少しあいてしまいましたが、「理系研究職の世界」というシリーズの5回目です。前回までに、力のある(≓研究費が潤沢な)研究室に入ると、研究を好きで面白いと思える人にとってはこの上ない経験や人脈が得られるということを書いてきました。
理系研究職の世界(1) 社会に出たらどこの大学を出てるかなんて分からない?
前回の最後に書いた『研究の世界では好きであることが何より大事です。(…途中略…)「数学が苦手だから文系」などというつまらない考え方で進路選択をしないでほしいです。』のあたりに特に反響をいただいたので、今日はこの続きを書きたいと思います。なお、聞く相手が違えば真逆のことを言うかも知れませんので、あくまで一意見ということでお願いします。
大学の研究室に入った以降に数学をガンガン使う分野は理系の中でも多くはありません。数学や理論物理学といった理論系の分野で「数学が苦手だけど・・・」ということではさすがに厳しいでしょうが、特に実験系の多くの分野では、高度な数学を直接使う機会はありません。それに、高校時代には数学が得意だった理系の人でも、大学の数学ではチンプンカンプンになっている人も少なくないというのが実情です。
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そもそも、テストで点を取る能力は研究をしていくのに必要な素養とは全く違います。「必要条件ではあるけど十分条件ではない」とかの話ではなく、必要条件ですらないかも知れないくらい別物です。例えば読み書きの能力などは超大事ですが、それにしても国語のテストで点数が高いこととイコールとは思いません。
専門性は仕事を通じて何十年もかけて磨いていくものですから、必要に迫られたことはその時点で必死になって勉強しても遅くないですし、苦手なことは使わずに済ませる方法も(得意な人とコラボするとか、苦手なことを使わないフィールドを選ぶとか)あります。
「好きなこともやりたいこともない」という人も少なくないなか、好きで学びたい分野がある人には「数学や何かの科目が苦手だから」なんてことであきらめて欲しくなく、応援したいという気持ちで書いています。
余談ですが、公文式の創始者である公文公先生は、「高校の数学でつまずき、希望する進路や将来の夢を諦めてしまうことのないように…」という願いで高校数学の自学自習が可能な公文式を作りました。忙しくて勉強を見てあげられない息子さんに自学自習できるよう毎日問題を作成してあげていた手書きのルーズリーフが原型になっており、私は大変共感しています。
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このシリーズでこれまでに書いてきたように、理系研究職を目指すのであれば、やはり可能であれば少しでも環境の良い大学を目指すことがオススメではあります。しかし頑張っても厳しいこともあるでしょうし、受験は水物なので望む結果にならないこともあるでしょう。
でもだいじょうぶ(←おばけずかん)。全ては通過点ですし、首都圏の中学受験のようなレッドオーシャンで競争に勝ち抜いていく以外にも、目標までのルートは色々あります。抜け道も含め、そんな色々なルートについても書きたかったのですが、時間切れなのでまた次回に。
THE BLUE HEARTS / 情熱の薔薇
答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方
涙はそこからやってくる 心のずっと奥の方
情熱の真っ赤な薔薇を 胸に咲かせよう
花瓶に水をあげましょう 心のずっと奥の方