松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~ -25ページ目

松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

創造芸術は人間の根源的な表現欲求と知的好奇心の発露の最も崇高な形。音楽家・作曲家を目指す貴方、自分の信じる道(未知)を進んでいきましょう。芸術・音楽・文化と共に人生と社会を豊かにしていきましょう。~頑張れ日本!〜がんばろうニッポン!

日本には多種多様な伝統芸能・伝統音楽が息づいています。
それらを担う邦楽器たちが、
また実に多彩で力強い構成と普遍性を有しています。

藝大作曲科在学中には、
同じキャンパスに邦楽器専攻生が居たにもかかわらず、
あまり邦楽器に積極的に関らなかった私ですが、
1990年頃に、尺八作品の委嘱を受けて以来、
邦楽器の魅力にすっかり取り憑かれました。
以後の私は、約半数の作品が邦楽器絡みになっている程です。

そんな私の邦楽器作品群の一部が、
楽譜&CDセット書籍の形で
発売されていますので、ここでご紹介しましょう。
定価6000円(+税)と少々値段がはりますが、
手に取って、見て、聴いていただければ幸いです。

これからも、日本の有する素晴らしい音楽資源である
邦楽器のための作品を、書き続けようと思っています。

###「現代の日本音楽第19集ー松尾祐孝 作品」###

作曲者:   松尾祐孝
監修・編集: 独立行政法人 日本藝術文化振興会
       国立劇場調査養成部調査資料課
発行所:   春秋社
装丁者:   本田 進
発行日: 2007年12月20日
CD音源:  国立劇場舞台技術部/
       コジマ録音/有限会社ナビ/
       ミュージック・フロム・ジャパン
英文翻訳:  スティーヴン・ネルソン/小川紀久子

楽譜掲載楽曲:
1)呼鼓悠遊      (1999年 国立劇場委嘱作品)
2)美しの都 Ⅲ ~尺八と十七絃の為に
            (1996年 北垣内秀響委嘱作品)
3)新譜音悦多~邦楽合奏の為の練習曲
          (1998年 現代邦楽研究所委嘱作品)
4)DISTRACTION Ⅴ
       for Shakuhachi and Twenty-string Koto
(1998/2005年
   メキシコ セルバンティノ国際芸術祭2005招待作品)
5)琵琶悠遊
  (2007年 ミュージック・フロム・ジャパン委嘱作品)

CD収録:
1)呼鼓悠遊
   小鼓=藤舎呂英  大鼓=藤者円秀  打楽器=松倉利之 
   三味線=高田和子 十七絃=石垣清美
   1999年4月15日 国立劇場小劇場 
2)新譜音悦多
   尺八=中村明一
  三味線 Ⅰ =山本普乃  三味線 Ⅱ =上原潤一
   箏 Ⅰ =石垣清美  箏 Ⅱ =野澤佐保子 
  十七絃箏=黒澤陽子
   2001年8月 調布グリーンホール
3)ディストラクション Ⅴ
   尺八=三橋貴風 二十絃箏=吉村七重
   2006年3月12日 みなとみらいホール 小ホール
4)琵琶悠遊
   琵琶=田原順子  笛=西川浩平  鼓=髙橋明邦
   2007年3月4日 マーキン・コンサート・ホール
           (米国/ニューヨーク)

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-春秋者出版楽譜表紙


このセットでは録音が漏れていた<美しの都 Ⅲ ~尺八と十七絃の為に>は、
数年前にリリースされた山口賢治氏のCD「尺八の現在」に収録されています。

######山口賢治「尺八の現在」#####
  Kenji Yamaguchi, Shakuhachi Today

1)菅野由弘/楔形譜
2)松尾祐孝/美しの都 Ⅲ
3)森本恭正/かつてのアルカディア
4)下山一二三/雪渓第2番
5)山本和智/
   /timber/ for Shakuhachi and 2 percussion
6)清水一徹/レスタウロ
7)稲森安太己/尺八独奏のための「禁じ手」

