気ままな日常を綴っています。 -8ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

アンドレイ公爵の連隊は予備に回されて、1時過ぎまでセミョーノフスコエ村の後方に、猛烈な砲火にさらされながら、為す事も無く待機していました。

1時過ぎに、既に200名以上の兵を失った連隊は、セミョーノフスコエ村と丘の砲台の中間の踏み荒らされた麦畑に前進を命じられました。

この丘の砲台で、この日数千の兵士達が戦死し、1時過ぎに数100門の敵砲による集中攻撃を浴びせられたのでした。

 

この地点に停止させられたまま、1発の弾丸も撃たずに、連隊はさらに3分の1の兵を失いました。

前方、特に右方の、たれ込める硝煙の中で砲声が轟き、砲弾や榴弾が入り乱れて飛んで来て、時には1分間に何人もの兵が吹っ飛ばされて、死者を片付けたり、負傷兵を運び出したりに掛り切りになる事もありました。

1発落下する毎に、まだ殺されずに残っている兵士達にとって、生きる僥倖が益々少なくなって行きました。

 

連隊は300歩程の間隔で大隊縦列を組んでいましたが、しかし、それでも、連隊の全員が同じ気分に支配されていました。

連隊の全員が一様に黙りこくって、暗い顔をしていました、

稀に兵士達の間に話し声が聞こえましたが、それでも砲弾の当たる音と「担架」と言う叫び声が聞こえると、直ぐにそれがやんでしまうのでした。

ほとんどの時間は、兵士達は上官の命令で地面に腰を下ろしていましたーー軍帽をぬいで、その日だを丹念に伸ばしたりまた寄せたりしている者もいましたし、乾いた土を掌の上で潰して銃剣をゴシゴシ磨いている者も居ましたし、靴を履き直したりしている者もありました。畑の雑草で家の形を作ったり、刈り株の藁を引き抜いて編み細工をこしらえたりしている者もありましたーー皆、そうした事にすっかり夢中になっているように見えました。

 

兵士達が負傷したり、死んだりしても、担架の列が続いたりしても、味方が前方から戻って来たりしても、硝煙の切れ目に大勢の敵兵達が見えたりしても、誰も注意を向けようとはしませんでした。

味方の砲兵隊や騎兵隊が前進して行ったり、歩兵が移動して行くのが見えたりすると、方々から激励の声が上がりました。

しかし、彼らの最も大きな関心が向けられたのは、戦闘に何の関係も無い全くのよそ事でした。。それはさながら、これらの精神的に苦しめ抜かれた人々の神経が、ごく普通の日常生活の出来事に憩いを求めるかのようでした。

 

砲兵の部隊が、連隊の前を通りかかりました、弾薬庫の1台で、副馬(そえうま)が挽索(ひきづな)に脚を引っ掛けました。

「おい、その副馬を見ろ❗️。。直せ❗️突っころぶぞ。。おい、見えねえのかよ❗️」連隊の全隊に渡って、列中から同じ叫び声が飛びました。

もう1度は、小さな褐色の犬が、連隊中の注意を引きました。

この子犬は、どこからともなく現れたのか、尾をピンと立てて警戒するような走り方で連隊の前に走って来ましたが、ふいに近くに砲弾が落下すると、きゃんきゃんと悲鳴を上げて、尾を巻いて脇の方へ逃げ去りました。

連隊中に爆笑と掛け声が響き渡りました。

 

しかし、こうした気晴らしは何分と続きませんでした。

兵士達はもう、8時間以上も食べもせず、する事も無く、消える事の無い死の恐怖の下に晒されていました、そして蒼ざめた暗い顔はますます蒼く暗くなって行くのでした。

 

アンドレイ公爵は、連隊の全ての人々と同じように、蒼ざめた顔を険しくしかめて、手を後ろに組み、うつむいて麦畑の側の草地の畦の間を行き来していました。

なす事も、指示する事も、何もありませんでした。

全てが自動的になされていました。

死体は隊列の後ろへ下げられるし、負傷兵は運び去られるし、隊列はひとりでに詰められました。

兵士達は逃げ出しても、直ぐに急いで戻って来ました。

最初、アンドレイ公爵は、兵士達の勇気を鼓舞し、自ら範を示すのを自分の義務と考えて、列間を歩き回っていましたが、そのうちに自分には兵士達に教えるものも無いし、教える方法も無い事がはっきりとわかりました。

