前回は、HRV(心拍変動)から自律神経の柔軟性を読み取る方法をご紹介しました。今回は、そのHRVにも深く関わる「呼吸のパターン」に目を向けてみたいと思います。
ピラティスでは、体幹を安定させるために「胸式呼吸(ラテラルブリージング)」が使われることがあります。肋骨を横に広げるように呼吸することで、胸郭の可動性を向上させたり、動きと呼吸を連動させやすいという利点があります。しかし、利点がある呼吸法も“いつもそれだけ”になってしまうと、偏りや緊張が生まれやすくなります。
呼吸は、自律神経のスイッチのような存在です。浅く速い呼吸では交感神経(アクセル)が優位になりやすく、ゆったり深い呼吸では副交感神経(ブレーキ)が働きやすくなります。つまり、「どう呼吸するか」は、心身の状態に大きな影響を与えるということです。
ラテラルブリージングが悪いわけではありません。しかし、腹筋を固めすぎると横隔膜の動きが妨げられ、背骨の動きを低下させてしまうことがあります。負荷が高い時には、体幹を安定させるための呼吸法を使うことが重要ですが、休息中やリラックスしている時には自然で柔軟な呼吸を取り入れることが大切です。このような呼吸の使い分けが、心身のバランスを整える鍵となります。
ピラティスは、動きと呼吸をつなげながら身体の内側に意識を向ける時間です。だからこそ、その呼吸が「がんばりすぎ」になっていないか、たまには見直してみましょう。例えば、動きがスムーズにいかないと感じるとき、自分の呼吸が止まっていたり、浅く速くなっていないか注意を向けてみましょう。逆に、リラックス時には呼吸が深く、穏やかになっているかを確認してみると良いでしょう。
自分の呼吸に気づくだけでも、自律神経の柔軟性を高め、心身の調整が少しずつできるようになります。日々の練習の中で、呼吸法を意識的に使い分けることを習慣にしていきましょう。
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