気ままな日常を綴っています。 -15ページ目

気ままな日常を綴っています。

いつか静かに消える時まで。。
一人静かに思いのままに生きたい。。

(物語)

ピエールの前を走っていた将軍は、丘を下ると、急に左へ折れました。

ピエールは彼を見失って、前方を行進していた歩兵の列中へ馬を乗り入れてしまいました、ピエールは右往左往して列の中から抜け出そうと試みました。

しかしどこもかしこも一様に不安そうな顔をして兵士達ばかりでした。

全ての顔が、何の為に彼らを馬蹄にかけようとするのか分からず、この白い帽子を被った男を、一様に怒りと不審の入り混じった表情で睨みつけました。

「何だって列の中さ馬を入れるんだ❗️」と、1人が彼に怒鳴りつけました。

もう1人が銃の台尻で馬を突きました、その為にピエールは鞍橋にしがみ付き、よろけた馬をやっと押さえながら、兵士達の前方の広々とした所へ走り出ました。

 

前方には橋があって、橋のたもとに、兵士達が立って、盛んに銃を撃っていました、ピエールはそちらへ馬を近づけて行きました。

自分でもそれと知らずに、ピエールはゴールキとボロジノの間のコローチャ河の橋付近に紛れ込んだのでしたが、ここは開戦と同時に(ボロジノを占領して)フランス軍が攻撃を加えて来た地点だったのでした。

 

前方に橋が有って、その両側の草場で、昨日彼が見た乾草の列の間に、煙に包まれて兵士達が何かしているのが、ピエールの目に見えました。

その辺りに激しい銃声がしているのに、彼はそこが戦場だとは少しも思いませんでした、彼は周りに唸りを立てている銃声も、頭上を飛び過ぎる砲弾の音も聞こえませんでしたし、対岸に居る敵兵の姿も見えませんでした。

そしてあまり遠くない所に大勢の死傷者達が倒れていたのが、ややしばらくはそれも目に入りませんでした。

彼はひとりでに込み上げて来て、一向に消えようとしない微笑を浮かべたまま、辺りを見回していました。

 

「なんだ、前線を馬でウロウロしやがって❓」と、誰かが彼に怒鳴りつけました。

「左へ寄れ、右へ避けろ❗️」と、幾つもの声が叫びました。

ピエールは右へ折れました、すると思いがけなくラエフスキイ将軍の知り合いの副官と出会いました。

この副官は、やはり彼を怒鳴り付けようと思ったらしく、腹立たしげにピエールを睨みましたが、彼だとわかると会釈をしました、「どうしてこんな所へ❓」と、言葉を掛けて馬を飛ばして行きました。

ピエールは、自分が出る幕を間違えてする事も無くまごまごしているような気がして、また誰かの邪魔をしてはまずいと思って、副官の後を追いました。

 

「ここはどうしたんです❓一緒に行って構いませんか❓」と、彼は聞きました。

「ちょっとお待ちください。」と、副官は言って、連隊長の前に駆け付けると、何事か伝え、そしてはじめてピエールの方を振り向きました。

「どうしてこんな所へ来たのです、伯爵❓」と、副官は笑いながら言いました。

「何でも見てやろうって訳ですか❓」

「ええ、そうですよ。」と、ピエールは言いました、しかし副官は馬首を返して馬を進めて行きました。

 

「ここはまだいいですよ。」と、副官は言いました。

「左翼のバグラチオン軍の所では、凄惨な激戦が行われています。」

「本当ですか❓それはどの辺ですか❓」と、ピエールは聞きました。

「一緒に丘の上へいらっしゃい、よく見えますよ。我々の砲兵の陣地ならまだいくらかマシですよ。」と、副官は言いました。

「如何です❓参りますか❓」

「ええ、お願いします。」と、辺りを見回して調馬師を目で探しながらピエールは言いました。

 

その時初めてピエールは、よろよろ歩いたり、担架で運ばれたりして来る負傷兵達の姿に気づきました。

昨日、彼が馬で通った乾草の列が並んでいる草場に、乾草の列の間を塞いで窮屈そうに首を折り曲げて軍帽をずり落とした1人の兵士が身動きもせずに倒れていました。

『どうしてあの兵士を運んでやらないのだろう❓』と、ピエールは言いかけましたが、そちらを振り向いた副官の顔に厳しい顔に気が付くと、口をつぐみました。

 

