松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~ -12ページ目

松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~

創造芸術は人間の根源的な表現欲求と知的好奇心の発露の最も崇高な形。音楽家・作曲家を目指す貴方、自分の信じる道(未知)を進んでいきましょう。芸術・音楽・文化と共に人生と社会を豊かにしていきましょう。~頑張れ日本!〜がんばろうニッポン!

ベートーヴェン《交響曲第6番ヘ長調「田園」》讚!

昨日の交響曲第5番に続いて「田園」にも触れておきましょう。

###ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン###
        (1770-1827)
    交響曲第6番 へ長調 作品68 「田園」

初演:1808年12月22日
   ウィーン/アン・デア・ウィーン劇場

交響曲第5番と共にこの演奏会で初演されたということ
ですが、この演奏会は失敗であったと伝えられています。
しかしその後に評価は直ちに高まっていったということです。

時間的な規模という観点からは、以前に発表されていた
交響曲第3番「英雄」に一歩を譲るところがありますし、
精神的な質量感の圧倒的な迫力という点では、

交響曲第5番には及ばないかもしれません。
しかし、その音楽が湛える柔らかな楽想を支える構成や随所に見られるアイデアは、
後世に多大な影響を与えるに充分な創意工夫の極みと言っても

決して過言ではないでしょう。

各楽章には作曲者自身による注記が施されています。

第1楽章~田舎に着いたときのほがらかな気持ちの目覚め~
は、ヨーロッパの田園風景の起伏を思わせる柔らかな第一主題から始ります。
(・ラシレドーシラソードーファーソーラーシラソー~)
第5番の第1楽章と同様に、提示部・展開部・再現部・終結部の規模が
ほぼ完全に拮抗しているベートーヴェン流ソナタ形式の

一つの凝縮された完成型がここにも在ります。
特筆すべきは、展開部で、上述の動機の一部(ドーシラソードー)の音型が

執拗に繰り返されて、まるで現代のミニマルミュージックの元祖のような
構成による発展が画策されているところでしょう。

第2楽章~小川のほとりの情景~は、ソナタ形式を活用した緩徐楽章です。
12拍子という複合拍子が、小川のせせらぎが聴きながら
林の中の木漏れ陽の中に佇んでいるような田園風景を想起させてくれます。
楽章終盤の終結部で、小鳥の声を描写したような独特の部分が登場します。
空間を感じさせる音楽です。

第3楽章から、通常の交響曲には存在しない第4楽章によるブリッジを経て、
終楽章(第5楽章)まで、一気に続けて演奏されます。
このような、終楽章に向けたドラマ展開の盛り上げは、
同じ演奏会で初演された第5番と双璧です。

第3楽章~田舎の人々の陽気な集い~は、
楽譜に表記はないものの事実上のスケルツォという点で、第5番に共通します。
今日の研究では、トリオが2回出現するという見解が定着していますが、

私もそれを支持したいと思います。
井戸端会議に花が咲いていた農村の人々の集いで、

やがて興が乗ってきて踊りが始る・・・
というような感興が連想される音楽です。

その陽気な集いが、一転俄にかき曇り、驟雨に襲われます。
第4楽章~雷雨、嵐~は、全く独創的な音楽です。
ティンパニがまるで雷鳴のような効果を上げます。
ピッコロも大活躍します。

しかしその驟雨も通りすぎて、
また陽射しが回復して暖かな情景に回帰するかのように、
第5楽章~牧人の歌-嵐の後の喜ばしく感謝に満ちた気分~
に穏やかにバトンタッチします。
この楽章の主部は堂々たるソナタ形式ですが、
展開部の前半と終結部にも第一主題がはっきり現れますから、
ロンド形式と融合させたべートーヴェン流の
ロンド・ソナタ形式と捉えるべきでしょう。
更に注目すべき点は、その第一主題が登場する度に変奏を施されていることです。
変奏曲の様式も組み合わせていると言えるでしょう。
最後は穏やかに全曲を閉じます。