尺八:山口賢治

三味線:野澤徹也 
箏:小林道恵 箏・十七絃:野澤佐保子
打楽器:篠田浩美 大家一将

山口健治『尺八の現在』
【企画・制作】山口健治
【録音・制作協力】洗足学園音楽大学
【録音エンジニア】高木理央
【ジャケットデザイン】黒部晃一

企画制作:山口賢治 / YSEK001 / 定価3000円(税込)

###########################

7名の作曲家の作品を満載した濃い内容のCDです。
「邦楽ジャーナル」オンライン・ショップで購入できます。
http://hj-how.com/SHOP/2497

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-山口賢治「尺八の現在」

2014年9月8日には、
<松尾祐孝邦楽器作品個展>を開催しました。
「現代の日本音楽第19集」に収録したものの、
難曲ゆえに再演の機会に恵まれなかった
<呼鼓悠遊>も演奏することができました。

個展プログラム冊子表紙

######<松尾祐孝 邦楽器作品個展>######
  ~現代邦楽研究所創立20年と
      現代邦楽コース創設10年を祝して...
       そして領域の拡大へ~
  2014年9月8日(月) 開場=18:30 開演=19:00
        洗足学園 前田ホール

プログラム
1)新譜音悦多~しんふぉにえった
       (1998年 / 現代邦楽研究所委嘱作品)
2)美しの都~尺八とオルガンの為の幻想曲
    (1991年 / 松本市音楽文化ホール初演作品)
3)呼鼓悠遊
          (1999年 / 国立劇場委嘱作品) 
4)歳時記~琵琶の為の現代音楽小品集
    (2013-14年 / “聚の会”協働制作作品 / 初演)
5)糸の書~二十絃箏と邦楽器合奏の為の協奏曲
        (2010年 / 日本音楽集団委嘱作品)

 出演
  尺八:三橋貴風 山口賢治 阿部大輔  
  三味線:野澤徹也 大友美由奈  
  箏:野澤佐保子 吉原佐知子
  十七絃箏:石垣清美 谷冨愛美
  二十絃箏:吉村七重(ゲスト)  
  打楽器:石井喜久子  打楽:西川啓光 富田慎平
  琵琶:田原順子(ゲスト) 他 "聚の会"メンバー  
  オルガン:中澤未帆  
  指揮:松尾祐孝
 
 主催:洗足学園音楽大学 大学院
 協力:現代邦楽研究所 現代邦楽コース
    田原順子琵琶研究所<聚の会>
 後援:日本現代音楽協会

松尾祐孝邦楽器作品個展

そして2024年度までは、勤務先の洗足学園音楽大学で
現代邦楽コースの責任者を兼務していました。
(現在は常勤定年に達したので客員教授となっています。)
邦楽との深い縁を感じている私です。

これからも、邦楽器作品にも取り組んでいくことを
固く心に期している私です。

松尾祐孝YouTubeチャンネルもよろしくお願いいたします!

【松尾祐孝YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UC5rdhWMb6oU_HhAnhafniiw

【松尾祐孝YouTubeチャンネル/再生リスト:邦楽器作品集】
https://www.youtube.com/playlist?list=PLpiG7mEEDodXyyo5jewLq3zhFKnkynnik

あらためて、明けましておめでとうございます。
今年もこのブログのご愛読をよろしくお願いいたします。

箱根からの富士山

私は、2009年から2011年の暮れに放送された
NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の録画を今でも録画でよく観ます。
(昨年にも日曜日の夜に再放送が行われました。)

日本海海戦の大勝利・・・
そして日露戦争の(実はギリギリの)勝利・・・
冷静な判断を積み上げて、
国家の存亡を懸けたギリギリの舵取りを、
各人が懸命に務め挙げて行ったあの時代から、
やがて過信盲信の時代に陥ってしまい、
遂には太平洋戦争に突入していった昭和初期の日本・・・

このような歴史とその礎となった多くの人々の
奮闘と犠牲の上で、今日の我々の
生活があるということを心静かに振り返りつつ、
各回をじっくりと観たいと思っている私です。

今、日本という国が独立を保ち、
世界の中で極めて恵まれた環境で生活できている事、
その日本という存在が継続してきたことに、
あらためて感謝したいと思います。

我が国を大切に思う心、
我が国の文化芸術芸能を愛する心が、
真の国際交流の基盤になります。
ただ外来のものをありがたがっているだけでは、
全く不十分で話になりません。

