毎年私はこの期間に必ず行うことがある。それは後期授業の方向性を作ることだ。
うちの予備校では、クラスの人数は6〜8人くらいである。このくらいの人数は、実は一番やりにくい。
30人以上いるようなクラスならば、生徒一人一人のことなど気にせず、ひたすらにコンテンツを作ればよい。少しレベルを上げ気味で、引っ張り込むように走らせればよいわけだ。個々の状況を細かく気にする必要はない。
逆に3人程度の少人数なら、個々に向けた内容でいい。全体に話をしながらも、個をターゲットにしたやり方が通用する。
しかし、うちの予備校は、個ではなく、多でもない。個でいけばカバーしきれないし、多で考えるとやはり不十分になる。
ここで私は究極の差別を適用する。
この時期になると合格が見えてくる人と、難しい雰囲気になる人が出てくる。
この時期に合格が見えてきた人だけを集めて、秘密のミーティングを開くのだ。密室で後期授業の方針を決定する。後期授業は、ターゲットの生徒を優先した進行をするわけだ。
このようなことをするのには理由がある。まずターゲットの生徒に選民意識を持ってもらうことである。自分は他とは違って、ガチに合格を狙っていく人種であるという意識を刻ませる。易きに流されない気持ちを持たせる。
そして、授業自体の質を変えていく。これまでは個々の生徒の状況を汲みながら進行していたが、今後は合格しか考えない進行になる。ターゲットの生徒が実績を出せるように組み立てる。
ターゲットにならなかった生徒を差別しているようだが、、、、もちろん差別している。これは完全に確信犯としての差別である。
しかしそれが良いことだと考えているからやるわけだ。みんなを合格させるための最大公約数では誰もうまくいかない。ターゲットから外れた生徒は合格できないかもしれない。しかし、クラスから合格者が多数出れば、間違っていない方向性であったことは理解されるはずだ。
もう一つ、誤解のないように言っておきたいが、うちの予備校では生徒の合格実績や授業評価などで先生の報酬が左右されることはない。先生同士で競い合っても仕方ないからだ。生徒全員を先生全員でフォローしていくのがうちの体制である。だから、上に書いた差別は、私自身の評価のために行っているのではない。
これから先は言い訳の許されない闘いが続く。ターゲットとした生徒との密室協議は終わったが、なかなか頼もしい提案も出た。私としては少し楽しみなこれからになりそうだ。
今日の一曲は、さだまさしの恋愛症候群。
いくた