ピエールは調馬師の姿見つからないままに、副官と共に低地を伝ってラエフスキイの丘の方へ馬を飛ばして行きました。

ピエールの馬は副官から遅れて、ゆらゆらと彼の身体を揺すって行きました。

「いや、大丈夫です、でも何だかこいつはやけに身体を揺するようですね。」と、ピエールは不審そうに言いました。

「おや❗️負傷していますよ。右の前脚の膝の上の所です。弾丸傷ですね、きっと。おめでとう伯爵、銃火の洗礼を受けられましたな❗️」と、副官は言いました。

 

硝煙の中を第6軍団の線に沿って進み、前方へ移動して、耳も聾するばかりの砲撃を続けている砲兵陣地の後ろを通って、彼らは小さな森に入りました。

森の中は品やると涼しく静かで、秋の匂いがしていました。

ピエールと副官は馬を降りて、歩いて丘に登り始めました。

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(解説)

特に記載する事はありません。

ピエールは、戦場へ命令を受けて馬で走って行った将軍の後を追いましたが、途中で見失い、思わず歩兵隊の前に馬に乗ったまま踊り出してしまいます。

シルクハットに燕尾服の太った男性が馬で前をウロウロしているって、ちょっと滑稽な場面です。

ピエールが躍り出たのは、ちょうど夜明けにフランス軍が最初に砲撃を開始したゴールキとボロジノの間のコローチャ河の橋付近でした。

そこへ通り掛かったラエフスキイ将軍の知り合いの副官に声を掛けられて、今、一番の激戦地となっている左翼のバグラチオン軍を見学しやすい丘の上に案内されます。

 

お早うございます♪  今朝は、令和8年3月6日の日記です♪

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こんばんはー♪  現在18時5分です。

ようやく日没しようか。。という福岡市です(日没時間:18時19分だそうです)。

まだ西陽がベランダに差し込んでいます。

 

はい。今朝は超遅い時間に起きました(6時13分💦)。

昨夜は多分、午前3時前辺りまで眠れていなかったと思います。

戦争の行方もアレなんですけれどね、それよりも生まれる前の記憶を辿ってみていました。

と言っても、明確にはわからないのですけれどね。

ただ、『相当な不安感』を抱いてこの世に生まれて来たのは確かなので、それは『自分が本当に決めたこと』なのか❓とか考えていました。

 

昔は60代、どうかしたら50代後半で人があの世に行っていた時代だからですね。

恐らく、数年前の占いのように60歳以降が平和だ。。と生まれる前に聞いていたとしても、自分的には『絶望的』だったのでしょうね。。

当時は、一人で人生を生き抜く人って相当レアだったしですね。

でもね、こういう考えをしている時の自分って、『よくない』のですよね。

外は雨が降りそうだし、世相も不安定だし。。先の事や、ましてやずっと前の事を考えるという発想は絶対にやめておいた方が良いですね。

結局。。無意識に安定した生活を常に求めて地道には生きて来たから、危機感など持つ必要性なんか無いのだ、と思っていつの間にか眠っていました。

 

案の定、朝は遅かったので、今日も一日の予定がガタガタです。

でも、今日は特に用事も無いので、マイペースに行こうと思いました。

まず、ご飯を炊いて、炊きたてご飯でおにぎりを作って朝ごはんにしました。

 

たまには物語を読むような日にした方が良い。。と今日は、少し前に読んだ「ベン・ハー」の原作ならではの『信仰というものに関する考察』を考えようかな。。と思いました。

映画もすごく名作ですが、やはり信仰という点を見れば、原作者の解釈は秀逸のように思いましたので。

あ。私。。ちなみに宗教は持っていませんけれどね。

しかし、生きる指針としてみた場合、どんな宗教も考え方も通じるものがあり、それは時代を超えた普遍的な価値観では無いか。。と思うのですよ。

そういう事を考えていると、昨夜のような思考にはまず陥りにくいと思うのですよ。

現に、『源氏』や『戦争と平和』を熟読していた頃の自分は非常に安定していたと思いますし。

 