この交響曲第6番「田園」は、表面上は融和な音楽ですが、

実は創意工夫の極みであり、ロマン派以降の作曲家に多大な影響を与えた、

極めて重要な意義の深い作品であるのです。

YouTube / Beethoven - Symphony No. 6 (Proms 2012)
2012年7月23日 ロイヤル・アルバート・ホール
ダニエル・バレンボイム指揮

West--Eastern Divan Orchestra 

 


私の仕事場での愛聴盤は、ホグウッド盤です。
指揮=クリストファー・ホグウッド
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック
ポリドール/L'OISEAU-LYRE/F32L-20282(421 416-2)

『サンダーバード』讃!・・・今回は~死の谷~です。
日本では第8話として、英国本国では第9話として放送されました。



ストーリーは、ミンミン(トレーシー一家の執事=キラノの
娘で、国際救助隊の一員として立派に活躍)の旧友=エディが、
秘密基地であるトレーシー家を訪ねてくるところから始ります。

エディは南アジアの山岳地帯でハイウエイを敷設する会社に
従事していて、働き詰めの中で休暇を命じられてやってきたという訳です。

再会を喜ぶミンミンとエディの二人に、アランが焼餅をやいたりもしますが、
工事が遅れ気味と知ったエディは、長居をせずに現場に戻っていきました。

そして、爆破トラクターで作業中に崖地ではみ出してしまい、
絶体絶命のピンチに陥ってしまう・・・という展開です。

まるで、通常の実写ドラマのような人間模様と、
迫力満点の模型やジオラマを駆使した特撮の数々・・・
手作りの素晴らしさをこの回も存分に堪能できます。


モダンなデザインが子供心に憧れの的だった、南海の別荘のようなトレイシー邸。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-トレーシー邸

装備を収納して、サンダーバード2号は発信します。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-2号・装備を収納して発信!

昨年のISCM国際現代音楽協会の世界音楽祭ポルトガル大会に出席した訪問記を再掲載しています。

暫くの連載となっています。どうぞご覧ください。

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《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》訪問記の本編も、

回を重ねて12回目となりました。本編はこの記事で最後になります。

 

1)1988年:《ISCM-ACL World Music Days 1988 Hong Kong》に参加。

2)1992年:《ISCM World Music Days 1992 Warsaw》に出席。

3)1993年:《ISCM World Music Days 1993 Mexico》に出席。

4)2000年:《ISCM World Music Days 1993 Luxemburg》に出席。

5)2001年:《ISCM World Music Days 2001 Yokohama》主催(実行委員長)

6)2002年:《ISCM World Music Days 2002 Hong kong》に出席。

7)2025年:《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》に出席。

という私とISCMの直接的な関係の歴史となりました。

 

そして、私とポルトガルとの関わりは下記のようになりました。

1)1993年:リスボン訪問(初回)

       グルベンキアン管弦楽団定期演奏会で拙作『PHONOSPHERE I 』欧州初演。

2)2000年:《ISCM World Music Days 1993 Luxemburg》でISCMポルトガル支部、

       Miso Music の要人と懇意になる。

3)2001年:《ISCM World Music Days 2001 Yokohama》にポルトガル支部要人来日。

       Miso Music と更に交流を深める。

4)2007年:リスボン訪問(2回目)《Musica Viva 2007》招待参加。拙作上演。

5)2010年:リスボン訪問(3回目)《Musica Viva 2010》招待参加。拙作上演。

                        Miso Music 創立25周年記念共同制作作品の作曲に参加。

6)2010年:MIso Music レジデント・アンサンブルとして活動を開始していた

       Sond'Ar-te Electric Ensemble 来日公演《日本=ポルトガル2010》を実現。

      (Miso Music 創立25周年記念共同制作作品の日本初演を含む)

7)2024年:《ISCM World Music Days 2025 Portugal》国際審査員を務める。

8)2025年:リスボン訪問(4回目)

       《ISCM World Music Days 2025 Portugal》に日本支部デリゲートとして出席。

 

 

