彼女との日々を取り戻すために今、ボクはここにいるはずなのに。
「…むぅ、」
「まだ終わってないの?」
課題が思うように進まないのか彼女は眉間にシワを寄せ手元の本を睨む。
「だってー、なんかもう、意味わかんないんだよぅ」
「はぁ、…そんな難しい本、君には理解できないんじゃない?」
「うっ、そんな事言うなんて酷い…」
「事実だろ?ほら、こっちの方が分かりやすいと思うよ?」
ボクが差し出した本と手元の本を見比べ少し悔しそうな顔をする。
「…そんな子供向けやだ」
「でも、結構詳しく書いてるし、読みやすい、図も載ってて…、ほら」
彼女の隣に腰掛け本を開いて見せれば、最初こそ戸惑っていたが夢中で読み出した。
不意に、彼女がボクの方を見た。
「…?どうしたの?」
「コンウェイ、ありがとう」
笑う彼女の顔が頭に焼き付いて、それから数日はその笑顔が頭から離れなかった。
「…同じ顔で笑うんだな、」
少し離れたところで、シリルがスパーダくんと談笑している。
その顔が彼女に瓜二つで、最初は驚いた。
「(やっぱり、シリルは…、)」
シリルは彼女なのだろう。
シリル達がする前世の話、彼女が良くした夢の話。
その内容が同じだと気がついた時、まさかという驚きも、また会えたと言う喜びよりも、
これからどうすればいいのか?と悩んだ。
シリルには、彼女だった頃の記憶は無いようだし、それに、
「(シリルがたとえ彼女の生まれ変わりだとしても、)」
彼女じゃない、
ボクが取り戻したい、クラウじゃない。
そう思うのに、
「…もっと君に近づきたい」
もっと、触れたい。
想いは募り、混ざり、ボクは掌を見つめた。
過去も未来もひとつのレールなら楽だったのに。