(雨が降り続いているので、コーヒーを入れました。ちょっと一息です。今朝はコーヒーを入れる時間も無かったので。。)

 

(お昼はレトルトカレー。結構食べてるな。。(^。^))

 

午後は15時まで雨が降り続いていました。

もう3月なのにリビングで電気ストーブを炊いて英字新聞をやっつけていました。

途中からベン・ハーの線をたくさん引いている部分を読み返していました。

信仰によって自分の心を浄化するという事なのですけれど、これを認識出来る事自体が結構レアな事かもしれないな。。と思いました。

現世でそこそこ幸せなら、まずそんな事は考えない生き物だからですね、人間は。

 

15時になって雨が上がったのでマクドに行って晩御飯にしました。

照り焼きバーガーセット。レモンソース抜き、ポテトはSサイズです。

普通のハンバーガーのパテよりも照り焼きのパテの方が充実している感じです。

美味しかったです✨

 

帰宅時は、お日様が顔を出していました。

 

17時くらいのベランダ。

薔薇のオーロラさんにも西陽が当たっています。。✨

今日はこんな感じです。

土日の間に母親のお見舞いに行こうと思います。

申請に添付する書類も必要なので介護施設には行かねばなりません。

それ以外は何も用事はありません。。何か心の糧になるような思考をしたいものです。

 

それでは今日も良い一日をお過ごし下さいね💞

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(余談)

The head of the UN's health agency on Saturday pushed back against Washington's stated reasons for withdrawing from the World Health Organization, dismissing US criticism of the WHO as untrue.

国連の保健機関の長は土曜日に、米国が世界保健機関(WHO)からの脱退に関して述べた理由に反論し、WHOに対する米国の批判は「真実ではない」と述べました。

  the UN health agency:(UN'sとは言わないらしい)国連の保健機関

  国連:united nations

  push back against 〜:〜に強く反対する、〜に抵抗する

  Washington's stated reasons:ワシントンD.C.の政府が表明した理由

  withdrawing:動詞「withdraw」の現在分詞形。「引っ込める」「取り下げる」「撤退する」「引き出す」

  withdraw:〔+目的語+from+(代)名詞〕(他動詞)

  the World Health Organization:世界保健機構(WHO)

  dismiss:却下する、解散させる、〔+目的語+as補語〕〈…を〉〈…だとして〉捨て去る,しりぞける(他動詞)

   US criticism of the WHO:世界保健機関に対する米国の批判

 

Tedros Adhanom Ghebreyesus warned that US announcement this week that it had formally withdrawn from the WHO makes both the US and the world less safe.

テドロス・アダノム事務局長は、米国が今週、世界保健機関(WHO)からの正式な脱退を発表したことに対し、この措置が米国と世界の双方をより安全でない状態にすると警告しました。

  announcement:発表、告知、声明

  formally:正式に、公式に(副詞)

  

And in a post on X, he added: Unfortunately, the reasons cited for the US decision to withdraw from WHO are untrue.

X(旧Twitter)への投稿で、彼はさらに『残念ながら、米国がWHOからの脱退を決定した理由として挙げられているものは真実ではありません』と付け加えました

   in a post on X:Xの投稿で

   cited for〜:〜の為に引用された(形容詞的)

   untrue:真実でない、事実と異なる(形容詞)

 

He insisted: WHO has always engaged with the US, and all Member States, with full respect for their sovereignty.

彼は、WHOは常に米国およびすべての加盟国と、その主権を完全に尊重して関わってきたと強調しました。

  engage with〜  :〜に関与し、理解しようと努める

  all Member States:全ての加盟国

  sovereignty(ソヴリンティ):主権、統治権、独立国

 

US Secretary of State Marco Rubio and US Health Secretary Robert F. Kennedy Jr. announced in a joint statement Thursday that Washington had formally withdrawn from the WHO.

