確認すると、日常生活でどのように身体を使っているのかが分かりやすくなります。
「歪み改善ストレッチ」をしても変わらない理由
インターネットで「骨盤の歪み改善」「姿勢改善ストレッチ」などを検索すると、多くの運動が出てきます。
もちろん、それらの運動が役立つ場合もあります。
しかし、
「歪んでいるから、この筋肉を伸ばせばいい」
と決めつけることには注意が必要です。
例えば、
「右側が硬いから右側をストレッチする」
だけでは、なぜ右側が硬くなったのかまでは分かりません。
股関節が動かないからかもしれません。
胸椎が動かないからかもしれません。
体幹のコントロールが苦手だからかもしれません。
過去の痛みを避けているのかもしれません。
単純に日常生活の使い方によるものかもしれません。
だからこそ、
「硬いところを伸ばす」だけではなく、「なぜ硬くなっているのか」を考えることが重要です。
ピラティスは「歪み」が気になる人にも活用できる
身体の左右差や姿勢が気になる方には、ピラティスを活用する方法もあります。
ピラティスでは、
・呼吸
・胸郭
・脊柱
・骨盤
・肩甲骨
・股関節
・体幹
などの動きを意識しながら運動できます。
特に重要なのは、単に「良い姿勢を作る」のではなく、
自分の身体を自分でコントロールする能力を高めること
です。
例えば、
「背筋を伸ばしてください」
と言われるだけでは、普段の姿勢は変わりにくいかもしれません。
しかし、
「どこを動かせば身体が伸びるのか」
「どの位置なら呼吸しやすいのか」
「股関節から動く感覚はどうか」
「体幹を安定させながら腕を動かせるか」
などを練習すると、身体の使い方そのものを学習することができます。
「身体が歪んでいる」と言われたら、まず何をすればいい?
まずおすすめしたいのは、
焦って「歪みを治す」ことではありません。
次の順番で考えてみてください。
①何が歪んでいると言われたのかを確認する
「骨盤ですか?」
「背骨ですか?」
「肩の高さですか?」
「姿勢全体ですか?」
まず具体的にします。
②痛みや機能低下があるか確認する
痛みがあるのか。
動きにくいのか。
運動や日常生活に支障があるのか。
ここが非常に重要です。
③動作を確認する
立っている姿だけでなく、
・歩く
・しゃがむ
・片脚で立つ
・腕を上げる
などを確認します。
④身体の機能を評価する
可動域、筋力、バランス、動作などを確認します。
⑤必要な運動を選ぶ
ストレッチだけなのか。
筋力トレーニングなのか。
ピラティスなのか。
動作練習なのか。
それとも医療機関での評価が必要なのか。
状態によって選択肢は変わります。
よくある質問|「身体が歪んでいる」と言われた方へ
Q1.身体の歪みは必ず治したほうがいいですか?
必ずしもそうではありません。身体には自然な左右差があり、左右非対称であること自体が問題とは限りません。痛みや動作の問題など、実際の機能と合わせて考えることが重要です。
Q2.骨盤の歪みを治せば腰痛は改善しますか?
骨盤の位置だけで腰痛の原因を決めることはできません。腰痛には身体機能だけでなく、活動量や生活環境など複数の要因が関係する可能性があります。
Q3.身体の歪みは筋トレで改善できますか?
筋力低下や身体の使い方が関係している場合、適切な筋力トレーニングが役立つ可能性があります。ただし、単純に筋肉を鍛えるだけではなく、可動域や動作も評価することが重要です。
Q4.身体の歪みにはピラティスが効果的ですか?
ピラティスは姿勢や身体のコントロールを学ぶ運動の一つとして活用できます。ただし、「歪みを治す」という目的だけで行うのではなく、その人に必要な運動として取り入れることが重要です。
Q5.左右の肩の高さが違うのですが、治したほうがいいですか?
左右の肩の高さには個人差があります。肩の高さだけで異常を判断するのではなく、肩関節・肩甲骨・胸椎・体幹などの動きや、痛み・機能障害の有無を確認することが大切です。
Q6.姿勢が悪いと必ず痛みが出ますか?
必ずしもそうではありません。姿勢と痛みには関係がある場合がありますが、「この姿勢だから必ず痛くなる」という単純な関係ではありません。姿勢だけでなく、運動量、筋力、可動性、生活習慣などを総合的に考える必要があります。
Q7.身体の歪みを改善するには整体と運動のどちらがいいですか?
身体の状態によって異なります。痛みや関節の問題がある場合には医療機関での評価が必要なこともあります。身体機能を改善したい場合には、評価に基づいた運動療法やトレーニングを組み合わせることが選択肢になります。
まとめ|「身体が歪んでいる」という言葉だけで不安にならなくて大丈夫です
「身体が歪んでいる」と言われると、
「自分の身体は悪い状態なのでは?」
と不安になるかもしれません。
しかし、身体にはもともと左右差があります。
そして、
左右差があること=身体に問題があること
ではありません。
大切なのは、
「どこが歪んでいるのか?」
だけではなく、
「その身体の特徴が、痛みや動作、日常生活にどのような影響を与えているのか?」
です。
身体を評価するときには、
姿勢
↓
可動域
↓
筋力
↓
バランス
↓
動作
↓
日常生活
というように、さまざまな視点から確認する必要があります。
そして、身体を「正しい位置」に固定することだけを目標にするのではなく、
「必要なときに必要な方向へ身体を動かせること」
を目指すことが重要です。
身体は機械のように、左右完全対称に作られているわけではありません。
だからこそ、「歪みをゼロにする」という考え方ではなく、
自分の身体の特徴を理解し、その身体を上手に使えるようになること
が、長期的な身体づくりにつながります。
フィジオコンディショニングラボが考える「身体の歪み」
当ジム・治療院では、「骨盤が歪んでいるから」「猫背だから」といった一つの要素だけで身体を判断することはありません。
理学療法士の知識を活かし、
・姿勢
・関節可動域
・筋力
・柔軟性
・バランス
・身体の左右差
・基本動作
・歩行
・日常生活での身体の使い方
などを総合的に確認します。
そのうえで、
「なぜ今の姿勢・動作になっているのか?」
を考え、その人に必要なストレッチ、筋力トレーニング、ピラティス、動作練習などを組み合わせます。
「身体が歪んでいると言われて不安」
「骨盤の左右差が気になる」
「姿勢を良くしたいけれど、何をすればいいか分からない」
「整体やストレッチをしても、すぐ元に戻ってしまう」
「見た目だけでなく、身体の機能から改善したい」
という方は、まず現在の身体の状態を知ることから始めてみてください。
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当ジム・治療院では、理学療法士が医学的な知識に基づき、姿勢・身体の左右差・動作・筋力・可動域などを評価したうえで、一人ひとりに合わせた身体改善プログラムを提供しています。
「身体の歪みを治したい」という方こそ、まずは「どこが悪いのか」ではなく、「身体がどのように動いているのか」を確認してみましょう。