私が日本の伝統音楽と邦楽器にも心を配りながら、
作曲活動を展開している理由は、
このような心構えみ基づくものなのです。

今年2025年は大阪・開催万博が開催されます。
万博の開催年には、さまざまな文化交流が促進されます。
特に伝統芸術や先端芸術が注目されることになります。
厳しい社会環境ではありますが、日本の真の文化立国を目指したいと思います。
私も、微力ながら、木の文化の国際フェスティバルの日本初開催となる
《World Wood Day 2025 Japan》の開催を実行委員長として総指揮する一年になります。
どうぞ、ご注目、ご来場をお願いいたします。

WWD2025JAPAN 公式WEBサイト: https://worldwoodday.jp/2025/
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-春秋者出版楽譜表紙

この写真は、私の邦楽器作品集(楽譜&CD)です。

###「現代の日本音楽第19集ー松尾祐孝 作品」###

作曲者:   松尾祐孝
監修・編集: 独立行政法人 日本藝術文化振興会
       国立劇場調査養成部調査資料課
発行所:   春秋社
装丁者:   本田 進
発行日: 2007年12月20日
CD音源:  国立劇場舞台技術部/コジマ録音/
       有限会社ナビ/
       ミュージック・フロム・ジャパン
英文翻訳:  スティーヴン・ネルソン/小川紀久子

楽譜掲載楽曲:
1)呼鼓悠遊   (1999年 国立劇場委嘱作品)
2)美しの都 Ⅲ ~尺八と十七絃の為に
         (1996年 北垣内秀響委嘱作品)
3)新譜音悦多~邦楽合奏の為の練習曲
          (1998年 現代邦楽研究所委嘱作品)
4)DISTRACTION Ⅴ
     for Shakuhachi and Twenty-string Koto
(1998/2005年
メキシコ セルバンティノ国際芸術祭2005招待作品)
5)琵琶悠遊
 (2007年 ミュージック・フロム・ジャパン委嘱作品)

CD収録:
1)呼鼓悠遊
小鼓=藤舎呂英  大鼓=藤者円秀  打楽器=松倉利之 
   三味線=高田和子 十七絃=石垣清美
   1999年4月15日 国立劇場小劇場 
2)新譜音悦多
   尺八=中村明一 三味線 Ⅰ =山本普乃 
三味線 Ⅱ =上原潤一 箏 Ⅰ =石垣清美 
箏 Ⅱ =野澤佐保子 十七絃箏=黒澤陽子
   2001年8月 調布グリーンホール
3)ディストラクション Ⅴ
   尺八=三橋貴風 二十絃箏=吉村七重
   2006年3月12日 みなとみらいホール 小ホール
4)琵琶悠遊
   琵琶=田原順子  笛=西川浩平  鼓=髙橋明邦
   2007年3月4日 マーキン・コンサート・ホール
           (米国/ニューヨーク)

九頭竜神社

今年も、邦楽器作品を書こうと思っている私です。

頑張れ日本! がんばろうニッポン!


明けましておめでとうごうございます。

2026年=令和8年の幕開けです。

2020年以来、新型コロナウィルスの感染拡大という

人類史上未曾有と言えるような大混乱が続きましたが、

2023年あたりからようやくアフターコロナ(ウィズコロナ)が

安定してきたように思います。

そして昨年の日本は、《EXPO2025 大阪・関西万博》の開催で盛り上がりました。



一方で、2022年にはウクライナへのロシアの侵攻・侵略が始まり、

更に2023年にはイスラエル&ガザ地区の紛争も勃発してしまい、

世界は未だに収束への道筋を明確には見出せていない状況が続いています。

その中で、日本はかなり落ち着いた様相を維持していることは、

僅かながらでも救いがある事象ではあるでしょうか。

日本人が様々な分野で世界で大活躍しているニュースもある一方、

国際情勢や国内のニュース、更には経済の動向等、閉塞状況と言えるような

重苦しさが感じられる話題も多かった2020年〜2025年の状況から飛躍を遂げて、

将来に向けての光明を見出せるような1年になってほしいものです。

皆様にとって健やかな1年になりますよう、お祈り申し上げます。

頑張れ日本! がんばろうニッポン!

