前回は、HRV(心拍変動)から自律神経の柔軟性を読み取る方法をご紹介しました。今回は、そのHRVにも深く関わる「呼吸のパターン」に目を向けてみたいと思います。

ピラティスでは、体幹を安定させるために「胸式呼吸(ラテラルブリージング)」が使われることがあります。肋骨を横に広げるように呼吸することで、胸郭の可動性を向上させたり、動きと呼吸を連動させやすいという利点があります。しかし、利点がある呼吸法も“いつもそれだけ”になってしまうと、偏りや緊張が生まれやすくなります。

呼吸は、自律神経のスイッチのような存在です。浅く速い呼吸では交感神経(アクセル)が優位になりやすく、ゆったり深い呼吸では副交感神経(ブレーキ)が働きやすくなります。つまり、「どう呼吸するか」は、心身の状態に大きな影響を与えるということです。

ラテラルブリージングが悪いわけではありません。しかし、腹筋を固めすぎると横隔膜の動きが妨げられ、背骨の動きを低下させてしまうことがあります。負荷が高い時には、体幹を安定させるための呼吸法を使うことが重要ですが、休息中やリラックスしている時には自然で柔軟な呼吸を取り入れることが大切です。このような呼吸の使い分けが、心身のバランスを整える鍵となります。

ピラティスは、動きと呼吸をつなげながら身体の内側に意識を向ける時間です。だからこそ、その呼吸が「がんばりすぎ」になっていないか、たまには見直してみましょう。例えば、動きがスムーズにいかないと感じるとき、自分の呼吸が止まっていたり、浅く速くなっていないか注意を向けてみましょう。逆に、リラックス時には呼吸が深く、穏やかになっているかを確認してみると良いでしょう。

自分の呼吸に気づくだけでも、自律神経の柔軟性を高め、心身の調整が少しずつできるようになります。日々の練習の中で、呼吸法を意識的に使い分けることを習慣にしていきましょう。

 

 

 

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日差しが強くなり、汗ばむ日も増えてきました。こうして季節が変わるとき、私たちの体は無意識のうちに、さまざまな調整をしています。たとえば、外気温が上がれば汗をかいて体温を下げようとする、緊張する場面では心拍が早くなる。こうした働きはすべて、自律神経のはたらきによるものです。

自律神経には、アクセルの役割を果たす「交感神経」と、ブレーキのような「副交感神経」があり、体内のバランスをとるために絶えず調整を行っています。その調整力=柔軟性を、日常的に知る手がかりとなるのがHRV(Heart Rate Variability/心拍変動)です。

HRV(心拍変動)とは、心拍と心拍の間隔のばらつきを測定したもの。たとえば、安静時の脈が1分間に60回だからといって、1秒ごとにぴったり打っているわけではありません。実際には、1秒より少し短かったり長かったりと、微細な「ゆらぎ」が生じています。このばらつき(ゆらぎ)が大きいほど、自律神経がしなやかに働いていると考えられています。

研究では、ストレスの多い状態や慢性的な疲労時にはHRVが低下し、逆にリラックスしていて回復力が高いときにはHRVが高くなることが分かっています。つまり、自分の心と体が「整っているかどうか」は、心拍のゆらぎを通してある程度知ることができるのです。

先日のブログでは「呼吸の状態」をセルフチェックする方法を紹介しましたが、このHRVもまた、自分の今を知る手がかりになります。特にApple Watchなどを使っている方は、すでに自動的に測定されていることが多いので、確認してみるだけでも十分な気づきが得られるかもしれません。

※HRVのチェック方法(Apple Watchの場合)
 Apple Watchでは、標準搭載の「ヘルスケア」アプリでHRVが自動的に記録されます。
 「ヘルスケア」アプリを開いて →「心拍変動(HRV)」を検索すると、過去の記録がグラフとして表示されます。
 特に、寝ている間のHRV(夜間の平均HRV)は、その日のストレスや疲労の蓄積度を示す有効な指標のひとつとされています。

数値の目安としては、平均的な成人で40〜80ms程度。
ただし、個人差が大きいため、他人と比較するよりも「自分の中での変化」に注目することが大切です。

 

汗ばむ季節は、体の変化や疲れも感じやすくなるものです。
だからこそ、体の声に少し耳を傾けて、自律神経のしなやかさをいたわる時間を持ってみてはいかがでしょうか。

 
 

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先日、愛犬が体調を崩しました。普段は元気いっぱいで、散歩も大好きな子なのに、下痢が続き、ぐったりとした様子でした。犬は「お腹が痛い」「気持ちが悪い」と言葉で伝えることができません。そのため、私たちは犬の食欲や便の様子、散歩のリズム、そして体型の変化から「何かがおかしい」と感じ取るしかありません。幸い、今は回復して元気を取り戻しましたが、この数日間、愛犬の小さなサインを見逃さないように細心の注意を払いながら過ごしていました。

この経験を通して改めて感じたのは、犬だけでなく人間もまた、身体が発する「言葉にならないサイン」を受け取ることの大切さです。体調を崩すほどではないけれど、なんとなくだるい、食欲が落ちている、呼吸が浅い。そんな微細な変化に耳を傾けることが、自分の健康を守る第一歩になります。特に忙しい日々の中では、自分の体の声を後回しにしがちです。だからこそ、日頃から「自分なりのバロメーター」を持っておくことが大切だと感じています。

バロメーターは特別なものでなくて構いません。たとえば、「朝、すっきり起きられるか」「寝つきがスムーズか」「いいお通じがあるか」といった生活リズムのチェックでもいいですし、「呼吸の状態」を測るのもおすすめです。

