気ままな日常を綴っています。 -9ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

それから1時間程過ぎると、ドゥニャーシャが、ドローンが来て、公爵令嬢の言い付けによって百姓達が倉庫の前に集まり、公爵令嬢と話し合いを望んでいると言っている事を、マリヤの所へ知らせに来ました。

「でも、私は百姓達を呼んだ覚えはないわ。麦を分けてやるように、とドローヌシカに言っただけだけど。」と、マリヤは言いました。

「お願いですから、お嬢様。百姓達を追い払うように言いつけて下さいました、お会いになってはいけません。みんな嘘でございます。アルバートゥイチが戻ったら、出発致しましょう。。」と、ドゥニャーシャは言いました。

 

「嘘って、何が❓」と、びっくりしてマリヤは聞き返しました。

「ええ、私は知っているんです、だから、お願いですから私の言う事だけを聞いて下さい。そう、乳母に聞いて頂いても構いませんわ。何でも、お嬢様の命令で立ち退くのは嫌だとか言って皆んな騒いでいるそうですわ。」

「貴女の言う事は少し違いますわ。だって、私は立退けなんて命令した覚えがありませんもの。。ドローヌシカを呼んで下さい。」と、マリヤは言いました。

入って来たドローンはドゥニャーシャの言葉を裏付けました、百姓達は公爵令嬢の言い付けで集まったと言うのでした。

 

「私は呼べなんて言わなかったわ。私はただ麦を分けてやるようにと、そう言っただけよ。」

「引き取れとおっしゃれば、連中は帰ります。」と、ドローンはホッと溜息をついて言いました。

「いいえ、いいわ、私が会いましょう。」と、彼女は言いました。

マリヤは玄関を出ると、ドローヌシカ、ドゥニャーシャ、乳母、さらにミハイル・イワーノヴィチがその後に続きました。

 

『彼らは、きっと、私が麦をやるのは、彼らを村に残す為で、フランス軍の手中に彼らを見捨てて私1人だけが逃げようとしていると、そう思っているんだわ。いいわ、彼らにモスクワ郊外の領地に住居と1月分の衣食を約束してあげよう。きっとアンドレイだってもっともっとしてあげるはすだわ。』と、マリヤはこう思いながら、集まっている百姓達の群れへ近づいて行きました。

あまりにも多くの老若とりどりの目が注がれ、様々な顔がびっしり並んでいたので、いきなりこの全ての顔と話さなければならぬ事を感じると、彼女はどうして良いか分かりませんでした。

しかし、自分は、父と兄の代理なのだ、と言う意識が、また彼女に力を与えました、そして彼女は勇を鼓して口を開きました。

 

「お前達皆が来てくれて、私は本当に嬉しく思います。お前達が戦争で何もかも奪われてしまった事を、ドローヌシカから聞きました。これは私たち皆の不幸で、お前達を助けて上げる為なら、私は何も惜しみません。私もここを立ち退きます、ここは危険だかrたです、敵が近くに追っているからです。。だから、お前達にすっかり上げます。さあ、どうか持って行って下さい。もし、私がお前達に麦をやるのは、お前達をここに残す為だ、と言う者があったら、それは間違いです。私はその反対に、お前達に家財道具をすっかり持ってモスクワ郊外の領地に避難して貰いたいのです。そちらで私がお前達を引き取り、必ず困らないようにして上げます。」と、公爵令嬢は言葉を切りました。

 

群衆の中から溜息が聞こえるばかりでした。

「私は、自分の一存でこれをするのではありません。お前達には良い領主であった亡き父と、兄と、兄の子に代わって言っているのです。」

彼女は言葉を切りました。

誰1人彼女の沈黙を破る者が居ませんでした。

どの顔も同じ表情で彼女を見守っていました。

しかし、その表情の意味が、彼女には理解出来ませんでした。

「お情けは誠に有り難えが、旦那の麦を貰うなあ、あんべえがよくねえな。」と、後ろの方から声が上がりました。

「でも、どうしてですの❓」と公爵令嬢は言いました。

誰も返事をしませんでした、そして彼らは彼女の目と合うと、どの目も直ぐに伏せられるのに気付きました。

 

