名古屋市天白区にあるPhysio Conditioning Lab.(フィジオコンディショニングラボ)|パーソナルトレーニング×ピラティス&ボディメンテナンス 理学療法士トレーナーの柴田です。
はじめに
「歩き方が悪いから膝が痛いのでしょうか?」
「歩き方を改善したら腰痛も良くなりますか?」
「正しい歩き方を教えてほしいです」
身体の痛みで相談を受けていると、このような質問をいただくことがあります。
確かに、歩行は毎日繰り返す動作です。
1日数千歩〜1万歩程度歩く人であれば、わずかな身体の使い方の違いでも、長期的には身体への負荷に影響する可能性があります。
しかし、ここで注意したいのが、
「痛みがある=歩き方が悪い」
と単純に考えないことです。
痛みには、関節・筋肉・神経・過去のケガ・活動量・睡眠・ストレスなど、さまざまな要因が関係します。
また、同じ「歩き方が悪い」という表現でも、人によって身体の特徴はまったく違います。
そのため、理学療法士の立場から考えると、
「正しい歩き方に矯正する」のではなく、「その人の身体に合った歩行を獲得する」
ことが重要です。
今回は、歩き方と身体の痛みの関係について詳しく解説します。
歩き方を改善すると身体の痛みは変わる?
結論から言えば、
歩き方を変えることで痛みが変化するケースはあります。
特に、歩行中に特定の部位へ負担が集中している場合には、その身体の使い方を改善することで症状が軽減する可能性があります。
例えば、
膝への負担が大きい歩行
↓
膝周囲のストレスが繰り返される
↓
膝痛につながる
というケースがあります。
また、
股関節が十分に動かない
↓
骨盤や腰で代償する
↓
腰部の動きが大きくなる
↓
腰痛につながる
というような身体の使い方がみられる場合もあります。
ただし、これは「歩き方だけを直せばすべての痛みが治る」という意味ではありません。
重要なのは、
「歩行が症状にどう関係しているのか?」
を確認することです。
そもそも「正しい歩き方」は一つではない
歩き方について最も誤解されやすいのが、
「正しい歩き方には一つの完成形がある」
という考え方です。
実際の歩行には個人差があります。
身長、脚の長さ、骨格、筋力、関節可動域、年齢、運動歴、過去のケガなどによって歩き方は変わります。
例えば、
「つま先は必ず正面」
「歩幅は必ず大きく」
「かかとから着地する」
「胸を張って歩く」
など、一般的に言われる「正しい歩き方」をすべての人に当てはめることには注意が必要です。
大切なのは、
その歩き方によって痛みが出ているのか、身体に過剰な負担が生じているのか
ということです。
歩行は「脚だけ」の運動ではない
歩くという動作は、脚を前に出すだけではありません。
歩行中には、
足部
↓
足関節
↓
膝
↓
股関節
↓
骨盤
↓
脊柱
↓
体幹
が連動しています。
さらに腕の振りや頭部の位置など、全身が協調して動きます。
そのため、膝痛があるから膝だけを見る、腰痛があるから腰だけを見る、という方法では歩行の問題を十分に把握できないことがあります。
例えば膝の痛みがある人でも、
・足部の使い方
・足首の可動域
・股関節の筋力
・骨盤の動き
・体幹の安定性
などが関係している可能性があります。
歩き方が身体の痛みに関係するケース①|膝痛
膝痛と歩行は非常に密接に関係します。
歩行では、体重を片脚で支える瞬間があります。
そのとき、
・膝が内側へ入りやすい
・膝が外側へ流れやすい
・左右で荷重が違う
・痛い側を避けて歩く
などの特徴がみられる場合があります。
しかし、ここでも、
「膝が内側に入ったから痛い」
と単純に判断することはできません。
膝の痛みがあるから動作が変化している可能性もあるからです。
つまり、
痛い
↓
かばって歩く
↓
歩き方が変わる
という方向も考えられます。
このように痛みと歩行は「原因→結果」の一方向ではなく、相互に影響し合うことがあります。
歩き方が身体の痛みに関係するケース②|腰痛
腰痛の人では、歩行中の骨盤や体幹の動きを確認することがあります。
例えば、
・歩幅が極端に小さい
・体幹が左右に大きく揺れる
・腰を反って歩く
・股関節が十分に伸びない
・痛い側を避ける
などです。
特に股関節の伸展が制限されている場合、歩行時に脚を後ろへ送りにくくなるため、骨盤や腰部の動きで補うことがあります。
ただし、
「股関節が硬い=腰痛の原因」
というわけではありません。