《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》のテーマは、

『THIRST FOR CHANGE』(変化への渇望)でした。

27公演全ての演奏会や上演作品がこのテーマに沿ったものというような

厳密な設定ではありませんでしたが、ISCM(国際現代音楽協会)や、

現代音楽そのものが、見方によっては停滞期になってしまっているとも考えられる

昨今の状況の中で、『THIRST FOR CHANGE』(変化への渇望)というテーマは

タイムリーなものであったのかもしれません。

 

 

長年にわたり《MUSICA VIVA PORTUGAL》という国際現代音楽祭を

毎年5月頃に主催してきたISCMポルトガル支部でもある MISO MUSIC だけあって、

このISCM音楽祭の主催者を役割を見事に完遂されていました。

MISO MUSIC の中心人物である Azguime夫妻やスタッフの皆さんの労に

拍手を贈りたいと思います。

 

↓ Paula Azguime 会長と筆者   ↓ Miguel Azguime 氏と筆者

 

 

MISO MUSIC 自前の実験的イベントスペース O'culto da Ajuda では、

電子音楽系公演を中心としたさまざまな演奏会とISCM総会が行われました。

 

 

その近くに在る壮大な文化施設、ベレン文化センターでも

数々の公演が行われました。

 

 

 

リスボン旧市街に在るサン・ルイス市立劇場での公演も二日間にわたり行われました。

 

 

趣向を凝らした各種演奏会のカテゴリー設定やプログラムに、

Miso Music の創意工夫が見てとれました。

しかしそれでも、6月5日までの各公演は、厳しい見方をすれば、

現代音楽関係者やごく少数派の現代音楽愛好家のための作品が並ぶ、

外部から見れば"ISCMの内輪の発表会"と思われても仕方がない面があったと感じました。

(このことは、ISCMのみならず、現代音楽界全体に及ぶ問題であると思いますが。。。)

 

 

しかし、音楽祭最後の二日間、6月6日と6月7日の夕方公演と夜公演では、

会場に多くの一般聴衆も詰めかけて満席の盛況となり、

広く社会に開かれた現代音楽演奏会が具現していました。

これからの現代音楽祭、ISCM音楽祭のあり方を考える上での示唆に富んだ

その二日間であったと、私は考えています。

 

 

ファイナル・コンサート(弦楽四重奏演奏会)は、

リスボンきっての観光名所であり名建築でもあるジェロニモス修道院の

中庭に面した大回廊の一角で行われました。

ポルトガルでの開催を象徴的に印象付けた閉幕となりました。

 

 

↓ 音楽祭全27公演のプログラムの閲覧や、大会プログラム冊子のダウンロードは、

 下の公式サイトにアクセスしてご確認ください。

 

さて、明日からは音楽祭のレポートからは離れて、

久しぶりにリスボンを訪ねた旅行記としての記事を続けていきます。

引き続きご笑覧ください。

 

 

一昨日・昨日からの話題を続けます。



1998年冬季オリンピック長野大会に際して制作された
CD:「小沢征爾 conducts 世界国歌」PHILIPS PHCP-11033/4
の録音当時を振り返ってみましょう。

合唱や吹奏楽のデモ・データを基に、
各国の国歌をオーケストレーションする。
しかも、選手村入村式表彰式国旗掲揚に使用するため、
40~100秒の範囲にまとめる、等の条件下の仕事でしたから、
心待ちにしていた長野オリンピック関連のプロジェクトとは言え、
楽譜を書いている頃の実感としては、型にはまった仕事に思えて、
強く心惹かれるような作業ではありませんでした。

ちなみに、私が担当したのは、
イスラエル、アルメニア、リトアニア、スロベニア、
ノルウェー、ヴァージン諸島(アメリカ領)、の6曲でした。
それでも、実際に編曲を進めていくうちに気合いが入ってきて、
最終的にはかなり入れ込んで取り組みました。

そしてそして、収録に立ち会ってみると・・・
各国歌の何と面白いことか・・・

演奏する新日本フィルハーモニー交響楽団の
新しいフランチャイズになる墨田トリフォニーホールで、
正式な竣工前の会場使用という特別な環境での
収録の実施となっていました。
なにしろ杮落し前の特別使用であったために、
床等に傷ひとつ厳禁の体制が敷かれ、
楽員等は足(靴)にシャワーキャップのような保護カバー
(靴を保護するのではなく床を保護するのです!)を被せて、
何やらものものしい感じで、収録はスタートしたのでした。