「どうしてお前達は欲しくないの❓どうしお前達は黙っているの❓もっと何か要る物があったら言いなさい。何でもしてあげますから。」と、直ぐ前に杖に寄りかかっている老人に、彼女は言いました。

「何を恩着せがましく。。わしらにゃ麦は要らねえ、それに、おら達に何もかも捨てて立ち退けって言うのかい❓ごめんだな、嫌なこった。お前さん1人で立ち退くがいいや。。」と、群衆のあちこちから声が飛びました。

そして全ての顔の表情は、好奇心と感謝の表情ではなく、敵意を漲らせた決意の表情でした。

「どうして立ち退くのが嫌なの❓住居と食べ物は約束しているのに、ここに居たら敵軍に荒らされて。。」

しかし、彼女の声は群衆の怒声にかき消されました。

 

マリヤはまた、群衆の中の誰かの視線を捉えようと努めました。

が、1つの目も彼女に向けられていませんでした。

「見ろ、うめえ事抜かしやがって、うっかりくっついて行ってみろ、監獄行きだぞ❗️家をぶち壊され、その上奴隷にされるがオチよ❗️へっ、麦を上げます、だとよ❗️」と言う声が群衆の中から飛んで来ました。

マリヤは、うなだれて群衆の輪から出ると、家の方へ歩き出しました。

もう一度、明日までに、出発の為に馬を用意するよう、ドローンに指示をすると、自分の部屋に去り、そこで1人瞑想に沈むのでした。。

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(解説)

マリヤは、集まってきた農民達に、麦を解放し、ここはフランス軍が入って来て荒らされるだろうから、家財道具を持ってモスクワ郊外の自分の領地に逃げるように言います。

そこでの生活は、自分が保証します、とも。。

 

しかし、農民達は、既にフランス軍に唆されているのですね。

フランス軍は彼らの農作物を高額で徴発すると偽札で騙し、農民達は、自分達がフランス軍から騙されているとも気づかずに、自分達の農作物が『商品として』高く買い取って貰えると喜んでいる状態なのですね。

つまり、彼らにはお金を獲得するチャンスが舞い込んで来た訳ですし、相手は自由と平等の大国フランスです。

彼らは、ただ衣食住を満たされて、『領主様の為に』働くのが、もう嫌で嫌で堪らなかったのですよね。

ひょっとして、今度のフランス軍のロシア侵攻によって、自分達農民の生活がもっと自由に満ちた明るいものになるかもしれない。。自ら土地を所有して農業をして、自分達の決めた価格で売って生活をして。。。

農民達の夢はどんどん広がっていたと思います。

 

だから、所詮封建制度の延長であるマリアの慈悲深い言葉は、彼らにとって『ナンセンス』に聞こえているのですね。

農民達は、自由農民となれるかもしれない❗️と希望を持ってフランス軍をお迎えしようという訳で、自分達が自分達でお金(=富)を手にする事が出来れば、かつての旦那なんてどうでも良い訳ですね。

ましてや、相手は当主代理の女性のマリアですから。。

今回は、そんな場面ですね。。

お早うございます♪  今朝は、令和8年1月27日の日記です♪

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こんばんはー♪  現在16時58分です。

今日15時頃に帰宅しました。

今回の宮崎への旅は、ホテルでまったりとして食べてばかりだった印象ですね、まー、いつもの事ですが。

お風呂にもゆっくり浸かれて本当に幸せでした💞

 

はい。今朝は、7時17分「子供の国駅」発「宮崎駅行き」に乗るので、絶対に寝坊出来ません。

4時から起きていました。

ブログのお仕事と英語の勉強を6時45分までしていました。

やっぱりホテルのお部屋ですので、起きやすいですね。暖かいし。

 

6時50分には忘れ物が無いかチェックしてエアコンを消してチェックアウトしました。

このお部屋、2日間本当にお世話になりました✨

 

