一つ前の記事「栄冠」の学び直し②(研究してみよう)こそが日能研の真骨頂であり、このような学びを丁寧にしていくことが日能研生の勝ち筋の一つという私見を書きました。このことを掘り下げながら、日能研のカリキュラムが狙っているであろうこと(私なりの考え)を書きたいと思います。なお、これは算数に限った話ではなく理科や社会にも共通するものです。

 

文字だけで伝えられるかは自信がなく、アメンバーの方にはできればまず過去に書いた下記アメ限記事の図をご覧いただきたいです。

 

ブログやX(旧Twitter)などを定期的に投稿している方であれば承認することが多いので、内容に興味があればアメンバー申請して下さい(→注意事項)。

深い理解を伴う知識を獲得すると、個々の知識と知識の隙間が補われ(それぞれの知識の「点」からしみ出す面積が大きくなるイメージ)、知識量のわりに解ける問題は多いという状態になります(アメ限記事の図2A)。(算数なら「知識」というのは例えば「知っている問題のパターン」を考えてもらえばいいと思います)

 

日能研ではまずはこのような型を狙って4年生をスタートし、そのうえで5年、6年と尻上がりに知識の「点」も増やしていくというカリキュラムが組まれているようなイメージを私は持っています。

 

 

言うまでもなく本当は「深い」知識を「たくさん」持っている状態が最強なので、可能な人は最初(3年や4年)からいきなりそこを目指してトップギアで進めればいいでしょう。それが可能な人は

 

しかしそれによりやることが多過ぎたり、クラス分けがかかったテストに常に追われたりという事情が絡んでくると、塾がそれを意図しているわけではなくとも現実としてはその場しのぎの「とりあえずそういうものだと覚えて乗り切る!」という深い理解を伴わないパターン暗記型の学習に陥りやすくなります

 

ちなみにジュクコ先生はそのような点をSAPIXで一番注意すべき点であると、ことあるごとにおっしゃっています(↓関連過去記事)。

 

 

他方、初めから大量の問題パターンの反復演習を行うことで、考えるよりも慣れて(知識の「点」からしみ出す面積が小さくとも「点」の数を増やして)成績を伸ばそうというような思想の塾もあるようです(図3)。思考力を伸ばすよりも暗記に頼る方が方が性に合うという人もいるでしょうし、そこは好みと戦略次第ということになります。

 

これらに対して、分量を絞ってまずは深い理解と思考力を重視した落ち着いた学習の枠組みを作り、そのうえで後から尻上がりに新しい知識や問題パターンを獲得していくという日能研の進め方は、そう思って眺めると思考力を育てやすく、よく考えられたカリキュラムであるように私には思えます(あくまで私の見方であり、日能研の公式見解は知りません、念のため)。

 

「尻上がり」にすることの合理性は、子どもは4年時より5年時、5年時より6年時で明らかに脳も発達し、中学受験へのモチベーションも育ってくるというところにあります(→関連過去記事)。

 

 

表面的な部分だけを見てディスる外野がいようとも、ここに価値を見い出せるなら自信を持って我が道を行けばいいと思います。メリットとデメリットは常に表裏一体ですから、何を優先するかは好みと戦略次第です。

 

Mr.Children / GIFT

降り注ぐ日差しがあって だからこそ日陰もあって
そのすべてが意味を持って 互いを讃えているのなら
もうどんな場所にいても 光を感じれるよ