世界の輪と和をつなごう!!!

富士山写真3
富士山写真3

今年もあと僅かとなりました。
もうすぐ令和8年(2026年)の元日を迎えます。
貴方にとって、「ゆく年 くる年」の瞬間には
どのような感慨が訪れるのでしょうか。

新型コロナウィルスの猛威によって混乱を極めた2020年から2022年を経て、
次第に落ち着きを取り戻してきた2023年と2024が過ぎて、
《EXPO2025大阪・関西万博》の開催に沸いた2025年が終わり、
いよいよ2026年を迎えようとしています。

私が藝大大学院を修了してから42年、
勤務先の洗足学園の創立100周年にあたる2024年が既に過ぎ、
大阪で万博が開催された2025年もあと僅かで終わろうとしています。

万博にほぼ並行する会期で長期分散開催方式で全国各地でさまざまなイベントを展開した
<ワールド・ウッド・デー 2025 ジャパン>の開催運営の総指揮を、
私が実行委員長として執った2025年でもありました。

WWD2025公式HP https://worldwoodday.jp/2025/

皆さんにとって、そして世界の平和に向けて、
良い一年となるよう願わずにはいられません。

2019年から2020年の年越しの除夜の鐘の映像です。



更に、2016年の1月1日の池上本門寺の風景です。
私が住むエリアの名刹からの放送といことで、今でも振り返って見る動画です。

YouTube / ゆく年くる年2016 池上本門寺
      The first hit of the bell tells
     the beginning of new year 2016


クール・ジャパンを代表するアニメやボカロを駆使した
このような作品もネット上にアップされています。

YouTube / meet-me ゆく年くる年('-')


私が生まれた年から翌年にかけての
ゆく年くる年の映像もみつかりました。

YouTube / 行く年来る年 1959~1960


新年=2026年=令和8年が、皆様にとって、
そして日本にとって。世界にとって、
健やかな方向に向かう一年、平和な一年でありますように!

松尾祐孝から年末のご挨拶を申し上げます。

OTTAVA <松尾祐孝 ザ・コンテンポラリー>は、諸般の事情から今回でひとまずお休みとなります。

今年7月から半年の間の毎週金曜日の配信をお聴きいただき、誠にありがとうございました。

また皆様とお耳にかかれる時を楽しみにしております。

皆様の2026年のご多幸をお祈りしております。

 

<松尾祐孝 ザ・コンテンポラリー>プレゼンター・ブログに詳しい記述がありますので、

下のリンク↓からアクセスしてご覧ください。

 

 

大晦日の夜の第九のNHK放送を楽しみにしておられる方も多いことでしょう。
そこで、第九の核心を探訪する記事を集中掲載しましょう。
13時の概説を皮切りに1時間毎に5記事シリーズでアップしてきました。
いよいよ最後の第4楽章、「歓喜の歌」の楽章の解説です。

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ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」を正格に聴く!
・・・・・「第4楽章」解説・・・・・

いよいよ合唱(と独唱)が登場する、終楽章に進みます。
第1~3楽章を通じて、「順次進行3音」の素材を周到に配置して
聴き手の潜在意識に浸透させて、この楽章を迎えます。

そして、下記の段落構成1)の中で第1~3楽章の音楽が回想される中、
「順次進行3音」の素材による究極のメロディー=
すっと探し求めていたテーマ=「歓喜の歌」への萌芽が現れ、
そして遂に、2)の部分で「歓喜の歌」が、
コントラバスで奏されて現出するのです。
カタカナ表記でメロデフィーを簡単に書くと、
「ファ♯~ソラ」ラ「ソファ♯ミ」
「レ~ミファ♯」ファ~ミミ~
「ファ♯~ソラ」ラ「ソファ♯ミ」
「レ~ミファ♯」ミ~~レレ~
ミ~ファ♯レ「ミ~ファ♯ソ」ファ♯レ「ミ~ファ♯ソ」
「ファ♯ミレ」ミラ「ファ♯~~ファ♯ソラ」
ラ「ソファ♯ミ」「レ~ミファ♯」ミ~~レレ~
という具合で、「 」で示した「順次進行3音」素材の
組み合わせであることが一目瞭然です。
第1楽章冒頭の第1主題からずっと探しに探してきたテーマが、
遂にここに見つかるという訳ですから、
「第九」は全曲を通して聴いてこそ本当の価値を体験できるのです。

