新津章夫の名前を、彼のオリジナル・アルバムからでなく「無印良品」の店内BGM集、「無印良品BGM1980~2000」を通じて知った人もいると思う。
同CDには「新津彰夫」と表記されておりますが、これはいわゆる誤植です。そのまんま、確認もせずに発売されてしまいました。すでに新津章夫のマネージメント事務所も解散し、彼も音楽家としては廃業していたため、いたしかたないことでしょう。
この「無印良品BGM」第1集には、その他に、細野晴臣氏などの楽曲も収められており、今ではプレミアも付くほどの人気となっているようです。
「無印良品」のBGMは、新津章夫とともにありました。無印良品は、スーパーの「西友」のプライベートブランドとして始まりました。その際、これまでにないブランド、店舗のイメージを訴求するために考えられたのが、当時としては革新的な、オリジナルのBGMの制作です。
今では、多くのブランドが「無印良品」の成功を真似て、オリジナルのBGMを店内で流すことは珍しくありませんが、当時としては、それは画期的なものでした。デパート、スーパー、ショッピングセンターなど、BGMが求められる場所では、有線放送を流すのが一般的だったからです。
そこに、当時としては歌のないインストゥルメンタルの音楽としては異色のアーティスト、新津章夫の元に楽曲提供の依頼があったのでした。
(続)