彼の心の全ての力は、1人1人の兵士達のそれと全く同じに、自分達の置かれている状況の恐ろしさに目を向ける事を抑える事にのみ、無意識に向けられて行きました。

 

アンドレイ公爵は、何も考えていませんでした。

彼はその疲れた聴覚で、絶えず同じ音に聞き入り、発射の轟音と飛来の唸りを聞き分けたり、第1大隊の見飽きた兵士達の顔に目を向けたりして、ひたすらに待っていました。

『空、あいつだ。。またここへ来るぞ❗️』と、硝煙に閉ざされた世界から近づいて来るある者の唸りに耳をすましながら彼は考えました。

『1発、2発❗️そらまた❗️当たった。。』彼は足を止めて隊列を見やりました。『いや、飛びすぎた。だが、あれは来るぞ』そして彼はまた歩き出し、今度は歩幅を広げて16歩で畦まで行こうと思いました。

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(解説)

はい。ここは戦場となったセミョーノフスコエ村の後方で待機中のアンドレイ公爵率いる連隊の様子ですね。

後方部隊といえど、砲弾は情け容赦なく攻撃して来て、しかも自分達は1発の銃撃も出来ない、というちょっとジレンマを感じるシーンが描かれています。

この未だ攻撃態勢に入っていない部隊であっても、もう相当数の犠牲者が出ているのですね。

死傷者の山積み、担架の往来、兵士達が自動的に隊列を詰める様子。。まるで死体や負傷者がベルトコンベアーで流れてゆくかのような。。生命は尊厳されるべきものと言う理念とは程遠い光景です。

 

ここで隊列を組みながら『その時』を待っている兵士達、すなわち生き残った兵士達は、生命の危険を強く感じながらも、その現実に直視する事は出来ません。

彼らは、なるべくそれと関連性の無い、他愛の無い事をしたり考えたりしながら死の恐怖と戦い続けています。。

その気持ちは、アンドレイ公爵といえど、同じでした。。

彼は、砲弾の音を聞き分けながら、砲弾がいつどこに飛んで行くのか予測を立てながら隊列と畦道の間を行ったり来たりしています。

お早うございます♪  今朝は、令和8年3月15日の日記です♪

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こんばんはー♪  現在17時23分ですね♪

室温16、2度。湿度40です。

今日は、午前中は実家の庭掃除と介護施設へ母親のお見舞いに行って、ちょうど12時頃に帰宅しました。

それから湯船にお湯を張ってゆっくり入浴しました。

しっかし、入浴後はとっても疲れて、ずっと自宅でウダウダしていましたね。なあ、いいか。。

 

はい。昨夜も浮遊霊傾向でした。

まー。寝ても覚めても平和な人ですからね。。どうって事ありません(^。^)

 

英字新聞のノルマくらいは終わらそうかな。。と思って頑張っていました。

キッチンでは昨日買ってきた「カンパチのアラ」を塩焼きしていました。

今回のは鹿児島県沖で釣れた天然物のアラみたいでした。

たくさん入っていたので、カマの部分は2つに切って少し振り塩をしてラップして2回分にして冷凍しました。

それでも3回分の塩焼きが出来ましたよ(^。^)

 

鹿児島県沖で思い出しましたが、1993年4月の雅子様の納采の儀に送られた雌雄1対の大きな鯛は鹿児島県沖で釣れた。。とか聞きましたね、AIに聞いてみましたが、もうその情報は消されているみたいですね。。

なんか当日の数日前に釣れたものみたいで、「その日の鯛じゃないんだー」とか思いましたけれど。生け捕りかな❓

ま、ツマンナイ事思い出しました(^。^)

 

朝ごはんは、リンゴ半分とトースト。珍しく四つ葉バター。

 

8時15分脱出❣️

けやき通りの花壇のお花が朝日に輝いています✨

 

これは赤いマンサクのお花。

トキワマンサクって言うんですって❣️

春の紅葉みたいですね〜✨✨

 

これはサクランボの桜のお花。

昨年は5月頃、宝石の様な実をたわわに付けていて、袋をわざと被せていないのをムクドリちゃんが必死に食べていましたね(^。^)

 

朝の8時40分頃の福岡市中央区。

とても良いお天気です✨

手前のソメイヨシノの枝の先が気持ちピンク色になっています♪

 