するとすると・・・
各曲それぞれの、お国ぶり、国歌制作背景等が、
小沢征爾氏の入魂のタクトと新日フィルの熱演によって、
実に個性豊かに浮き彫りになって、
とても興味深い収録になっていったのです。
自分の担当した国の収録以外も、都合のつく限り聴き通しました。
国歌がこんなに楽しいものとは、全く予想外の経験でした。

さて、私からのお勧めをご紹介しておきましょう。
勿論、私の担当した上記6曲のオーケストレーションは、
手前味噌ですが、是非お聴きください。

そして、何といっても強烈にアジアをアピールしていて
収録時から楽員にも大受けだったアゼルバイジャン国歌、
これは殆ど演歌魂と言えるようなエモーションで、
紅白歌合戦のトリで北島三郎さんか五木ひろしさんに
熱唱してほしいような曲ですよ!

そしてもう一曲のお勧めが、アメリカ国歌です。
あまりに頻繁に耳にする国歌ですが、
これほどド派手なオーケストレーションは前代未聞です。
フィギュアスケート女子シングルで優勝した
アメリカの天才少女=リピンスキーが、
金メダルを授与された表彰台の上でこの国歌を聴きながら、
あまりに豪華なオーケストレーションの響きに驚いて
「ワ~オ!」と絶叫していたシーン
(そういうふうに私にはテレビ場面で見えました)
が思い出されます。

CDの紹介は昨日の記事に掲載してあります。
まだ入手可能と思いますので、是非聴いてみてください。

下の写真は、長野の聖火台です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-長野の聖火台

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第232巻の紹介です。

 

 

毎号のお楽しみになっているNゲージサイズ車両模型ですが、本号では、

JR貨物が実施した異色の試験塗装機、EF81型交直流電気機関車の

ブルー系の珍しい塗色を纏った明るい姿をお楽しみいただけます。

 

 

それではいつものようにパッケージを解いて、

奥底から第232巻の冊子を取り出しましょう。

 

 

巻頭記事はこのところの通例で、付録模型の車両形式の解説です。

国鉄の分割民営化でJR各社が発足した当時、JR貨物では新会社をアピールすべく、

国鉄時代とは大きく異なる塗色が検討されました。

その一つのEF81-408号機に施されたデザインは、明るいイメージで人気がありました。

 

 

続くページは、長野電鉄2000系の特集です。

地方私鉄では珍しい自社発注の特急用車両で、「奥志賀」などの特急に運用されました。

丸みを帯びた外観で人気もあり、約半世紀にわたって活躍しました。

3両編成4本が製造され、最後まで使用されたD編成は、2012年の引退の後、

小布施駅構内の「ながでん電車のひろば」に展示されています。

 

 

更にページをめくると、センターキャブ凸型車体のディーゼル機関車が目に飛び込みます。

水島臨海鉄道DD51形ディーゼル機関車の特集です。

山陽本線倉敷駅に接続する倉敷市駅を基点として水島臨海工業地帯を結ぶ第三セクター鉄道が

水島臨海鉄道で、コンテナによる貨物輸送や旅客輸送を行なっています。

列車牽引や入替用としてディーゼル機関車も保有していて、

現在は3形式4両が使用されています。その中の2両がDD50形です。

小ぶりで端正は姿が可愛らしい感じがする凸型機関車です。

 

 

「路線と旅路」シリーズは、陸羽東線の特集です。

奥羽山脈を横切る温泉と絶景の路線として知られる路線です。

999年には「奥の細道湯けむりライン」という愛称がつけられた観光路線ですが、

昭和期には東北の主要都市を結ぶ優等列車も走る重要な幹線でした。

紅葉の季節に是非訪ねてみたい絶景にも恵まれた路線です。

 

 

