彼のお母さんにも連絡をした。8年間待ち続ける母の気持ちはどんなものであろうか。想像出来得るものではない。
私と歳はそんなに変わらない。自分の息子のことを信じて待ち続ける、心配事ばかりで穏やかに過ごせる日々は皆無であっただろう。
本人の努力と周りの人の祈りが結実して、とうとう彼はスタートラインに立った。
ここからも努力のときは続くであろう。
ただ彼も以前の彼ではない。自分のこれまでを振り返り、改めるべきは改めて、新生活に臨んでいくことであろう。
彼からの報告であるが、大学内では既に友達が出来たとのことだった。それも幾太郎繋がりで。
苦労して掴んだ学籍だから、一生懸命に勉強して、立派な良医になってほしいね。きっとなれるだろうよ。不器用な彼ならば、不器用な心ある医療人になるはずだ。
いくた