ラッパ水仙❓  実物の方がうんと綺麗です。

 

油山も美しいです✨

 

黄色いオギザリスの大群💛

 

実家では、今日は主に剪定作業をしました。

ツツジ、金木犀、なんかわからない伸びやすい木の枝。。45リットルのゴミ袋2袋くらいが一杯になりました。

次回、お天気だったら、『ハチスプレー』を予防的にシュッとしておこうと思います。

2、3ヶ月は効果が持続するみたいです。

 

介護施設では、今日は母親は自室のベッドの上でしたが、少し元気でしたね。

ちょっと肉も付いて来たのかな。。と思いました。

が、わからないんですよねー。もう、高齢だから。。。油断は出来ませんね。

穏やかにしていましたし、どこも痛くないみたいでしたね(^。^)

 

帰りにマルキョウに寄って少しお買い物をして帰宅したらちょうど12時くらいでした。

ブログフォローチェックなどをしてお昼ご飯にしました。

食べている間に湯船にお湯を張りました。

お昼ご飯は、カンパチのアラの塩焼きとほうれん草のおかか和え、大根と人参の煮物でしたが、美味しかったです💞

カンパチのアラは、天然物の割には脂が乗っていました(^。^)

 

1時間近く入浴して、体が余計に疲れました💦

ようやく英語の勉強を始めました。

 

もう、夕食も作る気もせず、昼の残りの茹でたほうれん草と三つ葉を入れてカップうどんにしました。

小さな清美が後2個冷蔵庫に残っていたので、絞って生ジュースにしました💞

とっても美味しかったです(^。^)

 

さて。。まだ18時前ですがちょっと疲れています。。

しばらくしたら横になろうと思います。

 

それでは今日も、良い一日をお過ごし下さいね💞

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(余談)

Greenpeace activists staged a protest in Milan on Thursday against the sponsorship of the Milan-Cortina Olympics by energy giant Eni, warning that fossil fuel emissions were threatening the viability of winter sports.

ミランで2月5日木曜日、グリーンピースの活動家たちが、エネルギー大手Eniがミラノ・コルティナ・オリンピックのスポンサーを務めることに対し、抗議活動を行いました。また、彼らは化石燃料の排出がウィンタースポーツの存続を脅かしていると警告しました。

  activist:特定の目的のために意図的な行動を取る活動家を指す。

  stage:(劇を舞台で)上演する、〈目立つ事柄を〉計画する,企てる; (華々しく)実現する(他動詞)➡︎この場合の意味

  protest:抗議、異議(名詞)➡︎この場合の意味

  sponsorship:支援、後援、資金提供、保証人であること(不加算)

  energy giant:エネルギー産業における巨大企業や組織

  fossil fuel(フォスル・フューエル):化石燃料

  emission:発射、放射物、(煙突・車のエンジンなどからの)排気、排出、排出物(質)(不加算または具体的には加算)

  threaten(スレットゥン):脅かす、(…の)恐れがある、脅威を与える(他動詞)➡︎自動詞用法もある

  viability:生存可能性、実行可能性、生存能力(不加算)

 

Bearing banners saying Kick polluters out of the Games, the activists set up a model of the Olympic rings covered in black oil in front of the cathedral in central Milan.

抗議者たちは、「公害をまき散らす者を大会から追い出せ」と書かれた横断幕を掲げ、ミラノ中心部にある大聖堂の前に、黒い油で覆われた五輪の模型を設置しました。

  bear:産む、出産する、つける、結ぶ、生む、身につける、帯びる、記載がある抱く、もつ(他動詞)

  banner(バナー):旗や横断幕、ウェブサイト上の広告など、目立つように掲げられるものを指す。

  polluter(ポリューター):環境の汚染を引き起こす人または組織

  cathedral(カテドラル):大聖堂

 

The protest came the day before the opening ceremony of the Winter Olympics in the northern Italian city on Friday.

その抗議活動は、金曜日に北イタリアの都市で冬季オリンピックの開会式の前日に起きました。

  the day before the opening ceremony:開会式の前日

 

Sponsorships like Eni's for Milan-Cortina 2026 are not innocent, they are a distraction to make us forget the damage these companies are causing to the planet, Greenpeace Italia said in a statement.

