森博嗣 S&Mシリーズ | ありのす

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昨年のドラマ放映から思い立って、2ヶ月くらいかけて読んできましたが、やっとS&Mシリーズ(犀川先生と萌絵ちゃんのシリーズ)全巻読み終わりましたDASH!
京極夏彦ほどじゃなかったけど、レンガ本の連続で、一冊読むのに一週間はかかってましたねー。

このシリーズで一番新鮮だったのは、やはり理系の人たちが主人公で、理系の発想で展開があること。
相棒的ミステリによくある、動機がどうで、人間関係がどうで、社会背景がどうで、ということはほとんど問題になりません。
それはそれであるのだろうけど、人間関係の一端として処理されるだけ。ほとんど詳述されません。

このミステリはお題目が全部密室殺人なので、物理的に、どのように密室が作られたか、ということがメインのテーマになります。それについてはいろいろああでもないこうでもないという仮説がいっぱい出てくるのですが、結論は結構最後のページのほうになるので、読者は本の厚さの分ずっと引っ張られているという感じにひひ
物理化学数学、全然ダメなので、えー理系?とちょっと敬遠気味でしたが、読んでみたらこの、人間関係のウェットな記述ほとんどなし、シンプルで分かりやすい解説、というミステリにすっかりはまってしまいましたDASH!
文系はとかく感情的になってしまいがちだけど、理系の、感情を排除して取り組むところが結構好きですね。ミステリのどろどろ部分がちょうどないので。


登場人物についても、どっからどう見ても変人な犀川先生を筆頭に、押しに押すんだけど先生に全然通用してない美人お嬢様の萌絵ちゃん、男みたいな国枝助手、人類イチの頭脳を持つ天才真賀田博士、などなどキャラ立ちまくりの面々で、後半にいくにつれ、会話も変な風にテンションアップして面白かった合格

中にいろいろ出てくる理系の薀蓄も、まあ考えたことがないようなものが多くて・・。意外と哲学的で面白かったりします。
しかし、地下3Fにエレベーターで降りるときに向きが90度変わっていたら、秒速どのくらいの負荷がかかるか、なんて計算がπと一緒にでてきたりなんかするとお手上げですなーパー
もうひとつ、日の出の時刻のずれから、人物の居場所を計算、というのも最後に出てきました。

文章の比喩も独特で、優雅対決、とか、角度70度で立腹、とか、読んでいて噴き出す表現が毎回いくつか出てきますべーっだ!
全体を通してみると、やはりFになるのインパクトが一番強く、冷たい密室が舞台は理系だったけど内容は一番普通で、夏のレプリカが一番悲劇、今はもうない、が一番ツイストが効いている感じだったかなー。
個人的には封印再度が好きなんですけどねー。壷と箱はドラマの画像で見られてよかったと思います。

そういえばドラマはやはり時間の制限上、端折られている部分が確かに多いですが、キャラクターのイメージは私は割りと近かったかなと。いや、大御坊さんとかは・・・ですが汗メインキャストは違和感なかったです。このドラマ見なかったら多分本編は読まなかったので、ドラマも入門編ということでは結構いいのじゃないのかなと思います。ドラマ見ても、本編も全然楽しめます音譜

京極さんの京極堂シリーズ以来の分量と熱中ぶりでしたーラブラブ!