キーボードとの遭遇 | 新津章夫 Official Blog 《迷宮の森》

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謎に満ちた迷宮のギタリスト、新津章夫のオフィシャル・ブログ。迷宮の森 《Forest in maze》

 新津章夫はギタリストですが、作・編曲、演奏、エンジニアリング、ミキシング、プロデュース、すべてを一人でこなしていたため、得手不得手に関係なく必要とあらば、なんでもやっておりました。


 そのひとつが、キーボードです。


 彼の音楽との出会いは、中学生の頃、2歳年上の長兄が銀座の山野楽器にて、矢入(YAIRI)のガットギターを買ってもらったことに由来します。そのため、ピアノやオルガンなどの鍵盤楽器はまったく習ったことがありませんでした。しかし、独学にてなんとか譜面は読むことができたので、それに沿って鍵盤楽器もさわっておりました。


 最初のキーボードとの出会いは、僕の高校時代のバンドのキーボードが持っていたRolandのストリングス。1970年代はYAMAHAとエーストーンをのぞけば国産のキーボードはまだ存在しておりませんでした。件のメーカーにしてもオルガンであって、いわゆるエレキピアノはRolandが一機種出していたのみ。シンセも国産は単音のモデルしかありませんでした。


 ストリングスは、その名の通り、オーケストラの弦楽器の音を再現した画期的な楽器で、プロでも利用者は多かったものです。


 実際、新津章夫も「I・O」のA面最後の曲「未来永劫」のエンディングなどで使っています。先ごろ発表した「サイエンス・クラシックス」に収められた「シロス・リンダホフ」も、元々は「I・O」のために録音されたため、その中でもストリングスは聴かれます。


 サンプリングが一般的になった現在、ストリングスのなんともたよりない電子音は、想像力をかきたてなければ、もはやオーケストラの弦楽器群とは思えぬ音色ですが、1970年代の音楽状況を象徴する楽器のひとつだったといえるでしょう。