2026年のミラノ・コルティナ・オリンピックにおけるEniのようなスポンサーシップは、企業が環境に与える悪影響から私たちの目をそらすためのもので、決して潔白なものではないとグリーンピース・イタリアは声明で述べています。

  distraction:気の散ること、気を散らすこと、注意散漫、気を紛らすもの(不加算または加算)➡︎ここでは加算

  say in a statement:声明で述べる。声明を発表する

  

Eni's emissions are helping to eliminate the snow and ice on which the Olympics themselves depend!

Eni(エニ)社の排出物が、オリンピックそのものが依存している雪と氷を消滅させる一因となっている!

※ "help to do", "help 人 do"で、「(~することを)助ける、(~することの)助けになる」という意味で使う。

 

The International Olympic Committee confirmed on Wednesday it has received a petition bearing 21,000 signatures calling for an end to fossil fuel companies sponsoring winter sports.

国際オリンピック委員会(IOC)は、冬季スポーツにおける化石燃料企業のスポンサーシップ中止を求める21,000名の署名が集められた請願書を水曜日に受領したことを確認しました。

  The International Olympic Committee:国際オリンピック委員会(IOC)

  confirm:(正しいと)確かめる、確認する、確証する、承認する(他動詞)

※「put an end to」の形で*「~を終わらせる」「~に終止符を打つ」* という意味

(別表現)calling  for putting an end to fossil fuel companies sponsoring winter sports:化石燃料企業による冬季スポーツのスポンサーシップの廃止を求める事

(物語)

クトゥーゾフは鶏の蒸し焼きをやっとかじりながら、嬉しそうに目を細めてヴォリツォーゲンを見ました。

ヴォリツォーゲンは、小馬鹿にしたような薄笑いを口元に浮かべて、クトゥーゾフの前に歩み寄り、軽く手を軍帽のつばに当てました。

ヴォリツォーゲンは、クトゥーゾフに対していくらか勿体ぶったぞんざいな態度を取っていました、その態度は、自分は教養の高い軍人だから、この役にも立たぬ老人を崇拝しているような態度を取っているが、このロシア人の老人が何者かくらいはちゃんと心得ているのだ、と言う事を目的としたものでした。

 

『老旦那(ドイツ人仲間では、クトゥーゾフをこう呼んでいました)、のんびり構えているな』と、腹の中でせせら笑って、ヴォリツォーゲンはじろりとクトゥーゾフの前の皿を睨むと、バルクライに命じられた通りに、そして自分も現実に見て理解した通りに、左翼の状況を老旦那に報告し始めました。

「我が陣地の全ての地点が敵の手に落ち、もはや奪回する術がありません、だってもう軍隊が無いのですから。兵達は潰走し、留める可能性はありません。」と彼は報告しました。

 

クトゥーゾフはむしゃむしゃ噛んでいたのを止めて、怪訝そうにヴォリツォーゲンに目を見張りました。

ヴォリツォーゲンは、老旦那の動揺を見て取り、微笑しながら言いました。

「私は、この目で、見た事を閣下に隠す権利は無いと考えておりますので。。軍は完全に崩壊しました。。」

「貴官は見たのか❓。。」と、クトゥーゾフは顔を険しくしかめ、いきなり立ち上がると、ヴォリツォーゲンに詰め寄りながら叫びました。

「よくも貴官は、、不遜極まる❗️。。」と、震える両手で掴みかからんばかりに脅し、彼は叫び立てました。。

「よくもそんな事を、このわしに言えたな。貴官は何も知らんのだ❗️わしからの言葉としてバルクライ将軍に伝えよ。将軍の報告は間違っておる。現実の戦況は、彼より、総司令官たるわしの方が知っておる、と。」

ヴォリツォーゲンが何かを言い返そうとしましたが、クトゥーゾフは遮りました。

「敵は左翼で撃退され、右翼で粉砕された。貴官は良く見極めていなかったら、知らん事は言わんものだ。バルクライ将軍の元へ帰って、明日敵を攻撃するわしの固い決意を伝えたまえ。」と、クトゥーゾフは厳しく言いました。

 

一同は沈黙していました。

いきり立った老将軍の苦しそうな息づかいだけが聞こえました。

「至る所で撃退しとる、それでわしは神と我が勇敢な将兵に感謝しとるのだ。敵は敗走した、そして明日はロシアの神聖な国土から敵を追い払う事だ。」と、十字を切りながらクトゥーゾフは言いました。