段落構成を簡単に記しましょう。
1)序奏+レチタティーヴォ
  (器楽のみ/第1~3楽章の引用有り)
2)「歓喜の歌」テーマと1~3変奏(器楽のみ)
3)序奏+レチタティーヴォ(声楽付)
4)「歓喜の歌」4~6変奏(声楽付)
5)トルコ行進曲的発展=「歓喜の歌」7~8変奏(声楽付)
6)フーガ的発展(器楽のみ)
7)「歓喜の歌」再現~9変奏(声楽付)
8)コラール(声楽付)
9)二重フーガによるクライマックス=
  「歓喜の歌」と「コラール」の融合(声楽付)
10)終結部 Ⅰ
11)終結部 Ⅱ
となります。

1)~7)を「歓喜の歌」の部分=第1部と捉えます。すると、
1)2)が提示部(器楽のみ)
3)4)が再提示部(声楽付)
5)6)が展開部
7)が再現部
というように、協奏曲風ソナタ形式を応用した構成という事が
理解できます。変奏曲形式とソナタ形式とフーガの技法の、
高度な統合が図られているのです。
そう考えると、ホグウッド&エンシェント盤(下掲写真)の
5)と6)における遅めのテンポ設定が俄然しっくり感じられるようになります。
早めのテンポでは、ベートーヴェンの展開部としてはあまりにも短すぎるのです。
遅めのテンポでじっくる聴かせて展開部の存在感を彫琢する演奏を、
私は支持します。

8)を、対立要素の提示=第2部と捉えます。
この作品は、人類愛交響曲とでも言うべきものです。
シラーによるテキストの内容も正にそういった内容です。
ベートーヴェンは、そのテーマを、音楽形式構成でも具現してみせているのです。
「歓喜の歌」の部分=第1部に対して、
異人種・異民族・異国家・異宗教・異宗教・・・etc
を象徴する対立要素をコラール=第2部として提示して、
続く第3部でそれらが共同作業(融合)を果たす、
つまり、様々な差違や壁を乗り越えて皆が手に手を携えて
協力していくという人類愛・博愛を、
音楽そのものの形式構成でも表現しているのです。
何と素晴らしいことでしょうか!

したがって、9)10)11)を第3部と捉えます。
特に、9)の二重フーガが印象的です。
「歓喜の歌」に由来するテーマ=
「ファ♯~ファ♯ソ~ラ」ラ~「ソファ♯~ミ」
「レ~レミ~ファ♯」ファ♯~「ミレ~ド♯」
「シ~シド♯~レ」レ~「ド♯シ~ラ」
ソ~「ファ♯ミ~レ」ラ~ララ~・・・と
「コラール」の主要音型を敷延したテーマ
レ~~レ~~ド♯~~ラ~~
シ~~シ~~ラ~~ファ♯~~
ソ~~ソ~~ファ♯~~レ~~
シ~~シ~~ラ~~~~・・・が重なって奏されて、
様々な差違や壁を乗り越えて皆が手に手を携えて
協力していくという人類愛・博愛を、壮大に象徴します。
ですから、この部分がこの作品のクライマックスであるべきなのです。
続く10)11)の部分でも、意識して聴いていると、
「歓喜の歌」や「コラール」の音型をいたるところから聴き出すことができます。

音楽そのものの構成に思想を盛り込んだベートーヴェンの
このアイデアは、本当に凄いと思います。
クラシック音楽という範疇を超えて、人類の偉大なる文化財産として、
今後も語り継がれ、演奏され続けていくことでしょう。

余談ですが、
この「第九」を1枚のディスクに収められるように、
CDの企画が約74分に決定したという話もあります。

この暮れに「第九」をお聴きになる方も多いと思います。
どうぞ、第1楽章から最後まで、耳を凝らして、
存分に味わってください。


上記解説で言及した、クリストファー・ホグウッド指揮/
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックのCDです。
L'OISEAU-LYRE / F25L-29148 / CD
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-第九・ホグウッド盤