まだ薄暗い夜明け前の道を『子供の国駅』まで歩いて行きました。

時間的に学生さんの登校時間に合致していたみたいで、多くの学生さんに混じって宮崎駅まで行きました。

学生さん、荷物が多いですね💦

私もそんな学生でしたが、私の高校生の頃はね、学生カバンを潰してうっすくするのが流行っていて、辞書は同じものが学校の机の中と自宅にあるっていうのが『普通』だったみたいですね。当時は、一般家庭の子供さん(特に進学校に子供さんを通わせるご家庭は)豊かだったのですね。。

今では、ちょっと考えられないでしょうね。

私は1冊しか持っていなかったので、分厚い学生カバンをえんやこら担いで行っていましたけど💦

 

宮崎駅から福岡天神までの高速バスは9時発なので、宮崎駅のマクドで朝マックをしていました。

昨夜は流石に夕食は食べれなかったので昨日の13時50分くらいから18時間ぶりくらいに食べています。

これはマックグリドルソーセージの朝マックですが、天神だと500円、南薬院だと470円、宮崎駅だと450円だ、と判明しました✨

(50円もお安く朝マックできてご機嫌です♪る〜ん💞)

 

帰りは長いトンネルが行きよりも多い感じがしましたけれど、行きと帰りはちょっと道路が違うのかな❓

後は、このような(⬇︎)山間を抜けて福岡市まで北上をしました。

宮崎の空はあんなに青かったのに、ご覧の通りの空色です。

 

13時45分に天神に到着しました。

行きは、ちょっと車酔い❓みたいで気分があまり良くなかったのですが、帰りは元気でしたね。

 

天神に到着すると、お手洗いを済ませて、西鉄グランドホテルの『マンジャーモ』さんでランチをする事にしました。

宮崎のホテルで今朝もバイキングをするよりも、早めに福岡に帰ってきてマンジャーモさんのランチをいただいた方が気分転換にもなるかな。。と思ったので♪

はい。今日のメニューです。

もう、ここ2日間は食べ過ぎているので、パスタランチでも良いのですが、せっかくの旅行ですから、もう1ランク上の『カルネランチ』(税込2850円)を頂く事にしました。

 

はい。前菜の盛り合わせですね。

12時から時計回りにレタスのサラダ・オニオンソース掛け、フランスパンの薄切りのトーストしたものにズッキーニを細かく叩いてペーストにしたものを乗っけたもの(手でつまんで食べて下さい、と)、鶏肉の燻製にマッシュルームを叩いてペーストにしたものを中に入れて巻いたもの・ソースはマスタードソース・下に4分の1枚のレモンの輪切りが忍ばせてありました。

流石にホテル仕様ですね〜✨

サッパリ&満足感です♪

 

同時にフランスパンが持って来られました。

このパンは本当に美味しいです💞

お代わりは出来るみたいですよ〜〜♪(メインを持って来られた時に、既にパンが4分の1切れになっていたのでお代わりを聞かれましたもの。丁重のお断りしましたけれど(^。^))

 

これはシラスと白ネギのオイルソースのパスタ。

恐らく。。オリーブオイルでローストしたパン粉が振り掛けてありますね。

恐らくニンニクも使用されていると思いますが、匂いがキツくないですね。

それにボスコのオリーブオイルとか結構クセのある香りがしますが、マンジャーモさんのオリーブオイルはそんなにクセを感じません。

とても美味しかったです💞

恐らく。。パスタランチの半分程度のパスタの量だと思います。

 

はい。メインです❣️

見た目からして、美味しい✨ってわかる仕上がりですよね(^。^)

豚バラ肉の赤ワイン・マルサラ煮込みですね。

 

ちょっと拡大しますね。

この豚バラ肉は、赤身と白身が良いバランスで混ざっている部分でした。

赤身がホロっと溶けてソースと良く絡みました。

付け合わせは、ブロッコリーとごぼうのソテー。下にね、サツマイモの大きな輪切りのソテーが忍ばせてありました。

サツマイモの甘さがソースととってもよく合いました。

お写真を撮影したかったのですが、食べかけのお写真もねー。。と思って自重しましたわ💦

 