ヴォリツォーゲンは、『老旦那のこの狂的な石頭ぶりに』呆れて、肩をすくめ黙って脇の方へ離れて行きました。

 

「おや、来たな、わしも大好きな英雄」と、その時丘に登って来た、丸々太った髪の長い美男子の将軍に、クトゥーゾフは言いました。

それは、朝からボロジノの戦場の主要な地点を頑張っていたラエフスキイでした。

ラエフスキイは、我が軍はそれぞれの陣地を死守しており、フランス軍にはもう突撃の気力が無い、と報告しました。

それを聞くと、クトゥーゾフはフランス語で言いました。

「では、君は、他の連中のように、我が軍は後退せねばならんなどとは思わんのだな❓」

「それどころか閣下、勝敗の帰趨の分からぬ戦闘で、最後の勝者となるのは、頑張りぬいた方です。」と、ラエフスキイは答えました。「それに、私の意見では。。」

「カイサロフ❗️」と、クトゥーゾフは副官を呼びました、「ここに座って、明日の命令を書きたまえ、それから君は。。」と、彼は別の副官に顔を向けました。

「陣地を回って、明日は攻撃だと伝えて来たまえ」

 

ラエフスキイとの話や命令の口述が行われているあいさに、ヴォリツォーゲンがバルクライの所から戻って来て、元帥が与えた命令の、文書による確認を求めるというバルクライ・ド・トリーの言葉を伝えました。

クトゥーゾフは、ヴォリツォーゲンには目もくれずにその命令の筆記を命じました。それは、元総司令官が、個人的責任回避の為に、それを求めるのは極めて当然の事だったからでした。

 

そして、軍の士気と呼ばれ、戦争の主要な原動力をなしている同一の気分を、全軍に伝播させる言い難い神秘的な経路を伝って、クトゥーゾフの言葉と、明日の戦闘命令は、分のあらゆる隅々にほとんど同時に流れ渡りました。

決して、そのままの言葉、そのままの命令が、この経路の末端に伝わった訳ではありませんでした。

しかし、彼の言葉の意味は、正確に伝わりました、というのは、クトゥーゾフが言った事は、難しい考慮から流れ出たものではなく、総司令官の心の中にあり、そして1人1人のロシア人の心の中に等しくある、同一の感情から流れ出たものであったからでした。

そして、明日は敵を攻撃する事を知り、疲れ切って気持ちがぐらついていた全軍の兵士達が、苦しさを忘れ、心得を奮い立たせたのでした。

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(解説)

クトゥーゾフが、今回の会戦にちょっと手応えを感じて昼食を摂っていた所へ、前の総司令官バルクライ・ド・トリーの側近ヴォリツォーゲンが、バルクライの『この戦いはもう負けです。』という進言を持って現れます。

この人達は、ドイツ人ですが、ロシア軍に勤務しているのですね。

たぶん、彼らは、バルクライが総司令官の座を追われた事についてちょっと不満を持っていたと思いますね。

ロシア人の将軍や士官達の目から見た戦局とは、全く違う意見を進言するのですね。

クトゥーゾフが、この進言を受けて降伏しようものなら、今回の敗戦の責任はクトゥーゾフが負う事になります。

彼らは、『その結果』が見たいのであって、この戦闘がロシア国にとって重大な意味を持っているという事には全く無関心なのですね。

 

老練なクトゥーゾフは、そんな事はすっかりお見通しです。

それに、今まで報告してきたロシアの副官や将軍の表情などから、彼は、『この戦闘は勝戦になる』と確信しています。

そこへ、朝からボロジノの戦場の主要な地点を頑張っていたラエフスキイが、クトゥーゾフの元にやって来ます。

彼はクトゥーゾフの問いに対して「勝敗の帰趨の分からぬ戦闘で、最後の勝者となるのは、頑張りぬいた方です。」と元気に答えます。

この返答に力を得たクトゥーゾフ は、全軍に『明日は攻撃だ』と伝えます。

 

この命令は、即座にロシア軍の隅々にまで行き渡りました。

ロシア軍の士気は最高潮で、ロシア兵全員が『ロシア国土からフランス軍を追っ払ってやる❗️』という意気込みが漲っているのですね。

それは、総司令官クトゥーゾフの心境と完全に一致するものでした。