あくまで身体全体の動きの中で、その人の症状と関連しているかを確認する必要があります。
歩き方が身体の痛みに関係するケース③|股関節痛
股関節に痛みがある人は、無意識に痛い側への荷重を減らすことがあります。
すると、
痛い側に体重をかけない
↓
反対側へ荷重が偏る
↓
左右の歩行パターンが変化する
という状態になることがあります。
痛みを避けるための歩き方は、短期間であれば身体を守るための適応とも考えられます。
しかし、長期間続く場合には、反対側の脚や腰などに負担が偏る可能性があります。
そのため、痛みがある場合には、
「痛みを無視して正しいフォームに戻す」
のではなく、
「なぜその歩き方になっているのか」
を考えることが重要です。
歩き方が身体の痛みに関係するケース④|足・足首の痛み
足部や足関節の機能も歩行に大きく関係します。
足は身体と床をつなぐ部分です。
そのため、
足部の安定性
足関節の可動性
足指の使い方
などが変化すると、上にある膝や股関節の動きにも影響する場合があります。
例えば足首の背屈が制限されていると、歩行やしゃがみ動作で身体が別の関節を使って代償することがあります。
このため、下半身の痛みを見る場合には、
「足元から身体全体を見る」
ことが重要です。
「歩き方を変える」前に身体の機能を変える
ここが理学療法士として非常に重要だと考えているポイントです。
歩き方だけを意識して、
「膝をまっすぐに」
「つま先を正面に」
「歩幅を大きく」
と指示しても、身体がその動きをできるとは限りません。
例えば、
股関節が硬い
↓
脚を後ろへ出せない
↓
歩幅を大きくしようとして腰を反る
ということがあります。
この場合、「もっと歩幅を大きくしてください」と言うだけでは問題が解決しません。
まず、
なぜ歩幅を大きくできないのか?
を評価する必要があります。
可動域なのか、筋力なのか、痛みなのか、運動制御なのか。
原因によってアプローチは変わります。
歩行改善で重要なのは「フォーム」より「身体機能」
歩行を改善する場合、私は次のような順番で考えることをおすすめします。
① 痛みの状態を確認する
どこが、いつ、どの程度痛むのか。
② 関節可動域を確認する
足首、膝、股関節、脊柱などが必要な範囲で動くか。
③ 筋力を確認する
歩行に必要な筋力があるか。
④ バランス能力を確認する
片脚で身体を支えられるか。
⑤ 動作を確認する
スクワット、立ち上がり、ステップ動作などで身体をどう使っているか。
⑥ 歩行を確認する
最後に実際の歩行を確認します。
つまり、
身体機能
↓
基本動作
↓
歩行
という順番で考えることができます。
歩き方を変えるなら「意識」だけに頼らない
歩行改善でよくあるのが、
「歩くときに膝を外へ向けるよう意識する」
「胸を張るようにする」
「大股で歩く」
など、意識だけでフォームを変えようとする方法です。
もちろん、一時的な動作修正としては有効な場合があります。
しかし、意識だけで長期間歩き方を変えるのは簡単ではありません。
なぜなら、歩行は無意識に近い状態で繰り返される動作だからです。
そこで、
筋力トレーニング
+
可動域改善
+
バランストレーニング
+
動作練習
+
実際の歩行練習
というように、身体機能そのものを改善していくことが重要になります。
歩行改善で大切なのは「痛みを出さない歩き方」だけではない
痛みがあると、
「痛くない歩き方を探そう」
と考えます。
もちろん痛みを悪化させる動作を避けることは重要です。
しかし、最終的には、
「痛くないように歩く」から「身体を適切に使って歩く」
へ移行することが大切です。
例えば痛みを避けるために歩幅を極端に小さくしている場合、痛みが落ち着いた後もその歩き方が残っていることがあります。
そこで、
痛みの管理
↓
身体機能の改善
↓
歩行パターンの改善
↓
活動量の回復
という流れを作っていきます。
歩行を改善するために筋トレは必要?
多くの場合、歩行能力を改善するためには筋力も重要です。
特に、
・臀部
・大腿部
・下腿
・体幹
などの筋肉は歩行に関係します。
ただし、「歩行=筋力」ではありません。
筋力が十分でも、片脚での身体のコントロールが苦手であれば歩行が不安定になることがあります。
逆に筋力がそれほど高くなくても、身体を効率よく使える人もいます。
そのため、
筋力+可動性+バランス+協調性
を総合的に考えることが重要です。
ピラティスは歩行改善に使える?