最後にデザート盛り合わせとコーヒー。

 

デザートは、ブラマンジェオレンジのシャーベット、生のパインとオレンジのカット、かぼちゃのプディングでした。

 

かぼちゃのプディングのカラメルソースが美味しそうでしょう💞✨

向こう側に粉雪が降っています✨✨

 

以上、本当に美味しいランチで、価格も税・サービス料込2850円と良心的なお値段でした。

(3月1日からやむなく値上げになるそうです💦  仕方ありませんね。)

 

帰宅して、急いで植木鉢にお水をあげました。

2日間、お利口さんにお留守番してくれていました。

そろそろお花をカットして机に飾っても良いかな。。❓という感じですね。

 

さて。。今回も贅沢をし過ぎてしまいました💦

これで、宮崎の旅のブログは終了します。

また、頑張れれば何処かへ行こうと思っていますが、まあ半年はじっとしておくつもりです(^。^)

明日からは、また身の丈に合った生活を楽しもうと思います。

後1ヶ月余りで息子の誕生日だしね、嫁にも喜んでもらえるような事をしなくては♪

 

それでは、今日も良い一日をお過ごし下さいね💞

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(余談)

North Korea fired apparent ballistic missiles into the Sea of Japan on Sunday, sources in the South Korean military said.

韓国軍の関係者によると、北朝鮮が日曜日に日本海に向けて明らかに弾道ミサイルと見られる飛翔体を発射したとのことです。

形容詞apparentは、「明らかな、はっきりと目に見える」という意味ですが、副詞apparentlyは、「確実ではないが~のようだ」(=seemingly)、または「聞いた[読んだ]情報によると」という意味。

  ballistic(バリスティック):弾道(学)の、飛行物体の(形容詞)

  the South Korean military:韓国軍

 

 According to Japan's Defense Ministry, at least two projectiles that could be ballistic missiles were launched and fell into waters outside of Japan's exclusive economic zone.

日本の防衛省によると、弾道ミサイルの可能性がある飛翔体が少なくとも2発発射されました。これらの飛翔体は日本の排他的経済水域(EEZ)の外側の海域に落下したとのことです。

  projectile(プロジェクトゥ):発射体(加算)

  exclusive:独占的な、排他的な、限定的な(形容詞)

  Japan's exclusive economic zone:日本の排他的経済水域(EEZ)

 

While Japan's two governing parties share the goal of revising the country's Constitution, differences between their stances are now becoming evident.

日本の与党二党は、憲法改正という同じ目標を掲げながらも、その立場における違いが明らかになりつつあります。

  governing parties:与党、政権与党

  revise:改訂する、訂正する、校閲する、修正する(他動詞)

  stance:(通常複数形で)立場・姿勢(加算)

  evident:(証拠があって外から見ても)明らかな、明白な、はっきり表われて(形容詞)

 

 The ruling Liberal Democratic Party is seeking a realistic approach in amending the supreme law.

与党である自由民主党は、最高法規の改正において、現実的なアプローチを模索しています。

   amend:修正する、(欠点などを取り除いて)改める(他動詞)➡︎自動使用法(改心する)あり

  supreme(シュプリーム):(地位・権力など)最高位の、最高権威の、(程度・品質など)最高の、最上の(形容詞)

 

In contrast, the Japan Innovation Party, which replaced Komeito as the LDP's coalition partner in October, is taking a hawkish stance, such as proposing the inclusion of a reference to the possession of national defense forces in the top law.