米国のマルコ・ルビオ国務長官とロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官は、木曜日発表した共同声明で、米国が世界保健機関(WHO)から正式に脱退したことを明らかにしました。

  US Secretary of State:米国国務長官

  in a joint statement:共同声明の中で

 

They accused the agency, of numerous failures during the Covid-19 pandemic and of acting repeatedly against the interests of the United States.

彼らは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生時における政府機関の数々の失敗を非難し、さらに、度々米国の利益に反する行動をしていたと主張しました。

  accuse:〔+目的語+of+(代)名詞〕〈人・事を〉〔…のかどで〕非難する,責める(他動詞)

  numerous(ヌーマラス):非常に多くの、たくさんの(形容詞)

  repeatedly:繰り返して、何度も、連続で(副詞)

(物語)

アンドレイ公爵の所からゴールキに戻ると、ピエールは調馬師に馬の支度と朝早く起こす事を言いつけて、ボリスが譲ってくれた隅の仕切りの影へ入り、すぐに眠りにつきました。

翌朝ピエールがすっかり目を覚ました時は、小屋の中にはもう誰も居ませんでした、小さな窓ガラスがガタガタ鳴っていました。

調馬師が突っ立って彼を揺すぶっていました。

「何だ❓始まったのか❓もう時間か❓」と、ピエールは寝ぼけた声で言いました。

「あの砲声を聞いて下さい、もう皆さんお出掛けになりましたし、総司令官閣下もとっくにお通りになりました。」

 

ピエールは慌てて服を着ると、入口へ飛び出しました。

道は明るく、清々しく、露に濡れて、楽しげに光っていました。

庭に出ると砲声が一層はっきりと聞こえました。

コサックを従えた1人の副官が通りを馬を飛ばして行きました。

「時間ですよ、伯爵、もう出かけなくちゃあ❗️」と、副官が叫びました。

馬を引いて来る様に命じて、ピエールは昨日戦場を眺望した丘の方へ歩き出しました。

丘の上には軍人達の一群がいて、幕僚達のフランス語の話し声が聞こえ、赤い蛇腹を巻いた白い軍帽を被ったクトゥーゾフ の白髪頭が見えました、クトゥーゾフ は望遠鏡で前方の大街道を見ていました。

 

入り口の段々を伝って丘の上へ登ると、ピエールは前方をみました。

そして美しい眺望に、思わず感嘆の声を漏らしました、それは昨日この丘の上から彼が見ほれたあの同じパノラマでした。

しかし今は、この地域全体が両軍の部隊と硝煙に覆われ、暗い長い影を地表に引いていました。

パノラマの先端の遠い森が、黄緑色の宝石を刻み上げたように、地平線に梢の屈曲した線を見せており、その間を切って、ワルーエワ村の先へ、軍隊に埋め尽くされたスモーレンスク街道が伸びていました。

近くには黄金色の畑野と森を結ぶ若木林が光っていました。

前方にも、右にも、左にもーー至る所に軍隊が見えました、何もかもが活気に溢れ、荘厳で、思いがけないものでした。

 

しかし、何よりもピエールの心を強く打ったのはーー戦場そのもの、つまりボロジノ村付近とコローチャ河両岸の低地の光景でした。

コローチャ河の土と、ボロジノ村と、それを挟む両側、特に左側のヴォイナ河がコローチャ河に注ぐ辺りの沼沢地帯の上に、霧がちぎれて消えようとしていて、登ったばかりの明るい朝日の光が射し込み、霧の中に見えている全てのものに魔法の世界のような色彩と輪郭を与えていました。

この霧の底に教会が見え、所々にボロジノ村の家々の屋根や、密集部隊や、緑色の弾薬庫と大砲などが見え隠れしていました。

そして、砲煙の渦巻きが何も無い所にひとりでに生まれ、もくもくと膨れ広がり、渦巻きながら、全域に流れ渡って行きました。

これらの砲煙と砲声が、妙な話だがこの光景の主要な美しさを作り出していました。

 