巻末記事はいつものように「観光列車」シリーズです。

本号では、名鉄を代表する特急車両として活躍する、1200系「パノラマSuper」の特集です。

名古屋鉄道に昭和30年代から登場した「パノラマカー」と呼ばれる前面展望席付きの

特急向け看板電車の伝統を現在につなぐ存在です。

 

 

「国産鉄道コレクション」シリーズは、まだまだ続きます。

 

 

2020年=べートーヴェン生誕250年に寄せての"讚"シリーズ再掲載、

第5弾は泣く子も黙る名曲中の名曲、通称「運命」=第5です。

今更私がその魅力を語るまでもない天下無双の名曲ですが、
私なりにご紹介しましょう。

 

写真:第4番&第5番 ホグウッド指揮&アカデミー・オブ・エンシェント盤(CD)

###ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン###
        (1770-1827)
     交響曲第5番 ハ短調 作品67

初演:1808年12月22日
   ウィーン/アン・デア・ウィーン劇場

交響曲第6番「田園」と共にこの演奏会で
初演されたということですが、
演奏会自体は失敗であったと伝えられています。
しかしその後に評価は直ちに高まっていったそうです。

時間的な規模という観点からは、以前に発表されていた
交響曲第3番「英雄」に一歩を譲るところがありますが、

それでも繰り返し記号を全部実施して演奏すると、

第1楽章=約7分、第2楽章=約11分、第3楽章=約8分、第4楽章=約12分、

合計=約38分という、なかなかの規模を持っています。
音楽そのものの持つ精神的な質量感の重さや、
動機労作に基づく全曲を統一する有機性という点においては、
それまでの西洋芸術音楽史上で最も強烈な作品が誕生した
と言えるのではないでしょうか。

第1楽章は、有名な運命動機
(・ソソソミーーー・ファファファレーーー~)
が音群細胞の増殖のように一気呵成に全楽章を構成していきます。
提示部・展開部・再現部・終結部の規模がほぼ完全に拮抗している

ベートーヴェン流ソナタ形式の一つの凝縮された完成型がここに在ります。

第二主題を導き出すホルンの彷徨(・シシシミーーーファ―――シーーー)は、

運命動機の基本音程=3度下行を二倍の5度下行にしたもので、

(音楽理論の音程の数え方は植木算方式です)

それを更に変奏して第二主題としている・・・という案配で、

楽章全体が緻密に設計構成されている、凝縮の極みといった楽章です。


第2楽章は二つの主題を基にした自由な変奏と展開ですが、
その主題達も、よく観察すると運命動機の応用である事が判ります。
所謂緩徐楽章ですが、そこに壮大なクライマックスも置かれるところは、
「英雄」で打ち出されて以来の新機軸で、

ロマン派の交響曲にも受け継がれていきます。

第3楽章は、楽譜に表記はありませんが、事実上のスケルツォです。
今日の研究では、トリオが2回出現するという見解が定着していますが、

私もそれを支持したいと思います。
スケルツォ主題が運命動機のダイレクトな活用であることは、

出だしを聴くだけで明白です。
トリオはフーガを応用しながら、舞曲の時代の伝統をまだ踏襲してもいて、
前半と後半の繰り返し記号が残っています。
3度目のスケルツォ主部は、オーケストレーションを
変えてボリュームを下げて聴き手の集中を促します。
やがて属音保続上に展開する神秘的な移行部を経て、
そのまま続いて演奏したまま終楽章冒頭の勝利の讃歌の
ような第一主題に突入するアイデアは、正に画期的です。

その終楽章(第4楽章)は、淀みなく次々と主題が繰り出す
豪壮かつ爽快な提示部から始ります。
勝利の讃歌を思わせる第一主題は、第1楽章冒頭から提示される運命動機の
三度音程下行音型の反行、つまり三度音程上行音型の活用で、

(ドーミーソーーーファミレドレド〜)という冒頭の音形いよって、
「闘争から歓喜へ!」というベートーヴェンの精神的なモットーを、
動機労作の面からも具現しています。見事というほかありません。
この楽章の主部は、堂々たるソナタ形式です。