簡単な方法として、1分間の呼吸の回数を数えてみましょう。1分間に6回以下のゆっくりとしたペースで呼吸できていると、リラックスした状態で副交感神経が優位に働いている証拠です。具体的には、吸う時間が4~5秒、吐く時間が6~8秒程度と、吐く時間を少し長めにすることで副交感神経がより優位になり、リラックス効果が高まるとされています。

呼吸は自律神経の状態を映し出す鏡のようなものです。ストレスや疲労で緊張すると、自然と呼吸が浅く、速くなります。そのため、呼吸の様子を観察するだけで、自分のコンディションを手軽に知ることができます。

忙しい毎日の中でも、自分の小さな変化に気づくことは、自分自身の体を大切にする第一歩です。まずは今日、呼吸をチェックしてみませんか? 自分の呼吸に意識を向けるだけでも、体の声に耳を傾けるきっかけになります。リラックスして深く呼吸することで、心も体も落ち着くことでしょう。

 

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レッスンのあとには「調子がいい」と感じられるのに、しばらくするとまた肩がこってきたり、腰が重たくなったり。「あの感覚、どこへ行ってしまったんだろう?」そんなふうに思ったことはありませんか?スタジオでは整った感じがしたのに、気づけばまた元どおり。それは身体の問題というよりも、“動いている環境や状況”に要因がある場合があります。

私たちの体の使い方は、無意識のうちに「その場の環境」に大きく影響を受けています。スタジオでは、落ち着いた空間の中で、動きやすい服装に身を包み、インストラクターのガイドで身体に集中できる環境が整っています。でも、日常はどうでしょう? 荷物を持ち、誰かと話しながら、時間に追われて動いている。仕事中は業務のことで頭がいっぱいになり、身体の状態に注意を向ける余裕がなくなりがちです。こうした環境の違いが、スタジオで感じた感覚を日常で再現しにくくしているのです。

そのため、スタジオで身につけた感覚を暮らしの中でも自然に使えるようにするには、「般化(はんか)」というプロセスが鍵になります。これは、ある場所や条件で習得したことを、別の場面でも応用できるようにする学習のしくみです。たとえば、スタジオで整えた姿勢や動きが、買い物帰りに荷物を持ちながらでも自然と保てるようになる。そんなふうに、日常の中で無理なく再現できる力を育てていきます。

レッスンでは、その般化が自然に起こるように、環境や姿勢を少しずつ変えながら、エクササイズの難易度を調整し、身体が日常の状況にも対応できるよう導いていきます。

身体を整えていくためのピラティスは、スタジオの中だけで完結するものではなく、日々の暮らしの中にじんわりと広がっていくものだと考えています。ピラティスを通して手に入れた心地よさが、あなたの毎日の動きや姿勢、そして疲れにくさへとつながっていくように。
そんな想いを込めて、“日常に根づく体づくり”を大切にしています。

 
今年はついに吉野の桜を見に行けました。お天気にも恵まれて、奥千本までの山道を愛犬とともにハイキング。
吉野水分神社の枝垂桜も美しかった✨
 
 

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先週、京都市動物園を訪れました。ちょうど桜が見頃で、春の遠足に来ていた幼稚園の子どもたちのにぎやかな声も相まって、のんびりとした春の日差しの中、私自身もすっかり遠足気分。象やキリン、ゴリラなど、たくさんの動物たちがいて、それぞれの動きやしぐさを眺めていると、童心にかえったようなワクワクした気持ちになります。


中でも、ひときわ印象的だったのがチンパンジーの展示エリアです。屋外の運動場でのびのびと動き回る様子も見応えがありましたが、屋内ではモニターに向かって課題に取り組んでいるチンパンジーの姿が見られました。この“勉強部屋”で行われていたのは、モニターに表示された数字を1から順にタッチしていくという課題で、動物の知的好奇心を満たす「認知的エンリッチメント」でもあるそうです。正解するとごほうびがもらえる仕組みにはなっていますが、参加するかどうかは完全に自由。外の運動場で遊んだり、昼寝をして過ごしたりしてもいいのに、それでも“勉強部屋”はいつも人気で、順番待ちをするチンパンジーの姿まであると知り、驚きとともに感心してしまいました。

 

 


観察していると、モニターに集中しながらも、ときおりこちらを振り返るチンパンジーの姿がありました。まるで「見てる?」「うまくできてる?」とでも言うように、ちらりと視線を送ってきます。そのまなざしには、自信と、どこか期待するような表情が入り混じっているように見えました。誰かに言われたからではなく、自分の意志で取り組み、考え、選び、行動している。その姿勢に、私たち人間がつい忘れがちな“学びの原点”を見たように思います。

私たちはつい、「勉強はやらなければならないもの」「役に立たなければ意味がない」と考えてしまいがちです。でも、本来の学びは「なんだろう?」「やってみたい!」という好奇心から始まるものではないでしょうか。遊びと学びが地続きになっているチンパンジーたちの姿を見て、学びはもっと自由で、もっと楽しんでいいのだと改めて感じました。

運動指導に携わる私たちにとって、体の仕組みを理解することは、よりよいサポートを行うための大切な土台になります。目の前で起きている動きや変化の理由を、解剖学や運動学の視点から読み解けるようになると、指導の幅はぐっと広がります。だからこそ、「義務だから」ではなく、「なぜ?」「知りたい」という気持ちを出発点にしてほしいと願っています。

エッセンシャル解剖学、身体運動学の次期講座の日程を更新しました。解剖学や運動学が苦手な方にも、無理なく楽しく学べる時間を目指しています。ご興味のある方はこちらのリンクをご参照ください。

エッセンシャル解剖学

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京都市動物園のチンパンジーのお勉強動画

 

 

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