それとは対照的に、10月に公明党に変わって自民党と連立することになった日本維新の会は、もっと強硬な姿勢をとっており、例えば憲法に国防軍の保有に関する言及を含めることを提案しています。

  replace:〔+目的語+as+(代)名詞〕〔…として〕〈…に〉取って代わる,〈…の〉後任になる(他動詞)

  coalition:連合、合同、(政治的な)提携、連立

  hawkish:タカ派(的)の、強硬論者の(形容詞)

  reference:(…に)言及(すること)、論及、参照(すること)、照合(不可算)

  possession:所持、保持、占有(不可算・加算)

  proposing the inclusion of a reference to the possession of national defense forces in the top law:最高法に国防軍の保有に関する言及を含めることを提案

(物語)

『妹がフランス軍の手中に落ちたなんて、アンドレイ公爵が知ったら❗️ニコライ・アンドレーエヴィチ・ボルコンスキー公爵の息女たる者が、ラモー将軍とやらに保護を請い、その慈悲にすがるなどと、そんな生き恥がさらされようか❗️』この考えが、彼女を恐怖に突き落とし、恥ずかしさが頬を染めさせ、これまで知らなかった増悪と誇りの激発を感じさせたのでした。

彼女は、これを自分の頭で考えたのでは有りませんでした、そうするのが義務と思って、父と兄の身になって考えたのでした。

彼女個人にとっては、どこに留まろうと、どんな事になろうと、どうでも良い事でした。

しかし、同時に彼女は、自分が亡くなった父とアンドレイ公爵の代理である事を感じていました、今、2人が言うはずの事、2人がするはずの事をしなければならない、と彼女は感じていました。

 

マリヤはアンドレイ公爵の書斎に入りました、そして彼の考えに徹しようと努めながら、自分の立場を熟慮しました。

父の死と共に消えたものと思っていた生きる欲求が、かつて知らなかった程の新しい力で彼女の前に湧き上がりました。

彼女は頬を真っ赤に上気させながら室内を歩き回り、アルバートゥイチを、ミハイル・イワーノヴィチを、チホンを、ドローンを呼びにやりました。

ドゥニャーシャも乳母も小間使いも、ブリエンヌの言った事がどの程度まで正しいのか全くわかりませんでした。

 

アルバートゥイチ は、警察署長の所へ出向いていて、まだ戻っていませんでした。

建築技師のミハイル・イワーノヴィチは、呼びつけられてマリヤの前に出てみたものの、この15年間郎公爵の言いなりで自分の意見というものを表明しない男だったので、役に立ちませんでした。

老従僕のチホンは、悲哀の最中で、マリヤが何を聞いても『へえ、さようで。。。』と答えるばかりで、彼女を見守りながらやっと嗚咽をこらえていました。

最後に村長のドローンが部屋に入って来ました。

「ドローヌシカ」と、マリヤは言いました、彼女は彼を疑いの無い忠実な友、毎年ヴァージマの定期市に行く度に、好物の蜜菓子を買ってにこにこ顔で持って来てくれたあのドローヌシカと見ていたのでした。

「ドローヌシカ、アルバートゥイチ がどこか行っていて、私は誰にも相談のしようが有りませんのよ。もう、何処へも行けないって聞かされましたけど、本当ですの❓」

「どうしても(※馬車では)行けねえので、お嬢様、(※歩いてなら)行かれますとも」と、ドローンは言いました。

「敵軍が居て危ないって、言われたのよ。ねえ、ドローヌシカ、私は何も出来ないし、何もわからないし、誰も相談する人が居ないのよ。私、どうしても今夜遅くか、明日の朝早く出発したいと思うの。」

ドローンは黙っていました。

「アルバートゥイチ にも申し上げておきましたが、馬がいねえので。」

「どうして居ないの❓」と、公爵令嬢は言いました。

 

「何もかも天罰でごぜえますだ。」と、ドローンは言いました。

「居ねえ訳じゃ無いが、軍に持って行かれたり、くたばったりで、今年はひでえ厄年でごぜえます。馬に食わせるどころじゃねえ、下手すると人間が干上がりそうな有様でして❗️こうして3日も食わずにいる始末ですよ、何もねえんで、すっかり荒らされてしめえまして。。」

公爵令嬢マリヤは、彼の言う事を注意深く聞いていました。

「百姓達が荒らされたの❓食べるものが無いの❓」と、彼女は尋ねました。

「餓死しかけてますだ。荷馬車どこの話じゃねえんで。」と、ドローンは言いました。

 