第二主題(移動ド読み:レミファソ・・ミファソラ・・ラシドソーー〜)も、

更に続く第三主題と捉えることもできる朗々たる旋律による推移楽想

(移動ド読み:ドーーーーーシーラーソ・ソ・ソ・〜)も、

第一楽章冒頭の運命動機のリズム感を圧縮したり拡大したりしながら敷延して、

周到な関連性を持つものであることがわかります。
展開部も音楽そのものが持つ精神的な質量感を保持したままヴォルテージを上げて、

クライマックスに達した後、第3楽章から第4楽章への移行部がもう一度現れ、
再現部への突入に向けて、勝利の讃歌に至る感動を再体験することになります。
そして、再現部から雪崩れ込む終結部は、

一旦仮の終止を迎えたかという様相を呈しますが、
そこからは今度は全曲のコーダに相当すると考えられる更なる終結部に突入して、
これでもかという波動を畳み込んだ後に、

高揚と興奮の極致をもって全曲を閉じます。

 

全曲(全楽章)を通じて、冒頭の運命動機から紡ぎ出された音素材が

徹底的に敷延されて、一つの有機的な音宇宙を創出している、

音楽作品の在り方を変えた独奏の極みとさえ言える交響曲が誕生したのです。

また、交響曲史上初めて、ピッコロ、コントラファゴット、
トロンボーンいった楽器を導入したことも、管弦楽法の
発展に大きく寄与した作品として位置付けられます。

古典派のそれまでの器楽作品が、

貴族的な社会や中産階級の社会の予定調和の中での
ドラマ展開であったとするならば、
この作品は、人間の魂を根底から揺さぶるような音楽、
心理の深層をえぐり出すような迫力を伴った音楽が、
遂に誕生したと言えるのではないでしょうか。

音楽の精神的質量の飛躍的な拡大、楽曲構成に於ける独創的な創意工夫、
ベートーヴェンの偉大さを思い知らされる名曲です。

カラヤン指揮&ベルリン・フィルの演奏を
リンクしておきましょう。

YouTube / ◆ベートーヴェン 交響曲 第5番 【運命】 
           カラヤン指揮 ベルリンフィル◆

 

 

LPレコードの時代には、「運命」と「未完成」のカップリングが

随分多くリリースされていました。私が所蔵するLPにも3枚ありました。

 

写真:運命&未完成 フルトヴェングラー指揮&ベルリン・フィル盤(LP)

 

写真:運命&未完成 トスカニーニ指揮&NBC交響楽団 盤(LP)

 

写真:運命&未完成 カラヤン指揮&ベルリン・フィル盤(LP)

 

今回は~原子力機ファイヤーフラッシュ号の危機~を紹介します。
日本では第7話として、英国本国では第12話として放送されました。



『サンダーバード』シリーズの第1回のゲスト・メカとして
颯爽と登場した原子力機ファイヤーフラッシュ号が、
試験飛行の段階から時が経過して、今回はいよいよ
定期航空路に就航するという設定で再び登場しますが、
またしても救助される対象になってしまします。

原因不明なのですが、何故か消息不明になってしますのです。
原因究明のためのテスト飛行が行なわれますが、
またもやコースを外れて海中に・・・
サンダーバード4号の作戦で乗員を救出します。

そして、今度は国際救助隊との協力の下に再度のテスト飛行が
行われるのですが、またしても危機的な状況に陥って・・・

メカの素晴らしさや手に汗にぎる緊迫感をもたらす
特撮シーンの数々、人形劇であることを忘れてしまいます。

写真は、ファイヤーフラッシュ号の雄姿です。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-原子力旅客機ファイヤーフラッシュ

そして、毎回登場するサンダーバード1号の上空からのカット、
影とのコントラストがまるで本物のようです。

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-1号と影の見事なコントラスト

昨年のISCM国際現代音楽協会の世界音楽祭ポルトガル大会に出席した訪問記を再掲載しています。

暫くの連載となっています。どうぞご覧ください。

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《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》訪問記の本編も、

