"並ぶ"がキーワード(絵本の表紙・他)の特集の巻 | B/RABBITS(ビーラビッツ)のおしゃべり・絵本

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絵本専門古本屋(児童書)を13年経営していました。手と腕を壊して休業中です。この機会にもう一度、絵本や好きな本を見つめ直します。お店で"おしゃべり"していたように、本以外についても"しゃべる"ように書いています。

絵本や児童書の場合、ジャケ買いは"アリ"です。絵本は当たり前ですが、児童書も表紙の絵が良い本は、ハズレがありません。

絵本はパラパラとめくれば、選ぶ判断ができます。児童書の場合は、文章を読まないとわからない……。

でも、お店を営んでいるときの法則は…
良質な作家の本は"ベスト・パートナーの挿絵画家と組んでいる"ということです。
ジャケ買いは"当り"です。

邪道な特集かもしれませんが、
先日のSimpleな絵本の表紙特集に続き、今回は"並ぶ"をキーワードに絵本の表紙(他)を特集です。

Simple表紙はとてもアイ・キャッチーな絵ですが、表紙に絵が並んでいる本も、ついつい魅かれてしまいます。

この昔の児童書の表紙を見てください。
どうでしょう?
簡明率直で、視覚化されたデザインのような絵、それでいて素朴で愛らしい表紙だと思いませんか?



裏表紙》

      『ヒッコリーちゃん』昭和38年初版
                                         C・ S・ベルイ作
                   鈴木悦郎 絵/谷村まち子 訳
               中央出版社 少年少女文庫 絶版


こちらがオリジナル版の邦訳版の児童書
『ミス・ヒッコリーと森のなかまたち』
キャロライン・シャーウィン・ベイリー作
         ルース・ガネット絵    (1946年初版)
                坪井郁美 訳  福音館書店(1975)

小間物屋の娘アンが作った、ヒッコリーの実とリンゴの小枝でできた、少しおこりん坊のお人形。田園生活のなかで、動物たちと関わりあいながら繰り広げられる物語。


次は、岩波少年文庫の二冊。
ユーモラスで気のいいお父さんと、賢くやんちゃな男の子が織成す、silentなコマ漫画の本です。(ドイツのコマ漫画の古典)


『おとうさんとぼく』 1・2(1949年初版)
                                   e. o. プラウエン作
                           岩波書店(1985年・絶版)

大胆な鋭い諷刺でヒトラーを戯画化していた、気骨の画家e. o.プラウエン。
渦が忍び寄る暗い時代、1934年週刊新聞に掲載され、爆発的な人気を博した漫画です。(詳細は7/24のblogにて)

コマ漫画の一部が並ぶ表紙。
どんなコマ漫画なのか、
           ワクワク((o(^∇^)o))((o(^∇^)o))
読む前も読んだ後も、ややしばらく魅いってしまいます。


物理学者の寺田寅彦氏の弟子で、雪の結晶の研究にうち込み、世界に先駆けて「雪氷学」の分野を確立させた中谷宇吉郎のエッセイです。

岩波書店(2002年)
少年少女向けに編んだこの本は、寺田寅彦氏のエッセイ同様、話の幅が広くてたいへん読みやすい。
手描きの雪の結晶が並ぶ絵は、雪なのにとても温かい絵です。


ねこ一家の愉しい生活を描いた『ねこのオーランドー』シリーズの作家、キャサリン・ヘイル。
~1938年に英国で最初にリトグラフの技法を使い、平板印刷の特色を生かした絵本を出版(「20世紀西洋人名事典」1995年刊より)~

1940~50年代に描かれた絵本


下の写真は資料として画像に保存していたものです。
大判とは別巻で出版された、A4版位の大きさの絵本の裏表紙に、シリーズ本が並んでいます。

"ねこのオーランドー"好きには、たまらないラインナップ。
次は「この絵本が欲しいなぁ」と思わせる、楽しみをもたらす裏表紙。



長新太さんの絵本、1958年のデビュー作『がんばれ さるの さらんくん』も、動物の絵が並んでいます。

中川正文 作  福音館書店

(動物のオーケストラをつくることになったのに、トランペットを上手く吹けない さらんくん。がんばれ さらんくん!)



この切手のポストカードのように、たくさんの童話の切手の絵が並んでいると、気持ちがワキワキしてきます。



わたしのバイブル、平凡社『絵本百科』のソフトカバー版も絵が並んでいます。

全12巻 1968年版》おぉー!この表紙を見ると心が弾みます。


ウェーバーの1962年初版『ワニのライルがやってきた』(大日本図書・1984年)の表紙もトキメキます。

とある事情でプリム一家と暮らすことになった、芸達者で働き者のワニのライル。町のみんなの人気者"ワニのライル"シリーズ第1巻の絵本です。

窓が並んで描かれた建物風景の絵は、それぞれの窓の部屋のなかで、物語がたくさんありそうな…と想像させるので、わたしのツボの表紙です。


最後は、福音館書店の「こどものとも」創刊から100号の復刻版のパンフレット。
資料として2枚あったので、1枚の方を切り抜いて、こどものともが並んでレイアウトしている上に乗せて、ご満悦~!です。