1の間違いに対する考察 | 中学入試と医学部入試の道の駅

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1の間違いというのは、中学受験では植木算と呼ばれているものです。

10階から20階までは何フロアーあるでしょうか?

という問いに思わず脊髄反射で10フロアーと答えてしまう間違いです。

1の間違いは、位置の間違いとも呼ばれることがあります。

100から200までに3の倍数は何個あるか?

という問いに、(200-100)÷3=33あまり1 だから33個と答えても、結果的には間違いにはなっていません。しかし

200から300までに3の倍数は何個あるか?

という問いに、(300-200)÷3=33あまり1だから33個と答えると、間違いになってしまいます。位置の変更によって、1の間違いを生じてしまうのです。


上の例は、主に中学受験での1の間違いでしたが、これに関する大学受験関連について書きます。ガウス記号についてです。

ガウス記号とは、[x]の形式で表し、小数点以下切り捨てを意味します。[1.5]=1  [6]=6  となります。
ガウス記号は切り捨てですから、自分自身よりは大きくならず、だからといって1以上小さくなることもありません。だから、x-1<[x]<=xが成り立ちます。数字の位置によって、変動幅が異なるわけですね。

lim(x→∞)[x]/x というような問題の場合、もちろんハサミウチの原理を用いて解答します。しかし、そのような解答をする前に、絶対値の大きな数に関しては、ガウス記号の効力が少ない、というイメージを持っておく必要があるでしょう。1程度の差異は∞の世界では無視されるということです。

このことは、化学では重要な考え方です。
例えば、トリペプチドを加水分解するのに使われる水は、トリペプチド1分子に対して水2分子です。アミノ酸3分子生成に水2分子使われていますから、3:2の比になっています。この場合には1分子の差が大きく結果に関わります。

しかし、ペプチド鎖が長くなり、多数のアミノ酸が重合している場合、水分子1個分の違いは無視されるようになり、アミノ酸の分子数=水の分子数とみなされるようになります。多数の中の1分子は結果に関わらないということですね。

また、マルトースには還元性があるが、デンプンには還元性がないということも、分母の違いだったりするわけです。

このことは結構、教えにくい話だったりするんですよね。

ガウス記号の授業のときに、
「1.5と1はだいぶ違うけれど、10000.5と10000はあまり変わらないよね」
と言っても、認めてくれない人もいます。だいたい女の子ね。そういう場合には逆から攻めてみます。

「あなたは35億の女性の中の1人に過ぎないからいてもいなくても影響ない。だけど、彼氏と2人きりのときには、たった1人のかけがえのない女性である」

そんな風に言えば、何となく誤魔化されて納得してくれるかな⁉️

1の間違いは、最終的に男女の勘違いに通ずる哲学的テーマであります。

いくた