回を重ねて連載11回目となりました。

既に音楽祭の公演のレポートは終わりましたので、

今日はISCM(国際現代音楽協会)の総会についてお話ししましょう。

 

(ほぼ)毎年、世界のどこかで開催されているISCMの音楽祭、

World Music Days (近年は World New Music Days)と称する現代音楽祭の会期中に、

加盟支部の会議代表(Delegate)が出席する総会(General Assembly)も行われます。

そこでは、ISCM本部の前年度事業報告&決算の承認、

当該年度の事業計画と予算案の承認、近未来のISCM音楽祭の開催地の選考などが、

議題となります。

 

《ISCM World New Music Days 2025 Portugal》の総会の会場は、

この記事シリーズの中で既に紹介した ISCMポルトガル支部=Miso Music 自前の

実験的イベントスペース O'culto da Ajuda でした。

6月3日、4日、6日、7日の午前中、計4回のsessionが予定され、

全て予定通り行われました。

 

↓  O'culto da Ajuda エントランス風景

 

↓ 総会の模様が大写しにされた O'culto da Ajuda ステージ奥のスクリーン

 

概ね和やかな雰囲気の中で各議題の提案や審議が行われました。

その中で、今年=2025年は、会長1名、副会長1名、本部役員3名を

改選する年だったため、それらの選挙も行われました。

その結果を含めて、2025年度の本部役員は下記の通りとなりました。

 

【会⻑】Frank J. Oteri (USA) 
【副会⻑】Rebecca Diependaele (Flanders) 

【本部役員】Magnus Bunnskog (Sweden) 
      Deborah Keyser (Wales) 

         Chia-Lim Pan (Taipei) 

【事務局⻑】Olga Smetanova (Slovakia) 

【会計】David Pay (Canada) 

【法律顧問】Wolfgang Renzl (Austria)

 

↓ 2025年度 ISCM 本部役員の記念撮影 

 

また、来年=2026年のISCM音楽祭は、

ルーマニア/ブカレストで開催されることが既に決定していて、

その事前説明も行われました。

その他、2027年大会や2028年大会の候補地のプレゼンテーションも行われましたが、

正式決定ではないので、ここでは公表いたしません。

 

21世紀に入ってから、国際情勢や経済的社会環境の変化に伴い、

先進国と言えども現代音楽の大きな音楽祭を主催することが難しくなってきています。

そのため、かつては向こう数年間の開催地の候補が多くノミネートされ、

総会での選考決議を経て近未来3年程度の開催地が常にアナウンスされてい他のですが、

現在では立候補が極めて少なく、2〜3年後の開催地もなかなかアナウンスできない

という状況となっていることが、何とも残念で歯痒いところです。

 

現代音楽界の中でのISCMの役割や存在意義が、そろそろ曲がり角を迎えているのか、

これからのISCMはどのような方向に進めば良いにのか...etc.

いろいろと考えなければならない転機を迎えているように思われます。

そして、そのような国際環境の中で、ISCM日本支部である(私の長年理事を務めている)

特定非営利活動法人日本現代音楽協会 はどのようにあるべきか... 

ということも考えていかなくてはならないと、あらためて思ったポルトガル滞在となりました。

 

↓ 音楽祭の閉会の場となった ジェロニモス修道院の中庭の回廊

 

スキー大好き人間の私にとって一番想い出深い仕事といえば、
昨日の記事でも触れた<冬期オリンピック長野大会>
に関連した”世界の国歌”の録音に参画したことが、
何を置いても一番に挙げられます。
昨日の記事の続きになりますが、音楽に関連して、
長野オリンピックに関ることができたのです。
このことは、大のスキー狂の私にとっては、
天にも昇る歓びでした。

池辺晋一郎氏をチーフとする編曲チームが編成され、
各作曲家に数曲づつのオーケストレーション)が割り振られ、
出来上がったスコアを基に写譜屋さんがパート譜を起して、
小沢征爾指揮する新日本フィルハーモニー交響楽団が演奏して、
PHILIPSの本国録音チームが収録する
というプロジェクトでした。

収録された音源は、選手村の各国の入村式、
メダル授与表彰式、等で使用されると共に、
長野オリンピック公式商品としてCDも制作され、
国内版はもとより、世界版もリリースされました。

収録時の秘話は、次回以降の記事でご紹介しましょう。

今日の写真は、勿論そのCDのジャケットです。
長野オリンピックのイメージ・キャラクター=
スノーレッツ君が、とても可愛く懐かしいです!