パッ❗️ふいに丸い、濃い、藤色と灰色と乳白色を戯れに交錯させるような煙が浮かびました、そして、ズドーン❗️1秒後にその煙の音が響き渡りました。

ピエールは、丸い濃い球の時に目を話したはじめの煙に目を戻すと、もうそこにはいくつもの煙の玉があって、横の方へ流れようとしていました、するとまた、パッ。。(少し間をおいて)パッ、パッーーさらに3つ、4つと煙の球が生まれ、その1つ1つに、同じ間を置いてズーン。。ズーンーー美しい、しっかりした確実な音が答えました。

もっと近くの低地や森には、小さな、丸く巻き切らぬ小銃の煙がぱっぱっぱと湧き、同じように小さな音響がそれに答えていました。

タ、タ、タッーーと、キメは細かいが、砲声に比べると、間がまちまちで、貧弱に銃声が弾けていました。

 

ピエールは、あの硝煙や、あの煌めく銃剣や、あの動きや、あの響きのある所へ、行ってみたくなりました。

他の人々はどんな風に感じているかと思って、他にクトゥーゾフ と幕僚達の方を振り向きました。

誰もが彼と同じように、そして彼と同じ気持ちで、(と彼には思われたのでした)彼らは前方の戦場を見守っていました。

どの顔にも今は、ピエールが昨日それと気づき、アンドレイ公爵と話し合ってから完全に悟った、あの愛国心の潜熱が輝いていました。

 

「行きたまえ、きみ、行きたまえ、武運を祈るぞ」と、クトゥーゾフは戦場から目を離さずに、傍に立っていた将軍に言いました。

その将軍、命令を聞き取ると、ピエールの側を通って、丘の降り口の方へ歩いて行きました。

「渡河点へだ❗️」どこへ行くのか❓という幕僚の1人の問いに、その将軍は冷ややかに厳しく言いました。

『僕も行こう、僕も。。』と思って、ピエールは将軍の後を追いました。

将軍は馬に乗りました、ピエールは馬を抑えていた自分の調馬師の側へ行きました。

ピエールは馬のたてがみを掴んで、馬の背に這い上がり、踵を馬の腹へ押し当てました、そして眼鏡がずり落ちるのを感じましたが、たてがみと手綱から手を離す事が出来ずに、丘の上から彼を見ていた幕僚達の失笑を買いながら、将軍を追って走り出しました。

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(解説)

ピエールは軍人になる為に戦争に参加している訳ではないのですね、今更ですが。

彼は、モスクワの広場で見た『モスクワ市民による理不尽なフランス人調理師の鞭打ちの刑の現場』を見て、『なんかおかしい。。一体、ロシア人をこんなおかしくしている戦争って何なんだ❓』と思って、急遽『戦争というもの』を確認しに来ている人、という設定だと思います。

 

それで、軍人では無い彼は、イマイチ緊張感が欠けているので、決戦当日の夜明け前に起きる事が出来ませんでした。

しかし、周囲の軍人達は『そんなもん』とピエールを見ていますね。

ピエールは、軍人として功を為す事はもとより期待されていませんから。。

彼は、おそらく、自分の莫大な寄付をつぎ込んだ軍隊を見に来た人、的に思われていたと思います。

今でこそ、情報開示というか、『自分がつぎ込んだお金の収支決算の報告』を受けるのは当たり前でしょうが、当時としてもニュアンス的にピエールが資金援助している戦争を見にウロウロしていた所で、周囲が迷惑を顔に出す事はあまり無かったようですね、決戦最中でもありませんので。

 

それで、彼は昨日、ベニグセン伯爵に連れられて戦場を見渡した丘に登って『戦争を』見ます。

この緊張感の中、ピエールは美しい風景の中で砲声や小銃の音、そして硝煙を見て、身が引き締まる思いなのですね。。

彼はふと、クトゥーゾフや周囲の幕僚達の表情を観察します。

すると、どの顔にも今は、ピエールが昨日それと気づき、アンドレイ公爵と話し合ってから完全に悟った、あの愛国心の潜熱が輝いていました。

ピエールは、戦争を見に来たに過ぎない人なのですが、『自分もロシアの為に』いても立っても居られなくなったのだと思います。

彼は、命令を受けて実践に向かう1人の将軍の後をついて、慣れない馬に跨って、戦地に赴いて行くのですね。。