中高生時代によく聴いたのは、指揮=小澤征爾/
管弦楽=ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
合唱=アンブロジアン・シンガーズによるLPでした。
PHILIPS / SFX-7996~97(6700-085)
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-第九・小澤征爾盤

これまたかつてよく聴いた伝説的名盤、
フルトヴェングラーのバイロイト盤LPです。
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団
EMI(Anhel)EAC-60027
$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-第九・フルトヴェングラー盤
大晦日の夜の第九のNHK放送を楽しみにしておられる方も多いことでしょう。
そこで、第九の核心を探訪する記事を集中掲載しましょう。
13時の概説を皮切りに1時間毎に5記事シリーズでアップしています。
では4記事目、第3楽章の解説です。

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ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」を正格に聴く!
・・・・・第3楽章」解説・・・・・

古典派に確立したソナタ・交響曲の楽章構成の基本形は、
ソナタ形式に夜冒頭楽章→
緩徐楽章→
舞曲楽章(メヌエットまたはスケルツォ)→
ロンドまたはソナタ形式による終楽章
という4楽章でした。

ところが、この「第九」は中間楽章の順序を入れ替えています。
楽章の順番くらいは別に大した問題ではないと思われるかもしれませんが、
上記の4楽章構成の成立経緯には、舞曲による組曲を核とした
ヨーロッパ芸術音楽の器楽作品の歴史・伝統の中で育まれたものですから、
実は結構な大事件なのです。

終楽章を、声楽をも導入した未曾有の規模の壮大な音楽にしようと考えると、
直前の音楽は速度の早いスケルツォよりも、心を鎮めて終楽章を迎えるように
深遠な緩徐楽章が相応しいということなのでしょう。
それにしても、なんと厳かなで美しい音楽でしょうか。

この楽章には、二つの主題が登場します。
冒頭から登場して、全曲わたって何度も奏される主要主題は・・・
レ~~~ラ~~~シ♭~~~「ファ~~ミ♭レ~」
ファ~「シ♭~~~ドレ~」ファミ♭ド~・・・
楽章前半に二度奏される副主題は・・・
ファ♯~ミ~~「ミ~ファ♯ソ」ミソファ♯~
「ファ♯~ソラ」ファ♯ラソ~「ラシド♯」ミレ~・・・
といった具合です。
ここでも、昨日・一昨日の記事で説明した第1楽章と第2楽章の主題達と同様に、
「 」で示した「順次進行3音」が重要な構成素材になっていることが判ります。

そうなのです。この「順次進行3音」の
三つの楽章にわたる深層心理への刷り込みが、
来る終楽章で遂に登場する「歓喜の歌」のあの旋律に
聴き手を無意識のうちに誘っているのです。

明日はいよいよ、その終楽章の解説に進みます。


写真は、この楽章の厳かな緊張感に寄せて、澄んだ空気が
ピーンと張りつめたような雪景色をアップしましょう。

雪原と霧氷
大晦日の夜の第九のNHK放送を楽しみにしておられる方も多いことでしょう。
そこで、第九の核心を探訪する記事を集中掲載しましょう。
13時の概説を皮切りに1時間毎に5記事シリーズでアップしています。
では3記事目、第2楽章の解説です。

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ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」を正格に聴く!
・・・・・「第2楽章」解説・・・・・

交響曲は、謂わば、オーケストラの為のソナタです。
古典派に確立した多楽章ソナタは、
ソナタ形式による冒頭楽章・緩徐楽章・メヌエット・終楽章
という4楽章構成がスタンダードとなりました。
やがて、メヌエットはスケルツォにとって替わられて、
ベートーヴェンの交響曲では、ソナタ形式・緩徐楽章・スケルツォ・終楽章
という構成がスタンダードになりました。

ところが、この「第九」では、第2楽章にスケルツォが置かれています。
理由は、勿論お解りの方も多いでしょうが、
明日の第3楽章の記事で言及するしましょう。

さて、このスケルツォ、当時の舞曲楽章
(メヌエットやスケルツォを分類して称します)
としては異例の規模を誇っています。
反復記号を遵守すると、10分を遥かに超える演奏時間になります。
何と、スケルツォ主部がソナタ形式で構成されていて、
トリオ(中間部)を挟んで繰り返して、
またソナタ形式による主部を演奏してから、
もう一度トリオに突入すると見せかけおいて、
スパッと終わるフェイクが見事な短い終結部で楽章を閉じます。
つまり、ソナタ形式を二度聴くことになるのです。