CD:「小沢征爾 conducts 世界国歌」
PHILIPS PHCP-11033/4
演奏:指揮=小沢征爾 
   管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
編曲(オーケストレーション担当作曲家):
   池辺晋一郎 菅野由弘 北爪道夫 猿谷紀郎 
   鈴木行一 鈴木輝昭 鈴木隆太 新実徳英
   福士則夫 松尾祐孝 安良岡章夫  

$松尾祐孝の音楽塾&作曲塾~音楽家・作曲家を夢見る貴方へ~-世界の国歌CD

アシェット・コレクションズ・ジャパン株式会社が発行してきた
「国産鉄道コレクション」(全240巻/発行完了)の付録の模型の写真を中心に、
全号を順番に振り返る記事シリーズを紹介を続けています。
今回は第231巻の紹介です。

 

 

毎号のお楽しみになっているNゲージサイズ車両模型ですが、本号では、

新前橋電車区配属の165系の、JR東日本への移行後に塗色がリニューアルされた姿、

通称モントレー色を纏った先頭車、クモハ165形をお楽しみいただけます。

 

 

それではいつものようにパッケージを解いて、

奥底から第231巻の冊子を取り出しましょう。

 

 

巻頭記事はこのところの通例で、付録模型の車両形式の解説です。

上越線向けの急行形として開発された165系は、登場後に次第に活躍の場を広げ、

信州や東海道方面でも運用されました。

国鉄晩年には普通列車や波動輸送に使用されました。

高崎駅ビル商業施設の名前にちなんで「モントレー」の愛称で呼ばれるようになった

付録模型のカラーリングは、2002年には姿を消しました。

 

 

続くページは、新潟交通モハ10形の特集です。

新潟市を中心に新潟県内の下越・佐渡地方にバス路線網を持つ新潟交通ですが、

かつては鉄道路線も運営していました。

新潟市中心部から燕駅に向かう36.1kmの区間を電車が走っていましたが、

昭和40年代から平成11年の鉄道廃止まで活躍していたのが、このモハ10形でした。

正面2枚窓のかつての日本車輌標準スタイルの可愛い電車でした。

 

 

更にページをめくると、国鉄・JRキハ23系の特集です。

国鉄の時代の昭和30年代に、無煙化を進めるため、

非電化路線向けのキハ20系と、通勤輸送用のキハ35系を導入しました。

その後、時代の変化もあって、都市近郊の通勤輸送と中距離輸送に兼用できる

車両が求められるようになり、昭和41年に登場したのがキハ23形でした。

片運転台方式のキハ45形等と合わせて、キハ23系と呼ばれることもあります。

2003年まで山口戦で使われたキハ23形が、最後の定期運用でした。

 

 

先々号から復活した「鉄道知識」シリーズの本号のテーマは、

"列車のシンボル「トレインマーク」"です。

特急などの愛称付きの列車の先頭に掲げられる、

その名をシンボリックにデザインした「トレインマーク」、

機関車牽引列車では「ヘッドマーク」とも呼ばれますが、

列車の魅力を象徴的に表したシンボルとなっています。

 

 

 

巻末記事はいつものように「観光列車」シリーズです。

本号では、小田急電鉄ロマンスカーEXEの特集となっています。

展望先頭車を擁した固定編成が定番だった小田急の特急専用車両に

新風を吹き込むことになったこのEXEは、分割併合が可能な設計で、

観光と通勤の両面で活躍した汎用性を持っていました。

現在では「EXEα(エクセ・アルファ)」とするリニューアルも進んでいます。

 

 

「国産鉄道コレクション」シリーズは、まだまだ続きます。