ピラティスは、歩き方そのものを直接練習する運動ではありません。
しかし、
・体幹のコントロール
・骨盤のコントロール
・股関節の動き
・呼吸
・四肢と体幹の協調
などを意識しながら運動できるため、歩行に必要な身体機能を整える手段の一つとして活用できます。
ただし、ピラティスを行っただけで自然に歩き方が改善するとは限りません。
最終的には、
ピラティス・筋トレ
↓
立位
↓
片脚支持
↓
ステップ
↓
歩行
というように、実際の動作へつなげることが重要です。
歩き方を改善する前に確認したいこと
「歩き方が悪い」と言われたことがある方は、まず次の項目を確認してみてください。
□ 左右で歩き方が違う
□ 片脚立ちが苦手
□ 階段で痛みが出る
□ 長く歩くと痛くなる
□ 歩幅が以前より狭くなった
□ 足を後ろへ出しにくい
□ 歩くと身体が左右に大きく揺れる
□ 痛い側に体重をかけたくない
□ 歩くと腰や膝だけが疲れる
これらが複数当てはまる場合は、歩行だけではなく、その背景にある身体機能を確認することをおすすめします。
よくある質問|歩き方と身体の痛み
Q. 歩き方を改善すれば腰痛は治りますか?
歩行が痛みに関係している場合、歩行パターンや身体機能を改善することで症状が変化する可能性があります。ただし、腰痛にはさまざまな要因があるため、歩き方だけで改善すると断定することはできません。
Q. 膝痛は歩き方が悪いから起こるのでしょうか?
必ずしもそうではありません。膝関節の状態、筋力、可動域、体重、活動量、過去のケガなど、複数の要因が関係します。また、膝が痛いことで歩き方が変化する場合もあります。
Q. 正しい歩き方を教えてもらえば痛みは改善しますか?
歩行フォームだけを修正すればよいとは限りません。なぜその歩き方になっているのかを確認し、必要に応じて可動域、筋力、バランス、運動制御などを改善することが重要です。
Q. 大股で歩いたほうが健康にいいですか?
必ずしも全員が大股で歩く必要はありません。歩幅は身体の状態や速度などによって変化します。無理に歩幅を広げることで別の部位に負担がかかる場合もあります。
Q. かかとから着地する歩き方が正しいですか?
歩行では踵接地を伴うパターンが一般的ですが、「必ずこの形で歩かなければならない」と一律に考えるのは適切ではありません。歩行速度や個人差、身体の状態によって歩き方は変化します。
Q. 歩くと痛い場合は、歩かないほうがいいですか?
痛みの原因や程度によります。強い痛みや急激な症状の変化がある場合は医療機関で評価を受けることが重要です。活動を完全に止めるかどうかは、症状を確認しながら判断する必要があります。
Q. 歩き方は自分で改善できますか?
軽度の身体の使い方であれば、動作を意識することで変化する場合があります。ただし、関節可動域の制限、筋力低下、痛み、バランス障害などがある場合は、まず原因を確認することが重要です。
まとめ|歩き方を変えることより「なぜその歩き方なのか」が重要
歩き方を改善することで、身体の痛みが変化するケースはあります。
しかし、
「痛い=歩き方が悪い」
とは限りません。
むしろ重要なのは、
なぜその歩き方になっているのか?
を考えることです。
例えば、
股関節が硬い
↓
脚を後ろへ出せない
↓
腰で代償する
↓
腰への負担が増える
という人もいれば、
膝が痛い
↓
痛い側に体重をかけない
↓
反対側に荷重が偏る
↓
歩行パターンが変化する
という人もいます。
つまり、歩行は「原因」である場合もあれば、「結果」である場合もあります。
だからこそ、
痛み
→身体機能
→基本動作
→歩行
という視点で評価することが重要です。
そして最終的に目指すのは、
「見た目がきれいな歩き方」ではなく、「その人にとって無理なく効率的に歩ける身体」
です。
フィジオコンディショニングラボが考える歩行改善
当ジム・治療院では、単純に「正しい歩き方」を教えるだけではありません。
理学療法士として、
痛みの状態
+
関節可動域
+
筋力
+
バランス
+
足部・足関節
+
股関節
+
骨盤
+
体幹
+
基本動作
+
実際の歩行
を総合的に確認します。
そして、
「なぜその歩き方になっているのか?」
を考えたうえで、一人ひとりに必要な運動を組み立てます。
ストレッチが必要な人もいれば、筋力トレーニングが必要な人もいます。
ピラティスによる身体のコントロールが必要な人もいれば、片脚立位やステップ動作など、実際の動作練習が必要な人もいます。
大切なのは、
「歩き方を無理に矯正すること」ではなく、「歩き方を自然に改善できる身体をつくること」
です。
「歩くと膝が痛い」
「長く歩くと腰が痛くなる」
「最近、歩幅が狭くなった」
「歩き方がおかしいと言われた」
「痛みを改善して、また長く歩けるようになりたい」
という方は、歩き方だけではなく、その背景にある身体機能まで一度確認してみてください。
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