この構成は、後世の作曲家、シューベルトによって、
交響曲第8番「ザ・グレイト」の第3楽章スケルツォで応用されています。

さて、スケルツォ主部の第1主題は・・・
ラ・ララ・「レミファ」「ミファソ」「ファミレ」
「シ♭ラソ」「ファミレ」「ド♯レミ」レ・・・
という具合です。

スケルツォ主部第2主題は・・・
「ド~レミ」「ファ・ミレ」・ドレ・ド
「ミ~ファソ」「ラ・ソファ」・ミファ・ミ・・・
という具合です。

トリオの主題は・・・
「レ~~ミファ♯~~」ソラ「ソ・ソ・ファ♯・ファ♯・ミ」
・・・という具合です。

どれも、昨日の記事の第1楽章の二つの主題と同様に、
「順次進行による3音」を組み合わせて創られていることが判ります。


写真は、伝説的名盤として有名な
フルトヴェングラーのバイロイト盤LPのジャケットです。
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団
EMI(Anhel)EAC-60027

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-第九・フルトヴェングラー盤
大晦日の夜の第九のNHK放送を楽しみにしておられる方も多いことでしょう。
そこで、第九の核心を探訪する記事を集中掲載しましょう。
13時の概説を皮切りに1時間毎に5記事シリーズでアップしています。
では2記事目、第1楽章の解説です。

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ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」を正格に聴く!
・・・・・「第1楽章」解説・・・・・

ベートーヴェンが確立した四部構成のソナタ形式、
即ち、提示部・展開部・再現部・終結部から構成されています。
しかも、4角部分が概ね均衡した小節数になっていて、
均整の取れた構造美を持っています。
また、バロック時代の舞曲の構成の名残を留める
提示部終始の反復記号が遂に姿を消しているところにも、
時代の推移を認めることができます。

この冒頭の開始の手法は既に語り尽くされていますが、実に独特なものです。
空虚5度の響きから動機が断片的に見え隠れしながら次第にヴォルテージを挙げて、
遂には総奏による第一主題に至るというドラマは、何度聴いても劇的です。

後世の作曲家、例えばブルックナーは、明らかにこの手法の虜になって、
同じようなスタイルの冒頭楽章の開始を、ほとんど全ての交響曲で採用しています。
また、フランクの「交響曲ニ短調」の第一楽章の第1主題の提示方法も、こ
の楽章のアイデアを拡大したものに他なりません。

さて、この第一楽章の第1主題と第2主題(分析によってはその導入句)の音型を、
カタカナ表記で書いてみましょう。

まず第1主題は・・・
レラ~ ファレ~ ラファ~ ラファレ~
「ファミレ」ラ・ソ・ミ・ラ・「レ・ミ・ファ・・・」
「ソ・ラ・シ♭~~~」ラソファミレド♯・・・
という具合ですが、「 」で囲んだ所が、
順次進行(音階の隣の音に滑らかに進行する2度進行)
による3つの音というパターンになっています。

そして第2主題は・・・
「ミ♭~~~ファソ」「ソ~ファミ♭」「ミ♭~レド」
ド~シ♭・・・という具合ですが、
やはり、「 」で囲んだ所が、
順次進行による3音のパターンになっています。

「順次進行3音」のキーワードを覚えておいてください。
明日以降の記事の後続楽章の解説に続きます。


写真は・・・
中学生~高校生時代によく聴いたLPのジャケットです。
PHILIPS / SFX-7996~97(6700-085)日本発売/1974年
指揮=小澤征爾
管弦楽=ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
合唱=アンブロジアン・シンガーズ

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-第九・小澤征爾盤

大晦日の夜の第九のNHK放送を楽しみにしておられる方も多いことでしょう。

そこで、第九の核心を探訪する記事を集中掲載しましょう。

この記事を皮切りに1時間毎に5記事アップしていきます。

 

