ボリュームペダル | 新津章夫 Official Blog 《迷宮の森》

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Volume


 1970年代、ギタリストのテクニックのひとつに、バイオリン奏法というのがありました。バイオリンは弓で弾く弦楽器ですから、アタック音がありません。そこで、予めエレキギターのボリュームをゼロに下げておき、ボリュームノブに小指をかけて、ピッキングしたら素早くボリュームを上げる。すると、バイオリンのような音の立ち上がりのゆっくりとした効果が得られるのです。ボリューム奏法の名手としては、ジェフ・ベックをはじめブルースギタリストのロイ・ブキャナンやマウンテンのレズリー・ウェスト。あるいは、高中正義なども多用しておりました。


 そのボリューム奏法をより確実に、そして、滑らかにさせたのが、ボリュームペダルというエフェクターです。新津章夫もバイオリン奏法は巧みでしたが、レコーディングではボリュームペダルを使うことが多かったです。


 ボリュームペダルはその独自性から、たとえば、ディストーションなどに比べるとさほど多くのメーカーからは出ていませんでした。国産、海外製品を合わせても5機種程度しか選択肢はなかったと記憶しております。


 その中で新津章夫が選んだのが、当時はギター弦のメーカーとして知られていたアーニー・ボール社製のボリュームペダル。その頃のプロギタリストの間では、ショーバッド社(Sho-Bud)のボリュームペダルというのが人気でしたが、とにかく高かった。他のエフェクターに比べてで出番が少ないにも関わらず3万円以上したと記憶しております。ちなみに、MXRのフェーザーが2万5000円程度で買えた時代に、です。


 ボリュームペダルの命は、重さ。足で操り、しかも、微妙な強弱が必要だったので、軽いと足の重さで動いてしまいミスタッチが多かったのです。その点では国産のボリュームペダルはほとんど使い物にはなりませんでした。


 アーニー・ボール社製のは2万円程度でしたが、作りがしっかりとしていて、またボリュームの立ち上がりを調整できるノブが付いていることに、新津章夫はいたく気に入っておりました。


「I・O」の「迷宮の森」の動物たちの囁き声などは、アーニー・ボールのボリュームペダルあってこその音作りだといえるでしょう。