学習指導員になってからのこと4 | 中学入試と医学部入試の道の駅

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小さな子供が健気に全力で取り組む中学入試。将来を掴み取るために必死で闘う医学部入試。予備校で数学を教える私が全力で応援するブログです。


学習指導員は社会的な身分は高いとは言えない。大手メーカーでエンジニアをしていたころと比較すれば、ローンを組むのも大変だし、人によってはプー太郎扱いしてくる人もいる。(プー太郎は死語だな。今ならニートかな)

弱い立場のためにつらい想いをしたことも少なくない。一番大きかったのは指導料を踏み倒されたこと。20万円以上を失った。
それも第一志望に合格させた挙句だから。
しかし、それは私の懐は傷んだが、心までは傷んでいない。御家庭は自営で、急に不景気になり、払えなくなってしまったようだ。
私にとっては、売掛金が不良債権化したということだから、仕方ないといえば仕方ない。まだ、独身だったから、生活が傷んだわけでもない。


それよりも私の尊厳を傷ませることが起こったことは忘れ得ない。
中学受験の御家庭だったのだが、私が面接した見立てでは五分五分の確率だった。何とか合格への道を探したいと思っていたのだが。


お父さんから提案されたのだ。

「指導報酬は2倍支払うので、全額成功報酬で」

まあね。私達は信頼されていないんだね。
私は合格のために全力を投じる義務はあるし、それは当然のことだけれど、合格を約束することはできない。
この言葉には、私達に対する蔑視感がありありと滲む。

私は冷静に返答しましたよ。
「私は自分の指導に対して報酬を頂いておりますので、2倍の料金をいただくことはできません。しかし、私の働きに不満があれば、返金させていただくことにします」

その家庭からは二度と連絡はなかった。

そのお父さんは、私を信頼していなかったのは仕方ないが、たぶん自分の子供も信頼していなかったのだろうね。子育てはマネーゲーム様だったのだろう。

精一杯に毒突くのであれば、
こんな話をするような低俗で無学な輩を相手にしたくはない
学問の世界を少しでも知る人であれば・・・
合格を金で買おうとする気持ちがあってもその低俗さは隠そうとするものであるし、
学問を本当に知る人間ならば・・・
こういった行為が学問自体の尊厳を傷付けることだと知っているだろう。学問そのものと、学問を志す人とに対する畏敬の念を持つことは、この世界では最も重要なことだから。

私は、成功率90%の仕事を成功報酬10倍で依頼されたとしても引き受けることはない。この世界で生きていくのはそういうものじゃない。

私は学習指導に関して報酬をもらうことにしている。だから、学習相談に関しては報酬をもらわないし、受験結果に報酬は設定しない。それは当然だと思っている。

いくた