さよなら妖精 | ありのす

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混沌とした毎日の日記
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また本の話。秋ですねもみじ秋じゃなくても読んでる人ですが汗

話題の「王とサーカス」を読む前段として、主人公が脇役のこの作品を読んでみた。
「王とサーカス」はいきなりアジアのある国にいるところから始まるが、こちらは高校時代の話。
おそらく主人公が記者になるきっかけとなった出来事ではないかと思うのだけど。

来日した東欧の少女と高校生の、のほほんとした高校生活。日常にちいさい謎が毎回入っているところが、栗きんとんシリーズとか氷菓シリーズとかいつものそれで、やっぱ米澤さんだなあとのんびりページを繰っていたら、最後に来てすとんと落とされたガーン
たぶん「夏の方程式」以来、久しぶりに読書で涙しましたしょぼん
展開としてはベタなのだけど、雰囲気の持っていきかたがとても上手いクラッカー

外国人の少女のちょっと不思議な日本語とか、日本の生活の小さい謎とか、高校生活の小さな起伏とか、冒頭から延々と描かれる日本の平和な生活がとても普通に感じられる。
それだけに、日本の外から来た少女の現地での生活とのギャップが、残酷なくらいに鮮烈ですガーン

世界はこんなに平和じゃないんだぞ、というのは日本人が常に言われることですが汗言葉でなく描写でそれを痛感させるお手並み、見事でした合格
米澤さんは高校生の日常生活がテーマの作品が多いけど、こんなにワールドワイドな視点をお持ちとは、びっくりしました。

で、世界の生活のシビアさというようなテーマが(本のテーマとしては)割に好きなのですが、梓崎優さんの「叫びと祈り」と同じようなにおいを感じる・・・。

個人的に米澤さんの本を今集中的に読んでるところですが、出身大学と学部と年代がほぼ一緒なのでちょっと親しみがあります。こんな有名作家を輩出しているとは、なんか嬉しいぞ。