2025年5月に北京現代音楽祭で初演された私の邦楽器作品の近作の紹介です。
昨年9月に私の勤務先大学=洗足学園音楽大学で、中国の現代音楽作曲家をお招きして、
日中交流演奏会が開催されました。それに対する答礼として、
今年は洗足学園音楽大学側が、邦楽器を中心とする演目をもって
中国を訪問することになりました。
(その演奏旅行はつい先日、5月16日〜20日に実施済です。
レポートは別の記事シリーズでご紹介しています。)
この一連の国際交流の中国側のキーパーソンは作曲家の葉小鋼(YE Shaogang)氏で、
私と氏は1988年に香港で開催された《ISCM-ACL World Music Days 1988 Hong Kong》
で、ご一緒して以来の旧知の間柄というで、私がこの中国訪問のプログラム考案や
新作の作曲を担当することになったのでした。
日本の伝統楽器(邦楽器)の多くは、
古の時代に中国大陸から伝わった楽器を起源としていることもあり、
同属楽器が多く存在していますが、共通点はあるものの、
伝来以後の両国での発展経緯に大きな差異があり、
相当に異なる楽器や奏法に発展してきていると捉えることができます。
また、日本独特の時間感覚は、中国音楽のどちらかというと
メカニカルなケースが多い時間感覚とは異なる面が多いように思われます。
今回のこの作品の作曲に際しては、このような視点も含めながら、筆を進めた次第です。
♪♪♪ 松尾祐孝《たゆたいのとき》
〜尺八、三味線、箏&十七絃、チェロの為に〜(2025)〜 ♪♪♪
2025年国際交流企画/中国訪問演奏旅行初演作品
初演奏者:尺八=神 令 三味線=染谷美里
箏&十七絃=吉原佐知子 チェロ=藤村俊介
2025年5月17日(土) <北京現代音楽祭>@ 北京中央音楽院
5月18日(日) 深圳市内ホール
♫ ♫ ♫「たゆたいのとき II」(2025) 作曲:松尾 祐孝(1959〜)
初演演奏会での解説文 ♫ ♫ ♫
この「Wandering Time II」は、私がこの演奏旅行のために書き下ろした最新作であり、
今夜、皆様に初演を披露できることをとても光栄に存じます。
音楽の三要素は必ずしも『旋律・リズム・ハーモニー』ではなく、
根源的には『音・時間・音を音楽と認識できる人間の能力』という
私なりの持論が大きく反映された音楽の進行を、
じっくりと感じながら聴き進めていただけるだろうか。
日本の伝統音楽が持つ独特の時間の認識、例えば全く音が鳴らない時間である“間”は、
“無”や“弛緩”ではなく、むしろ『真空のエネルギーに満ちた緊張した時空』で
あることなどを、この曲の進行から感じていただけると幸いです。
(記:松尾祐孝)











