「だったら、どうしてそれを言ってくれなかったの、ドローヌシカ❓出来る事は何でもして上げるわ。。」

今のような、こんな悲しさに胸が一杯の時に、金持ちと貧乏な人が居て、金持ちが貧乏な人々を助けずにいる事が出来ないなんて、マリヤには不思議な事に思われました。

地主の麦というものがあって、百姓達に分けられることがあるという事も、彼女は漠然と知っていましたし、聞いた事も有りました。

彼女は又、兄も、父も、百姓達に分ける事を断らないだろう。。という事も知っていました。

彼女は、百姓達の窮状と、ボグチャーロヴォに有る地主の麦について、詳しくドローヌシカに尋ね始めました。

 

「ここは地主の、いえ兄の麦があるんでしょう❓」と、彼女は聞きました。

「お屋敷の麦はそっくり手付かずにごぜえます。若公爵様が売るようにお言いになりませんでしたので。」と、ドローンは得意げに言いました。

「それを百姓達に分けてあげなさい。要るだけあげなさい。私が兄に代わって許します。」と、マリヤは言いました。

彼女がそう言っている間、ドローンは食い入るような目で、じっと彼女の顔を見守っていました。

 

「おらをクビにして下せえ、お嬢様、お願えです、おらから鍵を取り上げて下せえ。23年勤めさせて貰いましたが、悪いことは1度もした事がねえ。クビにして下せえ、お願えです。」

彼が何を望んで、なぜ辞めさせてくれと言い出したのか、マリヤにはわかりませんでした。

彼女は「彼の忠実な心を1度も疑った事が無いし、彼と百姓達の為なら、どんな事でもしてやるつもりだ。」と答えました。

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(解説)

マリヤは、ボグチャーロヴォがもうフランス軍の手に落ちた事を知り、一刻も早くこの地を逃れなければならない、と認識するのですね。

だから、いろんな使用人を呼びつけて意見を聞くのですが、肝心なアルバートゥイチ は警察署長の所へ行っていてまだ戻って来ていません。

彼は、軍隊の力を借りて、この窮状をなんとか打開しなくてはもうどう仕様もないと認識出来ています。

マリヤは、この事を知らないので、ドローンを呼んで、脱出の為の荷馬車の準備を頼みます。

 

しかし、ドローンは、馬の準備は出来ないとマリヤに言います。

マリヤは、どうして馬の準備が出来ないのか理解できません。

ドローンは、実は、もう既に農民達はフランス軍に言いくるめられて、ボグチャーロヴォに留まって(フランス軍の為に食料を提供すれば高額で買い取ってくれるといううまい話)に完全に乗せられているなどとはとてもマリヤには言えません。

これはロシア人領主に対する『裏切り行為』になるからです。

それで、言い逃れとして「麦が足りなくて馬どころか農民達ももう3日も食べていない」と嘘を付くのですね。

マリヤは、その話を鵜呑みにしてしまいます。

世間知らずのマリヤは、『だったら金持ちがこんな時は貧乏な人を助けるのが筋だ。』と思うだけです。

 

マリヤは、誠実な態度でドローンに「領主の麦を解放しましょう」と申し出ます。

ドローンは、さすがにこの心の美しい女性領主を裏切っている自分を恥じます。

だから、彼は「これまで23年間悪いことは1度もした事が無い。だから(今はもう、貴女に裏切り行為をしている自分を)辞めさせてほしい。。」とマリヤに言うのですね。

ドローンは、自分も20年ほど前の東南の温暖な河の流域を求めて移動した貧乏な百姓だった男です。

だから、農民達の気持ちが痛いほど分かるのですね。

自分達の農作物が高く売れて、自分達に自由なお金=自由が得られれば、どんなに素晴らしい事だろう。。このロシアにおいて、もし、そんな事が実現すれば、これは明らかに『新しい社会』を自分達が開拓しようとしている事なのだ❣️という、かつての大移動の時の夢が蘇るのですね。。。