私が指導を始めた頃、今から思い返せば中学受験指導員としては最低だったね。特殊算のやり方なんて、ろくろく覚えていないんだから。
しかし、私には今でも時々使う必殺技があった。
生徒に質問された内容に答えられないとき、私はこのように言うのだ。
「そんな問題も分からないのか。それはちゃんと読んでいないからだぞ。いいか!先生がゆっくりと読むから、しっかりと見ておくんだぞ!」
そして、ゆっくり読んで、噛んで含むように教えるフリをして、まず幾太郎自身が理解するのだ。そして、あたかもそんなことは当然だと言わんばかりに生徒に教える。
本当は今知ったばかりなのに。
でも実はこの教え方は、本当によい教え方なんだよね。何か疑問点について聞かれたときにはゆっくりと音読してあげると、質問に答える前にもう疑問解消していることはよくある。
そんな感じに一年間終わったときには、もう十分に中学受験の学習内容は頭に入っていた。
しかし、この年に教えていた生徒の受験実績は、芳しいものではなかったな。そりゃ〜、一通り勉強は教えられるようにはなったものの、まだまだ薄っぺらいし、受験に関する知識は皆無に近いのだから仕方ない。
この年の生徒を私は踏み台にしちゃっているよなって、今でも思うこと。
続きはまた明日
いくた
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