ベートーヴェン《交響曲第9番ニ短調》讚!〜vol.1:概要説明〜

 

2020年の大作曲家の生誕250年を振り返りながら、

ベートーヴェンの交響曲全9曲の探訪を続けてきましたが、

今日からいよいよ最後の巨峰「第九」の話題となります。

 

この写真は、伝説的名盤として有名な
フルトヴェングラーのバイロイト盤LPのジャケットです。
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団
EMI(Anhel)EAC-60027

 

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの
交響曲第9番ニ短調作品125は、
泣く子も黙る!?クラシック音楽の名曲中の名曲です。
日本では親しみを込めて
「第九=だいく」とも呼ばれています。

第四楽章には独唱および合唱が導入されていて、
歌詞にはシラーの詩『歓喜に寄す』が用いられています。
その主要主題の旋律は『歓喜の歌』としても、
広く一般に親しまれていますね。

第四楽章の「歓喜」の主題は、欧州評議会において
公式に「欧州の歌」として採択されているほか、
欧州連合においても連合における統一性を
象徴するものとして採択されています。
ベルリン国立図書館所蔵の自筆譜資料は
2001年にユネスコ『世界の記憶』(『世界記録遺産』)
のリストに登録されました。

このように誰しもが認める記念碑的大作ですが、
本場のヨーロッパでは、その規模の大きさ等の諸条件から、
必ずしも頻繁に演奏されてきた訳ではないようです。
海外の中堅指揮者が、日本に来日した際に、
初めてこの「第九」を指揮したという
ケースもあるようです。

それにひきかえ、日本では12月(師走)になると、
そこかしこのプロ・オーケストラから
アマチュア・オーケストラまで、
競い合うように、この「第九」を演奏します。
俳句の季語になってもおかしくない程に、もはや
日本の年末の風物詩といっても過言ではないでしょう。

戦後まもない1940年代後半はオーケストラの収入が少なく、
楽団員が年末年始の生活に困る状況を改善するため、
合唱団も含めて演奏に参加するメンバーが多く、
しかも当時としては集客が見込める演目であった『第九』を
日本交響楽団(現在のNHK交響楽団)が
年末に演奏するようになったことが、
今日の慣習定着の発端であったようです。

その「第九」ですが、何と言っても
一般の方々にとっての魅力の焦点は、
声楽が導入される終楽章にあると言えるでしょう。
実際に、アマチュア合唱団主催の演奏会等では、
第四楽章のみを演奏することも散見されます。
ですが、真の音楽愛好家の皆さんは、
できるだけ、第一楽章からじっくりと
全曲を味わって聴いていただきたいと思います。

作曲開始当初は器楽による通常の
終楽章を計画していたものの、
声楽付終楽章を計画していた後続の交響曲第10番
(ドイツ交響曲)の構想と諸般の事情から合体させて、
最終的に今日の姿となって誕生した「第九」です。

様々な研究や解釈も為されてきていますが、
結果的には「流石はベートーヴェン!」、
第一楽章から終楽章まで、周到な動機関連が施されていて、
聴き始めからあの「歓喜の歌」に向かって、
聴き手の潜在意識にあのメロディーが浸透していくように、
しっかりと設計されているのです。

その設計意図を理解しないままに
観賞したり演奏したりしても、
この偉大な作品を本当に理解したことには
ならないと、私は確信しているのです。 

明日の記事から、楽章を順番に追いながら、
その見事な設計・構成を覗いていきましょう!
私なりの解説をアップしていきます。


今までに様々なLPやCDを聴きましたし,
また多くの実演に接してきました。
様々な解釈を受け入れる懐の深さを持った作品ですが、
私が最も頼りにしている愛聴盤は、
クリストファー・ホグウッド指揮/
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック
のCDです。

このCDの演奏のテンポ設定は、
リリース当初には随分と物議を醸しましたが、
私は大いに支持したいと考えています。
作曲家の動機労作・楽曲の有機構造といった
観点に照らして考察すると、
極めて妥当な判断と考えられるのです。
演奏そのものの魅力としても素晴らしいものがあります。

L'OISEAU-LYRE / F25L-29148 / CD